主力株の利益確定で続落、中小型株人気は継続

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/05 19:47

6日の東京株式市場見通し

 6日の東京株式市場は、買い手掛かり材料が乏しいなか、外国為替市場の円相場に左右される株価推移となりそうだ。外国人投資家の売買が限定的となっていることから、輸出関連を中心とした主力銘柄に継続的な買いが入り難く、日経平均株価の上値は限られ、利益確定売りが出やすい状況にある。

 テクニカル面では、25日移動平均線(1万7515円=5日)が上値のメドとして作用する可能性があり、これを突破するには、買いエネルギーの増大が条件となる。東証1部の売買代金は、5日まで5営業日連続で2兆円を割り込んでおり、この水準の突破が一つの目安となりそうだ。

 その一方で、中小型の材料株への個人投資家からの物色意欲は引き続き旺盛。東証1部の小型株指数は5日も反発をみせ、堅調な推移となっている。さらに、東証2部指数の終値は、前年末比24.43ポイント高の4415.64と12月8日の終値を上回り、昨年来高値を更新している。

5日の動意株

 池上通信機<6771>=急騰。
現行のフルハイビジョン(HD)に比べ4倍の解像度を持つ高画質を楽しめる「4K」テレビの設備投資本格化に向けた期待から同社株に買いが流入している模様。4Kテレビは東京五輪・パラリンピックが開かれる20年には広く一般家庭への普及が目指されており、テレビ局は今年の後半から設備投資を拡大させる、との観測が出ている。年末の紅白歌合戦では、より高精細の「8K」テレビが紹介されたことも、放送局用映像機器を手掛ける同社に連想買いを呼んでいるようだ。

 日本CMK<6958>=急反発。
同社は1月14日から東京ビッグサイトで開催される、ネプコンジャパン2015(第16回 プリント配線板EXPO)とオートモーティブ ワールド2015(第7回 カーエレクトロニクス技術展)に出展することから、この内容が注目される。ネプコンジャパン2015では、激的に高密度化したエニーレイヤープリント配線板「Super Fine PPBU」などを、オートモーティブ ワールド2015では衝突回避システム用ミリ波レーダに最適なプリント配線板「高周波配線板」などを公開する予定で同社の新技術への評価が高まりそうだ。

 日清製粉グループ本社<2002>=大幅高。
5日から家庭用の国産パスタ35品目を5~8%値上げすることから、業績への寄与への期待が高まっているもよう。また、4日の「NHKスペシャル」で、ビタミンB3(ナイアシン)の一種であるNMNに若返りの効果があると紹介されていたが、傘下のオリエンタル酵母工業がNMNを手掛けていることから、これへの関心も買いにつながっているようだ。

 鉱研工業<6297>=ストップ高。
地熱発電やメタンハイドレート関連株として物色人気が高まっている。産経新聞は3日、地熱発電の拡大支援に向け、経済産業省が建設費の債務保証枠を3倍以上に拡大すると伝えた。事業者の資金調達を後押しし、地熱発電の設置拡大を目指す方針という。また、同じく3日、日本経済新聞は経済産業省が15年度にメタンハイドレートの調査を本格化させると報じた。これを受け、地下資源工事用掘削機械大手の同社株が物色されている。

 サイネックス<2376>=大幅反発。
15年度の税制改正で生まれ故郷など好きな地方自治体に寄付することで住民税と所得税の支払いが減る「ふるさと納税」の限度額が2倍に引き上げられることを受けて、事業機会拡大の思惑が働いているようだ。同社は、ふるさと納税募集のための広告宣伝や納付証明書の発送、特産品の選定や発送業務の代行などの関連業務を自治体から一括して請け負っており、限度額引き上げによるメリットが期待されているようだ。

 MRT<6034>=ストップ高。
同社は12月26日に東証マザーズに新規上場しており、値動きの良いIPO銘柄として買い人気を集めている。上場2日目の29日に公開価格800円の4.1倍となる3275円で初値をつけ、一時3385円まで上昇した。ただ、30日には下落し2860円で取引を終えたことから、この日は下値を拾う買いが強まった。同社は、医療従事者に特化した人材紹介サイト「MedRT.com」を運営しており、医師の外勤(アルバイト)マッチングサービスが主力ビジネス。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想