■小野山 功が見通す「2015年の株価材料」 ~【今年も株高は続くのか】2015年 『2大テーマ』とその注目の銘柄とは?~
2014年は10月31日の日銀による大規模な金融緩和政策の後押しもあって、日経平
均株価は1年間でおよそ 7%上昇しました。
2013年の年間上昇率 56%に比べれば見劣りするものの、これで3年連続の上昇と
なりました。果たして、今年も株高は続くのでしょうか?
証券業界からは、今年こそ“2万円台突破”と強気な声が聞かれますが、今年最も
注目を集めそうな『2大テーマ』に関連した注目銘柄を紹介致しま す。
■テーマ1『円安』 - 業種よりも“生産拠点”に注目を
ドル円相場は昨年1年間で、15円ほど円安になりました。
米国では年内に利上げが行われるのがほぼ確実視されていることから、日米の金
利差拡大による「ドル高」は当面継続するものとみられます。
株式市場では、為替が円安方向に振れると、トヨタ自動車(7203)など輸出関連
株が買われる傾向にあります。
トヨタの場合、対ドルで1円為替が円安になると、年間の営業利益を400億円押し
上げるといわれます。そのため、為替が円安に動けば、業績の拡大 期待から買
われやすいのです。
同社は15年3月期の想定為替レートを1ドル=104円と設定しています。昨年12月
30日現在の円相場が1ドル=120円50銭程度ですので、 16円ほど上回っており、
業績が会社計画を上回る公算が大きいといえます。
同社のように輸出企業は今期(15年3月期)の想定為替レートを、1ドル105円前
後と設定している企業が多く、120円台の円安水準が継続する ようであれば、1
月下旬から本格化する決算発表シーズンに向けて、業績の上方修正期待が高まり
そうです。
ただ、注意しなければならない点もあります。長引く円高で工場の海外移転を進
めている企業も多く、同じ業種でも円安の恩恵は三者三様なのです。
重要な点は、生産拠点がどこにあるかです。自動車セクターでは、マツダ(7261)
や富士重工業(7270)は日本国内での生産比率が高く、国内 で製造した自動車を
北米市場へ輸出しているため、円安による恩恵を受けやすい傾向にあります。
一方、ホンダ(7267)は「現地生産・現地販売」の戦略をとっていますので、円安
局面では株価のパフォーマンスが相対的に見劣りする結果になっ ています。
また、円安を受けて、生産拠点を国内に戻す動きも見られています。キヤノン
(7751)は円安で輸出採算が改善していることから、国内工場の増産 などで、国
内生産比率を50%前後まで高める方針を示しています。
製造メーカーへの技術者派遣を主力としているメイテック(9744)や、アルプス技
研(4641)など、技術者派遣関連にも注目です。
今月下旬に開会する通常国会では、派遣労働者の受け入れ期間の制限をなくす労
働者派遣法改正案が議論される見通しですので、政策面の支援材料も期 待でき
そうです。
■テーマ2『訪日外国人増加』 - 更なる増加へ、クリアすべき課題に注目
昨年、日本を訪れた訪日外国人は2013年の1036万人を大きく上回り、1300万人を
超えることが確実です。
東南アジアからの旅行者に対して、ビザ発給の基準が緩和されたほか、格安航空
会社(LCC)が就航したことや、円安が背景にあります。
また、昨年10月からは「免税」範囲が拡大され、消費を押し上げています。
これまで家電、装飾品、かばん等の一部品目のみ対象でしたが、免税対象が5000
円超の原則全ての品目に拡大されました。
訪日外国人による消費が“2兆円”を突破することが見込みで、国内経済の下支え
役として期待されます。
百貨店大手の高島屋では、毎月「月次売上高」を発表しますが、免税品の販売額
は前年比2倍超が続いています。
安倍政権は2030年までの訪日外国人旅行者数を、現在の2.3倍の3000万人に増や
す目標を掲げています。
国土が日本のわずか“340分の1”ほどしかない、香港の年間観光者数が2500万人程
度ですから、現在の2.3倍の3000万人は、決してハー ドルが高い目標ではないと
思います。
ただ、訪日外国人を増やすためには、クリアしなければならない課題もあります。
例えば、公衆無線LAN(Wi-Fi)の整備環境が諸外国に比べ整っていないことです。
無料で利用できるWi-Fi環境が少なく、外国人観光客には不評とのこと。Wi-Fiス
ポットを運用するワイヤレスゲート(9419)や、モバイ ルWiFiルーターを展開す
る日本通信(9424)は、まだ拡大の余地がありです。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、宿泊施設の不
足が予想されることから、ホテルを建て替えたり、改修する動きが 出てきてい
ます。
ワシントンホテルを展開する藤田観光(9722)は、『新宿ワシントンホテル本館』
の大規模な改修工事を発表。オークラ(非上場)も総事業費は約 1000億円を投
じ、『ホテルオークラ東京』の建て替えに着手します。
ゼネコンのほかに、内装を手掛ける乃村工藝社(9716)や、丹青社(9743)は業績面
で恩恵を受けることでしょう。
小野山 功
均株価は1年間でおよそ 7%上昇しました。
2013年の年間上昇率 56%に比べれば見劣りするものの、これで3年連続の上昇と
なりました。果たして、今年も株高は続くのでしょうか?
