未辛抱(ひつじしんぼう)・・・・・

著者:柳澤浩
投稿:2015/01/05 15:14

ドラギ総裁には辛抱出来ない状況・・・・・

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

今年は未年ですが、株式市場では、「未辛抱(ひつじしんぼう)」と云われている様です。これは、「辰巳天井(たつみてんじょう)」「午尻下がり(うましりさがり)」の続きなので、午年の後半に下がった為に翌年の未年は辛抱が必要になると云う事ですから、昨年後半に強地合いを維持していた日経平均株価には当てはまらないのかもしれません。そうなると、「辛抱」を強いられるのは、株式投資家では無いと云う事なのかもしれず、では誰なのかと考えてみたい処です。

そんな中、「辛抱強く」と云う言葉を最近使い始めた集団がいます。御存知、米FRBです。12月FOMC声明文に「金融政策の運営姿勢の正常化開始において『辛抱強く』いられる」なる文言を挿入したのです。唯、この言葉、文字通りには受け取られず、利上げ開始が迫っている事を指す、「キーワード」とされています。しかし、この処の原油相場の急落とそれによる新興国通貨安、それが新興国の金融市場の大混乱につながれば、本当に「辛抱強く」ならなくてはならない可能性もあります。

一方、市場が「辛抱強く」ては『いけない』と考えているのはドラギ(ECB総裁)さんでしょう。本日はドイツの12月CPI発表、7日にはユーロ圏の12月HICP発表が予定されており、特に後者の市場予想は前年比「-0.1%」となっており、愈々、「デフレ・リスク」の顕在化につながるレベルへの低下が見込まれています。この為、1月22日のECB理事会での国債購入を含む量的緩和政策の拡大が「待った無し」の状況にあると市場は考え、これにギリシャの政治不安も加わってユーロ売りが止まらず、終に、1.20ドルの大台をも割り込む動きとなっています。

今日の東京時間早朝には、一時、1.18ドル台半ばまで急落し、2010年6月のギリシャ危機時の安値をも下回りました。この為、一旦は達成感も出て、1.19ドル台後半まで急反発となりましたが、今後も、ユーロ圏の指標や今週末の米・雇用統計等を材料に、ユーロ売りやドル買いの流れが強まり、ユーロドルの下落は継続するものと思われます。ユーロドルの次の目標レベルは、2005年11月安値1.1640ドル、心理的節目の1.1500ドルと云う事になりそうです。
柳澤浩
(株)FXプライム byGMOチーフアナリスト
配信元: 達人の予想