円安進行一服で軟調、鉱工業生産指数を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/27 23:28

28日の東京株式市場見通し

 28日の東京株式市場は、現地27日が感謝祭の祝日で米株式市場が休場となることから、外国人投資家の売買注文の減少が予想され、売り買いともに手控えムードが支配しそうだ。

 そのなかで、経済産業省が午前8時50分に発表する10月の鉱工業生産指数速報値に注目が集まりそうだ。事前の市場予想では前月比0.5%程度の低下との見方が多い。外国為替市場では、27日午後に1ドル=117円台前半まで円高・ドル安傾向が強まっており、円安・ドル高の進行に一服感が浮上している。

 テクニカル面では、日経平均株価の騰落レシオ25日移動平均が137.6%(27日)と依然として高水準にあり高値警戒感は強いものの、半面25日移動平均線1万6629円(同)とのカイ離率はプラス3.7%まで縮小しており、過熱感はかなり和らいできている。

 27日の東京株式市場は、外国為替市場の円安一服などを受けて軟調に推移。日経平均株価終値は、前日比135円安の1万7248円と続落した。

27日の動意株

 ケアネット<2150>=きょうで6日連続のストップ高。
東証はきょうからストップ高の幅を通常の2倍の600円に広げたが、投機資金の流入が続いており、前日比600円高の1672円と値幅制限上限まで買われた。同社は医療ウェブサイトの運営や、製薬会社向けに医薬品情報をネット経由で配信しているが、売上高が伸び悩む一方、販売促進費などが重荷となり利益低水準、PERは単独ベースで95倍台と割高感が強い。

 タムラ製作所<6768>=7日続伸。
同社が独自に手掛けるスマートフォンのフレキシブル配線板向け黒色レジスト材がアップル社向けに採用された実績が、ここ市場が急拡大する中国のスマホメーカー向け需要を取り込む契機となった。また、車載分野では、同社の得意商品である高周波対策用リアクターがトヨタ自動車のハイブリッド車プリウスに採用され、米フォードやホンダなど他の大手メーカーにも広がる動きにあり、これも業績成長への期待につながっているようだ。

 シライ電子工業<6658>=大幅高。
カーエレクトロニクス関連やホームアプライアンス関連が堅調に推移、太陽光発電・LED照明などの電子応用製品も伸び、今15年3月期は期中増額修正で、売上高270億円(前期比5.5%増)、営業利益9億円(同11.2%増)を見込む。為替差損の計上で経常、最終利益は減益予想ながら、これは一過性の要因。PERは9倍割れの低水準で、割安感から見直されている。

 ビジネスブレイン太田昭和<9658>=一時ストップ高。
同社は、26日の取引終了後、自己株式の消却と記念配当の実施を発表したことが好感されている。消却前発行済み株式数の11.56%に相当する104万6000株を12月1日に消却する。また、今月19日に東証2部へ市場変更したことを受け今期末に2円の記念配当を実施。期末配当は12円とする。年間配当は22円(前期比3円増)となる。

 ユーグレナ<2931>=大幅高。
同社は、26日の取引終了後、東証の承認を得て、12月3日付で東証マザーズ市場から東証1部市場へ市場変更することになったと発表した。同社は東京大学発のベンチャー企業で、ミドリムシを活用した機能性食品や化粧品の製造・販売と、バイオ燃料の研究開発などが主な事業。15年9月期連結業績は売上高47億2200万円(前期比55.0%増)、経常利益2億5600万円(同34.0%増)を見込んでいる。なお、東大発ベンチャーとしては初の東証1部指定となる。

 東京製綱<5981>=堅調。
同社は従来品と比べ軽く強度にも優れる炭素繊維を活用したケーブルの生産能力を6割高める方針にあると27日付の日本経済新聞などで報じられ、これが株価支援材料として意識されている。業績面でもワイヤロープなどが好調に推移、投資有価証券売却益の計上や、有利子負債圧縮による金利負担低下などが寄与しており、15年3月期の連結最終利益を26億円から37億円(前期比22%減)へ上方修正していることも追い風材料となっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想