FOMC前に買い手控え、物色意欲は盛り上がり欠く

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/27 19:20

28日の株式相場見通し

 28日の東京株式市場は、現地28日から2日間にわたって開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を目前にして買い手控え姿勢が強まり、日経平均株価は反落となりそうだ。

 27日の東京株式市場は、東証1部の売買代金が1兆6628億円と、活況の目安とされる2兆円を3営業日連続で下回り、1兆6000億円台と9月8日以来の低水準にとどまり、盛り上がりを欠く地合いとなっている。東証1部の業種別株価指数では、33業種の全てが前週末比でプラスとなったものの、“全面高”という印象からは遠く、市場から受ける買いのエネルギーは限定的といえそうだ。

 さらに、市場関係者からは「15年3月期の単独経常利益の黒字確保が伝えられた東京電力<9501>が大幅高となったのを受けて電力株が軒並み買い進まれるなど、思惑的な投資姿勢が目立っており、決算発表を評価して主力銘柄に目を向ける姿勢が弱く、投資家の先行き不安感は依然として根強いようだ」との見方が出ていた。

27日の動意株

 JSR<4185>=後場急伸。
同社は午後1時に、自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。500万株(発行済み株式数の2.11%)、100億円を上限としており、取得期間は10月28日から来年1月21日まで。同時に発表した第2四半期累計(4~9月)の連結決算は、売上高1999億円(前年同期比5.9%増)、営業利益179億3300万円(同0.5%増)だった。多角化事業でスマートフォンやタブレット需要の拡大を背景に、半導体材料が好調だったほか、ディスプレー材料も伸長した。

 佐田建設<1826>=後場大幅高。
午後2時に集計中の第2四半期累計(4~9月)連結業績について、売上高を従来予想の152億6000万円から135億5000万円(前年同期比3.1%増)へ下方修正した一方、営業利益を同1億円から3億6700万円(同2.1倍)へ、純利益を同8300万円から3億4800万円(同93.3%増)へ上方修正したことが好感されている。比較的高利益な工事の完成や工事原価の圧縮などによる改善努力が寄与したという。

 飛島建設<1805>=商い伴い反発。
同社は山梨実験線・延伸工事でトンネル工事などへ参画、九州・上越・東北新幹線向けでもトンネル工事を手掛けるなど、同分野での実績が豊富、リニア中央新幹線でも事業機会の拡大が見込まれている。売り残も増加傾向にあり需給相場の片鱗をのぞかせているが、時価300円台は株式併合後修正を考慮して09年6月以来約5年半ぶりの高値圏にあり、戻り売り圧力が希薄化されている。

 世紀東急工業<1898>=急伸。
24日の取引終了後、15年3月期連結業績予想の増額修正を発表したことが好感されている。売上高は725億円から732億円(前期比3.9%減)に見直したほか、営業利益は32億6000万円から42億円(同12.1%減)、純利益は30億円から40億円(同5.5%増)に増額した。工事採算性の向上や一般管理費の低減が収益に寄与している。同社は道路舗装などを手掛け、道路株の物色人気に乗っている。

 日本ライフライン<7575>=ストップ高。
同社は24日取引終了後に、15年3月期の業績予想を上方修正した。通期の連結業績について、従来の売上高255億3900万円を257億4900万円(前期比5.7%増)へ、営業利益10億7600万円を17億5100万円(同43.6%増)へそれぞれ増額した。高採算の自社グループ製品を中心に販売が拡大。集計中の第2四半期が計画を上回り、通期予想を見直した。

 駅探<3646>=7日続伸。
前週末24日の取引終了後、集計中の第2四半期累計(4~9月)単独業績について、売上高を従来予想の12億7000万円から13億3600万円(前年同期比3.5%増)へ、営業利益を同1億4600万円から2億3700万円(同12.3%増)へ、純利益を同9300万円から1億5100万円(同16.2%増)へ上方修正したことが好感されている。利益率の高い自社の乗換案内サービスや乗換周辺サービスなどの駅探モバイル事業の売上高が、想定以上に伸長したことが要因という。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想