落ち着き取り戻し続伸、自律反発に期待感

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/07 21:21

8日の東京株式市場見通し

 8日の東京株式市場は、引き続き手掛かり材料は乏しいものの、きょうの値動きが比較的落ち着きを取り戻したことから、下値に対する不安感もやや薄らぎ、日経平均株価は、自律反発期待を背景に続伸となりそうだ。

 7日の東京株式市場は売り買いが交錯するなか、前日終値比でプラス圏とマイナス圏を往来するめまぐるしい展開となった。結局、日経平均株価終値は、前日比2円高の1万6885円と5日ぶりに小幅反発した。ただ、東証1部の値上がり銘柄数は690、対して値下がり銘柄数は1003(変わらずは166銘柄)と値下がりが大幅に上回り、東証株価指数(TOPIX)は、小幅ながら5日続落となった。

 市場関係者からは「前日までの日経平均株価4日続落で合計935円安と急落した後にもかかわらず、反発力は限定的だった。ただ、下げ止まったことの意義は大きい。チャート面の防衛ラインとみられる12月17日の安値(1万6672円)割れを回避できれば、短期間の調整で済む可能性もある」との見方も出ていた。

7日の動意株

 日本アビオニクス<6946>=急反騰。
この日の複数のメディアで、政府は火山観測研究の基盤整備を本格化させるため、2014年度の補正予算案で約30億円を計上することが分かったと報じられており、関連銘柄として物色の矛先が向かっているもよう。赤外線サーモグラフィ装置などを手掛け、火山監視に多く利用されていることから、今回の予算計上による需要増が期待されている。

 東京製鉄<5423>=大幅高。
鉄スクラップの価格低下に加え、岡山工場の熱延コイル生産を今年3月に休止し田原工場に生産集約する方針で、これによる合理化効果でコスト競争力が高まる見通しにある。前14年3月期にコスト努力が奏功し5期ぶりの黒字化を達成したが、15年3月期営業利益は2度にわたる上方修正を経て前期比4.1倍の100億円を見込んでいる。そうしたなか、みずほ証券が投資判断を「買い」継続とし、目標株価を730円から870円に引き上げたことが観測されており、買い人気が増幅された。

 クイック<4318>=後場に入り上げ幅拡大。
前引け後に、子会社のカラフルカンパニーが、石川工業高等専門学校と協業で開発した日本酒検索スマートフォンアプリ「一期一酒(いちごいっしゅ) いしかわ」(iPhone版)をリリースしたと発表しており、これを好感した買いが入っている。同アプリは、ビギナーにも日本酒を楽しんでもらうため、石川工業高専と合同プロジェクトを組んで開発。全国的にも酒処として有名な石川県の日本酒約200種類の中から、ユーザーの好みに合った日本酒を探すことでできる。北陸新幹線の開業を控えて同アプリへも注目が高まるとの期待感もあるようだ。

 田淵電機<6624>=ストップ高。
6日の取引終了後に、東京証券取引所の承認を得て、1月13日付で東証2部から東証1部に指定されることになったと発表しており、これを好感した買いが入っている。同社は、電源機器や変成器(トランス)、パワーコンディショナーなどの製造・販売が主な事業。15年3月期連結業績は売上高510億円(前期比19.1%増)、経常利益95億円(同70.8%増)を見込んでいる。

 アドヴァン<7463>=急反発。
前日取引終了後に発表した15年3月期第3四半期累計(14年4~12月)の連結決算は、売上高126億6600万円(前年同期比4.5%増)、営業利益34億2500万円(同18.7%増)、最終利益27億9900万円(同36.9%増)となった。増収に伴う粗利の拡大と販売管理費の圧縮、デリバティブ評価益を計上したこともあって大幅増益になった。

 ネクス<6634>=ストップ高。
同社はきょう、自動車テレマティクス・ロボット関連製品メーカーのZMP(東京都文京区)と自動車テレマティクス分野で共同マーケティングを開始すると発表。これが材料視されているようだ。テレマティクスとは、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)から作られた造語で、携帯電話などの移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称。共同マーケティングでは、ZMPが保有する車両情報を解析する技術と、同社の通信モジュールおよび通信技術を組み合わせ、車両の状態監視や走行時の音声・画像データなどの送信、新たな機能追加におけるソフトウェアの自動アップデートなどを実現する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想