「掉尾の一振」に期待感、中小型株へ買い意欲旺盛

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/29 20:06

大納会の東京株式市場見通し

 あす大納会の東京株式市場は、「掉尾の一振」に期待した買いが想定され、日経平均株価は反発となりそうだ。焦点は、12月8日につけた終値ベースでの年初来高値1万7935円や、取引時間中高値の1万8030円(同日)を上回れるかどうかだ。ただ、きょう反落しただけに、相当な買いエネルギーの強さが必要となる。

 29日の東京株式市場は、買い先行でスタートしたものの、後場は波乱展開となり、日経平均株価は一時、前週末比300円近く下落する場面もあった。大引けにかけて下げ渋ったものの、終値は同89円安の1万7729円と反落。ただ、東証1部の値上がり銘柄数は1090、対して値下がり銘柄数は646(変わらずは123銘柄)と値上がりが大きく上回った。個人投資家からとみられる中小型株への買い意欲は引き続き旺盛だ。

 厚生労働省が昼ごろに、西アフリカから帰国した男性がエボラ出血熱に感染した疑いがあると発表、これが売りを誘発する背景となったようだ。

29日の動意株

 ヤマダ・エスバイエルホーム<1919>=続急伸。
政府は27日、総額3.5兆円の国費を投じて個人消費を支え、地方の産業振興を後押しする経済対策を閣議決定したが、なかで省エネ基準を満たした住宅の新築や改築をした際に、エコ家電などと交換できる「住宅エコポイント」制度を再開することから、需要増への期待感が強まっているようだ。

 エムアップ<3661>=大幅続伸。
この日、「ふなっしー」のLINEで使える年賀スタンプを配信したと発表しており、これを好感した買いが入っている。年賀スタンプ&デコとして、年賀スタンプや、そのまま送れる年賀カードにかわいいテンプレートなどふなっしーの素材が盛りだくさんとなっている。

 ツカモトコーポレーション<8025>=急動意。
同社は、低金利環境が定着するなか都内に高収益の不動産を保有するなど含み資産株の側面がクローズアップされているようだ。時価PBRは0.5倍台と割安感が際立つとともに、強固な財務体質を背景に15年3月期配当は3円を計画、2%を超える配当利回りも魅力がある。

 シンクレイヤ<1724>=ストップ高。
前週末26日の取引終了後、大口ケーブルFTTH(光ファイバーによる家庭向け通信インフラ)工事を受注したと発表したことが好感されている。愛知県内のケーブルテレビ局からの受注で、受注金額は41億8100万円。ただし、長期契約であるため「各年度に与える影響は著しいものではない」(会社側)としている。

 北興化学工業<4992>=大幅続伸。
同社は26日の取引終了後、14年11月期予想連結利益の増額修正を発表したことが好感されている。営業利益を17億5000万円から19億5000万円(前期比3.7倍)へ、最終利益を6億円から10億円(同2.1倍)へ修正した。売上高は425億円(同9.6%増)で据え置いた。製造コストや販管費の削減、それに円安に伴う為替差益などが収益の押し上げ要因となった。

 多摩川ホールディングス<6838>=4日続伸。
同社は26日の取引終了後、地熱発電所事業に参入することを発表した。泉源所有者と協議した結果、大分県別府市に地熱発電所の建設申請を行い、15年8月に売電を開始する。これに関連してマッコーリー・バンク・リミテッドを割当予定先とする第三者割当による第6回新株予約権を発行する。発行総額は21億9960万円で割り当て日は15年1月16日。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想