急落・急伸、その後は?

著者:菊川弘之
投稿:2014/10/24 16:27

3分の2戻しで一服感も

 前回(10月9日)の当欄で『20日間安値割れとなると、トレンドフォロー系の途転売りが意識される可能性。過熱感を表わす52週移動平均線との乖離率も、今年1月に修正が起きた時と同水準で、テクニカル的な修正が入りやすい地合いだ。』とし、『8月に上方へブレイクした際との違いは、当時は20日間高値と60日間高値が重なっていたが、足もとは20日間安値は切り上がるものの、60日間安値は、101円台となっており、来週以降も急速に下値が切り上がる訳ではない。テクニカル的な売りで下げた後、急速に買い直されるような動きも想定されるだろう。』としたが、ほぼ想定通りの展開となっている。
 10月1日高値を起点に、リスク回避の高まりから15日に105円台前半まで急落後、昨日は108円台を回復となっている。昨日の上伸で10日間高値を上抜き、20日間安値割れでヒットしたトレンド・フォロー系の売りポジションは、手仕舞われたと思われ、一旦は保合いながら、20日間高値~安値のレンジ放れを待つ格好に移行しそうだ。11月上旬に向けて日柄経過と共に、20日間高値・安値共に、それぞれ切り下がり・切り上がる状況となっている。

 この週末には欧州銀行のストレステスト(健全性審査)、来週はFOMC・日銀金融政策決定会合に、週末・月末が重なる。月替わり初旬には米中間選挙を控えている事などを考慮すると、よほどの波乱がない限り、3分の2戻しで様子見ムードが高まる可能性。

 波乱要因があるとすれば、欧州ストレステストの悪化や、エボラ出血熱の拡大、カナダで見られたようなテロ、そして中間選挙の予想外の格差拡大などだろう。ブラジル大統領選挙の結果にも注意しておきたい。

 これらが一定の枠内で鎮静化を見せるなら、11月のAPEC首脳会議でのグローバル・リスク回避に向けた動きに市場の期待が高まる展開も想定される。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想