買い疲れ感強く反落、1万7500円前に足踏み

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/25 19:58

26日の東京株価市場見通し

 26日の東京株式市場は、買い手掛かり材料不足の地合いのなかで、上値を追う買いは期待薄となり、足踏み状態が続きそうだ。日経平均株価は反落を予想する。

 25日の東京株式市場は、小幅ながら3日続伸。日経平均株価終値は、前週末比50円高の1万7407円となった。21日に中国の人民銀行が利下げを決定したほか、欧州では欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が量的緩和に踏み切るとの思惑も広がり、世界的な金融緩和期待が株価を支えた。

 ただ、市場関係者からは「きょうも、日経平均は寄り付きが前週末比132円高で、1日のうちの高値となる“寄り付き天井”で伸び悩むパターンとなった」との見方が出ていた。心理的なフシ目ともいえる1万7500円を前に、やや買い疲れ感が出ているようだ。

25日の動意株

 日本化学工業<4092>=上昇が一段と加速。
化学品事業の合理化努力が奏功し、15年3月期は営業利益段階で前期比1.5倍となる13億円見通しと従来予想から4億円も上乗せされた。17年3月期に営業利益15億円の中期計画を掲げているが、前倒し達成が濃厚視される状況だ。また、放射性セシウムや放射性ストロンチウムを同時に除去できる吸着剤「ピュアセラム」の開発に成功していることが、投機資金攻勢の根拠となっている。

 北越工業<6364>=反発。
同社はこの日、午後1時に米国ジョージア州に子会社を設立することを発表した。エンジンコンプレッサーや発電機で世界最大規模のマーケットを誇っている米国では、エネルギー資源開発などの需要が見込めることから、現地での生産や販売体制を強化していく。

 きちり<3082>=3日続伸。
チャート妙味抜群で「デイトレーダーなど個人投資家の短期資金を取り込み、元来の品薄感を背景に上値への思惑が復活している」(市場関係者)という。同社は関西を中心にカジュアルダイニングを展開し関東にも進出、女性向け居酒屋「きちり」や「いしがまやハンバーグ」などを直営展開している。15年6月期は営業利益段階で前期比45.7%増の7億円を見込むなど好調だ。消費増税の逆風のなか既存店の健闘に加え、新規出店にも積極的で中期的な業績成長に対しても期待が大きい。

 星光PMC<4963>=大幅高。
同社は21日に、竜ヶ崎工場(茨城県)にセルロースナノファイバー(CNF)の実証生産設備(パイロットプラント)の建設工事が完了し、本格的な変性CNFサンプルの提供を開始したと発表。今後の展開への期待が高まっているようだ。CNFは、全ての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことで得られる繊維で、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上の強度を持ち、熱による変形が少ないなどの特性を持つ。

 ワンダーコーポレーション<3344>=ストップ高。
同社は21日に、ファミリーマート<8028>とコンビニエンスストアとエンタテインメント専門店の一体型店舗の出店などで包括提携契約を結んだと発表。これが材料視されているようだ。 両社は提携により、ワンダーCO.が展開している「WonderGOO」や「TSUTAYA」とファミリーマートとの一体型店舗やグループ企業を通じた新たなエンタテインメント事業の創出などに取り組む。

 一正蒲鉾<2904>=ストップ高。
東京証券取引所は、前週末21日取引終了後に同社株を28日付で2部市場から1部市場に指定すると発表。この日は、東証1部指定によるTOPIX採用に伴い、機関投資家の新たな組み入れニーズが発生することなどへの期待感から買いが流入している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想