証券業界からは、今年こそ“2万円台突破”と強気な声が聞かれますが、今年最も
注目を集めそうな『2大テーマ』に関連した注目銘柄を紹介致しま す。
■テーマ1『円安』 - 業種よりも“生産拠点”に注目を
ドル円相場は昨年1年間で、15円ほど円安になりました。
米国では年内に利上げが行われるのがほぼ確実視されていることから、日米の金
利差拡大による「ドル高」は当面継続するものとみられます。
株式市場では、為替が円安方向に振れると、トヨタ自動車(7203)など輸出関連
株が買われる傾向にあります。
トヨタの場合、対ドルで1円為替が円安になると、年間の営業利益を400億円押し
上げるといわれます。そのため、為替が円安に動けば、業績の拡大 期待から買
われやすいのです。
同社は15年3月期の想定為替レートを1ドル=104円と設定しています。昨年12月
30日現在の円相場が1ドル=120円50銭程度ですので、 16円ほど上回っており、
業績が会社計画を上回る公算が大きいといえます。
同社のように輸出企業は今期(15年3月期)の想定為替レートを、1ドル105円前
後と設定している企業が多く、120円台の円安水準が継続する ようであれば、1
月下旬から本格化する決算発表シーズンに向けて、業績の上方修正期待が高まり
そうです。
ただ、注意しなければならない点もあります。長引く円高で工場の海外移転を進
めている企業も多く、同じ業種でも円安の恩恵は三者三様なのです。
重要な点は、生産拠点がどこにあるかです。自動車セクターでは、マツダ(7261)
や富士重工業(7270)は日本国内での生産比率が高く、国内 で製造した自動車を
北米市場へ輸出しているため、円安による恩恵を受けやすい傾向にあります。
一方、ホンダ(7267)は「現地生産・現地販売」の戦略をとっていますので、円安
局面では株価のパフォーマンスが相対的に見劣りする結果になっ ています。
また、円安を受けて、生産拠点を国内に戻す動きも見られています。キヤノン
(7751)は円安で輸出採算が改善していることから、国内工場の増産 などで、国
内生産比率を50%前後まで高める方針を示しています。
製造メーカーへの技術者派遣を主力としているメイテック(9744)や、アルプス技
研(4641)など、技術者派遣関連にも注目です。
今月下旬に開会する通常国会では、派遣労働者の受け入れ期間の制限をなくす労
働者派遣法改正案が議論される見通しですので、政策面の支援材料も期 待でき
そうです。
■テーマ2『訪日外国人増加』 - 更なる増加へ、クリアすべき課題に注目
昨年、日本を訪れた訪日外国人は2013年の1036万人を大きく上回り、1300万人を
超えることが確実です。
東南アジアからの旅行者に対して、ビザ発給の基準が緩和されたほか、格安航空
会社(LCC)が就航したことや、円安が背景にあります。
また、昨年10月からは「免税」範囲が拡大され、消費を押し上げています。
これまで家電、装飾品、かばん等の一部品目のみ対象でしたが、免税対象が5000
円超の原則全ての品目に拡大されました。
訪日外国人による消費が“2兆円”を突破することが見込みで、国内経済の下支え
役として期待されます。
百貨店大手の高島屋では、毎月「月次売上高」を発表しますが、免税品の販売額
は前年比2倍超が続いています。
安倍政権は2030年までの訪日外国人旅行者数を、現在の2.3倍の3000万人に増や
す目標を掲げています。
国土が日本のわずか“340分の1”ほどしかない、香港の年間観光者数が2500万人程
度ですから、現在の2.3倍の3000万人は、決してハー ドルが高い目標ではないと
思います。
ただ、訪日外国人を増やすためには、クリアしなければならない課題もあります。
例えば、公衆無線LAN(Wi-Fi)の整備環境が諸外国に比べ整っていないことです。
無料で利用できるWi-Fi環境が少なく、外国人観光客には不評とのこと。Wi-Fiス
ポットを運用するワイヤレスゲート(9419)や、モバイ ルWiFiルーターを展開す
る日本通信(9424)は、まだ拡大の余地がありです。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、宿泊施設の不
足が予想されることから、ホテルを建て替えたり、改修する動きが 出てきてい
ます。
ワシントンホテルを展開する藤田観光(9722)は、『新宿ワシントンホテル本館』
の大規模な改修工事を発表。オークラ(非上場)も総事業費は約 1000億円を投
じ、『ホテルオークラ東京』の建て替えに着手します。
ゼネコンのほかに、内装を手掛ける乃村工藝社(9716)や、丹青社(9743)は業績面
で恩恵を受けることでしょう。
小野山 功