自律反発継続で買い優勢、新規上場のgumi注目

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/17 22:38

明日の東京株式市場見通し

 18日の東京株式市場は、日本時間18日の未明に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の内容や、原油価格、ロシア通貨ルーブルの動向によって左右される。ただ、17日の日経平均株価は寄り付きこそ続落のスタートとなったものの、間もなく反発に転じ、後場は売り物を吸収して底堅い動きをみせた。日経平均株価終値は、前日比64円高の1万6819円と3日ぶりに反発した。

 市場関係者からは「15日、16日の2日間で日経平均株価が616円と大幅に下落。9日以降の調整では、約6.5%の大幅な下落で自律反発機運が強まっていた。また、後場に入って外国為替市場で円安・ドル高基調が持続したことも買いを支えたようだ。複数の海外要因が重なったことで反応が過剰になったが、時間経過とともに徐々に沈静化するのではないか」との見方が出ていた。

 なお、gumi<3903>が東証1部に、大冷<2883>が東証2部に、アドベンチャー<6030>が東証マザーズ市場にそれぞれ新規上場する。

17日の動意株

 中外製薬<4519>=大幅高。
16日にR&D説明会を開催、これを受けて証券各社がリポートを発表しており、概ね好評価だったことが材料視されている。そのうち、「がん治療薬の着実な臨床試験進捗が確認できた点でポジティブな印象」と評した三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、中外薬にとっての重要領域であるHER2陽性・乳癌治療について、「乳癌治療薬ハーセプチン+乳癌治療薬パージェタ」の併用療法が標準治療となり、2016年前後には、臨床経験の蓄積などから、「パージェタ+乳癌治療薬カドサイラの併用療法が次の標準治療になる」と予想。

 オプティム<3694>=後場一段高。
同社はきょう、九州通信ネットワーク(QTNet)が来年1月15日から販売を開始する「安心まとめてパック」向けに、リモートサポートサービス「Optimal Remote」とパソコン最適化ソリューション「Optimal Health Care」を提供すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。「安心まとめてパック」は、リモートサポートやパスワード管理、ネット詐欺防止、パソコン診断ツールの4つのサービスをパックにしたもの。同社は、このうち2つのサービスを提供する。

 トランザクション<7818>=後場活況。
前引け後に、日本政策投資銀行により、発行済み株式数の3.00%相当の株式(19万3100株)が取得されたと発表しており、これを好材料視した買いが入っている。取引形態は公開買い付けの方法によらない取引所金融商品市場外における相対売買で、売り手は代表取締役社長の石川諭氏。株式譲渡日は11月25日。

 ダイヘン<6622>=続急伸。
柱上変圧器など電力機器が配電網設備向けなどに需要高水準で収益を牽引している。家庭用太陽光発電システムの普及が進むにつれて増設需要が発現していることも追い風材料。一方、溶接・ロボット事業は販売好調な自動車業界や造船業界向けからの需要が高まっており、中期的にも追い風が強い。15年3月期営業利益は従来予想の70億円から80億円(前期比26.1%増)に上方修正しているが、再増額の可能性が濃厚との見方が株高を後押ししている。

 メディアシーク<4824>=ストップ高。
同社は16日に、「バーコードリーダー/アイコニット」がサムスン製の新型スマートフォン「GALAXY Tab S SCT21」のプリインストールアプリに採用されたと発表。さらなる採用拡大などが期待されているようだ。バーコードリーダー/アイコニットは、スマホ向けJAN/QRコード読み取りアプリ。11月中旬には累計1400万ダウンロードを達成している。

 テクノマセマティカル<3787>=ストップ高。
きょう付の日刊工業新聞で、圧縮されたフルハイビジョンの16倍の画素数を持つ「8K」映像を、画質を落とさずに復元する技術を開発したと報じられたことを材料視。記事によると15年春をメドに、動画ファイルを変換するエンコーダーも開発する計画という。8K(7680×4320画素)映像は、16年の試験放送開始を目指して開発が進められているが、同社が開発したのは記録や伝送のために圧縮された8K映像をリアルタイムで元に戻す技術で、新たな技術に対するニーズの高まりへの期待感から買いが入っているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想