【スイスショックで激震】しかし、「フラン高」で恩恵を受ける意外な銘柄も - 小野山功が見通す「今週の株価材料」

著者:小野山功
投稿:2015/01/19 09:00

小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~【スイスショックで激震】しかし、「フラン高」で恩恵を受ける意外な銘柄も~

スイス中央銀行がユーロペッグ制をやめると15日に突如発表し、スイスフランは一夜にして対ドルで一時+38%高、ユーロに対しては+41%高と歴史的な暴騰を演じました。

世界最大の時計メーカーが集積するスイスは、自国の輸出を有利に進めるために、通貨フランを安く保つ無制限の為替介入を2011年に表明し、対ユーロで「1フラン=1.20ユーロ」と上限レートを設け、実質的なユーロペッグ制を導入していました。


■一夜にして物価がおよそ「2割」も上昇!?

しかし、欧州中央銀行(ECB)が追加金融緩和に踏み切るのではないかとの観測から、ユーロが下落し、これ以上ユーロペッグを維持するのは無理だとして、上限撤廃を決定しました。

通貨高でスイス企業の業績が悪化するとの懸念から、スイス株式市場は15日に一時10%急落。高級腕時計『オメガ』や『ブレゲ』を傘下に持つスウォッチや、『カルティエ』を持つリシュモンが大きく売られました。

また、スイスは観光大国で、日本から訪れる観光客も多いため、観光産業にも打撃になるとみられます。

今、スイスに旅行中の観光客は目を疑ったことでしょう。わずか1日で物価がおよそ2割も上昇してしまったのです。スイス旅行を検討していた人は、旅行先の変更を迫られそうです。


■フラン高の恩恵は国内時計メーカーだけではない?

一方、日本の時計メーカーにとっては、スイス時計メーカーの値上げが予想されることから、価格競争力向上を見込んだ買いが入っています。

16日の東京市場は、日経平均株価が一時500円超下落する波乱の展開となりましたが、時計メーカーの(8050)セイコーホールディングスや、(7762)シチズンホールディングスが逆行高となりました。

この他、スイスの製薬会社ティロッツ社を買収した(4559)ゼリア新薬工業もフラン高の恩恵がありそうです。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想