地方創生関連株を狙え!地銀やスーパー、建設など

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/26 18:32

“地方創生”が浮上

 来年の有力テーマに“地方創生”が浮上している。石破茂地方創生相が先頭に立つ地方創生は安倍政権の最重要課題のひとつ。年末に策定される経済対策や税制改正大綱では、アベノミクスを地方経済に行き渡らせることを視野に、地方重視の姿勢が打ち出される見通しだ。地方活性化は、株式市場においては“地方銘柄の再評価”に結びつく。銀行のほかスーパー、ゼネコンなど地元企業の株式が再脚光を浴びよう。

 政府による経済対策は27日にも閣議決定される予定だ。消費喚起や円安への対応が視野に入れられ、規模は3.5兆円前後となる見通しだ。

 この経済対策には、地方創生交付金を計上。商品券の発行支援や住民の灯油代の支援、低所得者や老人ホームなどの暖房費の助成などが実施されるとみられている。特に、政府・与党が重点政策に掲げる「地方創生」に絡み、企業が本社機能を地方に移転する際の税金優遇策などを講じる見通し。社屋への投資額の税金控除や本社機能の地方移転で雇用が増えた場合の税額控除などが、30日にまとまる来年度の与党税制改正大綱に盛り込まれる可能性が出ている。

政府は「地方創生特区」を来年春に指定

 さらに、政府は地方に就職する大学生に学費を支援する制度を始める見通しのほか、生まれ故郷など好きな地方自治体に寄付すると居住地で払う住民税と所得税が減る「ふるさと納税」を拡充する方向だ。

 また、政府は「地方創生特区」を来年春に新たに指定する。規制の緩和を認める同特区の動きは市場の関心を集めそうだ。

 来年4月に予定されている統一地方選にも絡み地方関連銘柄への関心は高まりそうだ。地方に多数の店舗を持つイオン<8267>やホームセンターのコメリ<8218>、ふるさと納税の支援事業を進めるサイネックス<2376>などに「地方創生」は追い風だ。地銀や地方を本拠とするゼネコン、スーパーへの見直し機運も強まっている。

セクターごとの動向

 地銀は、横浜銀行<8332>東日本銀行<8536>の経営統合の検討を発表したことで、業界再編機運が浮上。来年は一段の合従連衡が進む可能性が出ている。また、地方創生に絡む地域経済活性化は地銀にとってプラス。宮城県の七十七銀行<8341>や、茨城県の常陽銀行<8333>などのPBRは1倍割れの水準で割安感は強い。

 地方創生交付金による商品券の発行支援や住民への灯油代の支援は、地方の消費活性化へのプラス材料。足もとの原油安はガソリン価格の値下がりとなり、自動車利用率が高い地方消費者には、購買力の拡大要因となる。広島県など山陽地方地盤のイズミ<8273>や埼玉県のベルク<9974>、滋賀県地盤の平和堂<8276>などが注目される。

 地方建設会社(ゼネコン)も経済活性化への期待が強い。補正予算策定による公共投資の増加や補修工事需要の伸びも業績の押し上げ要因となりそうだ。長野県地盤の北野建設<1866>や新潟県の福田組<1899>、群馬県の佐田建設<1826>など。

 訪日観光客の増加とともに地方電鉄株にも見直し余地が膨らんでいる。富士山観光で注目を集める富士急行<9010>や福岡県地盤の西日本鉄道<9031>など。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想