加速するお一人様需要、単身者以外の利用にも照準

家族がいるケースにも需要

　国立社会保障・人口問題研究所の調べによると、２０３０年には生涯未婚率が男性３０％（１０年現在で２０％）、女性２３％（同１１％）に増加すると予想している。３０～５０歳代の働き盛りの単身者は、アクティブで消費意欲も旺盛という特徴がある。そのため、これまでは単身者をターゲットにしたものが多かった。

　ところが、実態はパートナーや家族がいるケースでも個人の趣味嗜好を追求する動きが高まりをみせており、個別行動で食事やレジャーを楽しもうとする需要の取り込みが進んでいる。

　具体的には、お一人様を歓迎する旅行ツアーの需要拡大に拍車がかかる。リタイアした夫婦の場合、「旅行先に行ってまで夫の世話をしたくない」という妻が、気ままに一人で出掛けたいというニーズが高いという。また、独身ＯＬも友達に気兼ねしない一人旅が増えている。ＫＮＴ－ＣＴホールディングス＜9726＞傘下の旅行代理店クラブツーリズムは「お一人様限定の海外旅行ツアー」を積極展開している。

　首都圏重点に中古マンションの再生販売を手掛けるインテリックス＜8940＞は、「女性限定！失敗しない中古マンションの探し方」と題したセミナーを開催するなど、お一人様需要を支援。

　また、公的年金の支給額の削減や開始年齢の引き上げが見込まれるため、老後の生活資金確保のための年金タイプ保険がクローズアップされており、第一生命保険＜8750＞に注目。さらに、お一人様の終活に関連しては、イオン＜8267＞が葬祭事業を分社化し、相続、遺言、保険、永代供養など「終活」の総合的なサービスの提供を強化している。

◆主なお一人様関連銘柄

銘柄（コード）　　　　今期営業増益率　　　株価　　　ＰＥＲ

イオン＜8267＞　　　　　　１９．６　　　１１９１　　　２０．７
第一生命＜8750＞　　　　　　４．３　　　１７０７　　　２５．４
インテリックス＜8940＞　▼１８．８　　　　６５４　　　１０．３
ＫＮＴＣＴ＜9726＞　　　　１０．７　　　　１６０　　　２２．３