大幅安の後遺症で続落、安倍首相の動向を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/17 19:31

18日の東京株式市場見通し

 18日の東京株式市場は、衆院解散の判断が最終調整に入ることから、安倍晋三首相の動向をにらみながらの神経質な展開となりそうだ。きょうの国内総生産(GDP)ショックによる大幅下落の後遺症も想定されるだけに、買い手控え姿勢が強まり、日経平均株価は続落となりそうだ。

 市場関係者は「きょうの下げは500円超と大幅だったが、先週末までの4日続伸で710円(終値ベース)もの急騰を演じていたことを考えると、スピード調整の範囲内で中期上昇トレンドに支障をきたすようなものではない」としている。

 安倍首相が解散に至った背景説明と同時に、今後の景気立て直しに向けて、具体的で分かりやすい成長戦略などの経済政策を打ち出せるかどうかが、今後の株価の帰趨を決めることになりそうだ。

 17日の東京株式市場は、7~9月期のGDP速報値が、前期比0.4%減、年率換算1.6%減と市場予想の2.2%増を大きく下回るマイナス成長となったのを嫌気して全面安。日経平均株価終値は、前週末比517円安の1万6973円の大幅反落となり、1週間ぶりに1万7000円台を割り込んだ。

17日の動意株

 アイスタイル<3660>=急伸。
12月18日に東証への上場を予定しているモバイルオンラインゲームの開発、運営および配信を手掛けるgumiの株式49万株(同1.64%)を保有しているほか、14日には投資育成事業を開始すると発表したことが好感されている。女性向け化粧品の口コミサイト「アットコスメ」を運営する同社は、子会社「アイスタイルキャピタル」を17日に設立。主に「ビューティ」に関連する企業を対象にした投資育成を行う。

 ネットワークバリューコンポネンツ<3394>=4日ぶり急反発。
サイバー犯罪が深刻化するなか、国や地方自治体にサイバー攻撃への安全対策を講じる責任を課す「サイバーセキュリティ基本法」が今月6日の衆院本会議で可決したが、同社のネットワーク監視システムには会社側の想定を大きく上回る引き合いがあり、今後の業績成長に対する期待が大きい。東証が13日売買分から信用取引に関して、委託保証金率を50%以上(うち現金20%以上)とする臨時措置を実施したことで、いったん利益確定売りを誘発したが、売り一巡からバランスを取り戻した格好となっている。

 新コスモス電機<6824>=急伸。
トヨタ自動車<7203>が燃料電池車「ミライ」を世界に先駆して12月から国内で市販、関連株に再び動きが出てくるなかで、燃料を供給する水素ステーション用のガス検知警報機を手がける同社株も関連銘柄の一角として物色されている。高濃度水素中の微量な一酸化炭素を検知する分析装置なども開発しており、水素ステーションの整備が進めば同社も恩恵を享受することになろう。

 関東電化工業<4047>=急騰。
同社は14日取引終了後、15年3月期通期の連結業績予想の修正を発表、売上高見通しに変更はないが、営業利益は従来予想の23億円から28億円(前期比84.3%増)、最終利益は20億円から25億円(同2.2倍)に大幅上方修正した。半導体・液晶用特殊ガスが販価、数量ともに好調で会社側当初見込みを上回る。また、これまで未定としていた期末一括配当を3円とする(前期は無配)ことも発表しており、これを好感する短期筋の買いが集中する格好となった。

 木村化工機<6378>=急反発。
同社は14日の取引終了後、今15年3月期通期業績予想を修正。連結売上高は従来予想の173億円(前期比11.4%増)を据え置いているが、営業利益は5億5500万円から6億3800万円(同6.9%増)へ上方修正、これを好感している。工事の進捗が期初の予想よりも進んでいることに加え、コスト管理と工程管理の強化が利益を押し上げている。

 日本アクア<1429>=続急伸。
同社は14日の取引終了後、12月31日を基準日として1対5株の株式分割を実施すると発表しており、これを好感した買いが入っている。投資単位当たりの金額を引き下げることで、より投資しやすい環境を整えるとともに、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることが目的という。なお、効力発生日は来年1月1日。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想