小野山功が見通す「今週の株価材料」 ~増配発表のキヤノンが年初来高値を更新!【2.2億株】もの自社株の使途にも注目を~
※2014/12/15 17:49 追加
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キヤノン以外にも10年以上、配当金を引き下げていない企業は多くあります。
24期連続増配の花王(4452)は株式市場で高い評価を受けていますが、一方で体力以上の配当を続けていれば、減配リスクがあることに注意しておきましょう。
(4911)資生堂は昨年「64年間で初の減配」となりました。
利益以上の配当を続けている(4502)武田薬品などは、減配リスクがあることに注意しておきましょう。
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■先週末、3期ぶりの増配を発表した(7751)キヤノン。実は26年間「減配なし」!?
配当金は本来、利益の一部を株主に還元するものですので、業績が低迷した場合には、配当金を減額(減配)したり、無配にする企業も少なくありません。
特に、グローバル企業であれば、為替の影響や各国の景気変動の影響を受けるため、毎年利益成長を続けるのはたやすいことではありません。
そんな中、1988年から一度も減配をしていない優良企業があります。(7751)キヤノンです。
同社は、88年から26年にわたって配当金の減額を行っていません。リーマンショックのさなかの2009年12月期(2008年1月~12月)に、営業利益がピーク時の3割ほどの2,170億円まで落ち込みましたが、当時も配当金の引き下げは行わず、年間の一株利益が106円だったのに対して、110円の配当金を実施しました。
そして、今期は3期ぶりの増配を発表。年間配当を20円増額し、年150円とする見通しです。
■「配当」同様に積極的な「自社株買い」。【2.2億株】もの金庫株の使途は?
同社は「配当」だけではなく、自社株の買い入れにも積極的です。これまで買い入れた自社株は 2億2千万株超と発行済み株式総数の17%にも及びます。
同社の御手洗会長は「自社株買いは4%という高い利回りを得られる貯金だ」と発言しています。自社株への配当は実施していませんが、自社株を購入すれば、配当金の外部流出を防ぐことができるからです。
キヤノンは2015年度に売上高を5兆円に増やすという中期経営計画を掲げています。現在の売り上げは3.8兆円程度ですので、目標を達成するためにはM&A(合併買収)が必要になってくるでしょう。
そこで活用できるのが、これまでコツコツと買い入れてきた自社株(金庫株)です。M&Aの企業買収の際に、この2億2千万株超の金庫株を対価として活用できるのです。
配当金を引き上げれば、株を買いたい人が増え、株価の上昇が期待できます。通常であれば、社外にお金が流出しますが、キヤノンの場合は自社で保有する金庫株の評価額が上がり、その分M&Aに使える対価が増えることになります。
今回の増配発表は、売上高を5兆円に向けた、大型M&Aに対する布石という見方もできるのではないでしょうか?
小野山 功
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キヤノン以外にも10年以上、配当金を引き下げていない企業は多くあります。
24期連続増配の花王(4452)は株式市場で高い評価を受けていますが、一方で体力以上の配当を続けていれば、減配リスクがあることに注意しておきましょう。
(4911)資生堂は昨年「64年間で初の減配」となりました。
利益以上の配当を続けている(4502)武田薬品などは、減配リスクがあることに注意しておきましょう。
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■先週末、3期ぶりの増配を発表した(7751)キヤノン。実は26年間「減配なし」!?
配当金は本来、利益の一部を株主に還元するものですので、業績が低迷した場合には、配当金を減額(減配)したり、無配にする企業も少なくありません。
特に、グローバル企業であれば、為替の影響や各国の景気変動の影響を受けるため、毎年利益成長を続けるのはたやすいことではありません。
そんな中、1988年から一度も減配をしていない優良企業があります。(7751)キヤノンです。
同社は、88年から26年にわたって配当金の減額を行っていません。リーマンショックのさなかの2009年12月期(2008年1月~12月)に、営業利益がピーク時の3割ほどの2,170億円まで落ち込みましたが、当時も配当金の引き下げは行わず、年間の一株利益が106円だったのに対して、110円の配当金を実施しました。
そして、今期は3期ぶりの増配を発表。年間配当を20円増額し、年150円とする見通しです。
■「配当」同様に積極的な「自社株買い」。【2.2億株】もの金庫株の使途は?
同社は「配当」だけではなく、自社株の買い入れにも積極的です。これまで買い入れた自社株は 2億2千万株超と発行済み株式総数の17%にも及びます。
同社の御手洗会長は「自社株買いは4%という高い利回りを得られる貯金だ」と発言しています。自社株への配当は実施していませんが、自社株を購入すれば、配当金の外部流出を防ぐことができるからです。
キヤノンは2015年度に売上高を5兆円に増やすという中期経営計画を掲げています。現在の売り上げは3.8兆円程度ですので、目標を達成するためにはM&A(合併買収)が必要になってくるでしょう。
そこで活用できるのが、これまでコツコツと買い入れてきた自社株(金庫株)です。M&Aの企業買収の際に、この2億2千万株超の金庫株を対価として活用できるのです。
配当金を引き上げれば、株を買いたい人が増え、株価の上昇が期待できます。通常であれば、社外にお金が流出しますが、キヤノンの場合は自社で保有する金庫株の評価額が上がり、その分M&Aに使える対価が増えることになります。
今回の増配発表は、売上高を5兆円に向けた、大型M&Aに対する布石という見方もできるのではないでしょうか?
小野山 功