手控え姿勢強まり続落、外国人の売り越し続く

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/23 22:41

明日の株式相場見通し

 あす(24日)の東京株式市場は、週末を前に手控え姿勢が強まり、日経平均株価は続落となりそうだ。
 23日の東京株式市場は、前日の米国株安を受けて安く始まった。途中プラス圏に浮上する動きをみせたものの、買いが続かず後場後半は再び軟化し、日経平均株価終値は前日比56円安の1万5138円と反落した。東証1部の売買代金は1兆7730億円と、12日ぶりに2兆円を下回った。

 市場関係者からは「日経平均株価の取引時間中高値1万5232円は、9月25日高値(1万6374円)から10月17日安値(1万4529円)までの下げ幅に対するフィボナッチ比率38.2%の戻しに相当する1万5233円とほぼ同水準まで上昇。これで、目先的な自律反発の目標が達成されたとの見方から、買いが続かなかったようだ」との声が上がっていた。
 東証がまとめた10月第3週(14~17日)2市場(東京・名古屋)の投資部門別売買動向によると、海外投資家が4076億円の売り越し(前週は3370億円の売り越し)と3週連続で売り越したことも、買い控え材料となりそうだ。

 日程面では、気象庁の3カ月予報に注目。海外では、米9月の新築住宅販売件数、英7~9月期のGDP、韓国7~9月期のGDPが焦点となる。

<動意株・23日>=ニチユ三菱、日本電計、大林道など

ニチユ三菱フォークリフト<7105>=続伸。
三菱重工<7011>から事業継承したバッテリー式フォークリフトは国内シェア2位。欧米での販売好調なほか、世界的な排ガス規制の高まりを背景にNOx規制対応エンジン車を拡販体制にある。15年3月期は最終利益50億円見通しと前期比倍増近い伸びで大幅ピーク利益更新見通し、来期も続伸が見込める。

 日本電計<9908>=後場に一時ストップ高寸前まで上昇。午後1時に15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の745億円から755億円(前期比3.8%増)へ、営業利益を同17億5000万円から22億円(同14.5%増)へそれぞれ上方修正したことが好感されている。上期にスマートフォンの検査装置を受注した連結子会社アイコーエンジニアリングが大幅な増収増益になったことに加えて、海外で中国、タイの販売子会社の業績が堅調に推移したことなどが寄与した。

 大林道路<1896>=続伸。
前日は15年3月期通期の連結業績見通しの上方修正を受けて、一時717円とストップ高目前まで買われたが、その後伸び悩み600円台で着地していた。きょうは改めて買い直され高値713円まで上値を伸ばし、新値街道を意識する展開となっている。不採算工事の減少と業務効率化による採算性向上を背景に通期営業利益51億6000万円予想を65億円(前期比4.9%減)へと大幅に引き上げたが、下期想定を16.6%減と非常に保守的な見方をしていることで、「再増額修正の公算が大きい」(市場関係者)との見方が強まっている。

 古野電気<6814>=4日続伸。
15年2月期通期の連結営業利益を22億円(前期比47.5%増)と従来予想から3億円下方修正したことから、前週後半にマドを開けて大きく売られたが「過剰反応で売られ過ぎ」(市場関係者)との見方が強く、押し目買いを誘っているようだ。同社は船舶用電子機器の最大手メーカー。プレジャーボート向けが北米や欧州で不振で収益成長の足を引っ張っているものの、LNGタンカー需要の拡大や、世界的な漁船向け魚群探知機の好調でそれを十分に補える状況。

 十六銀行<8356>=大幅高で続伸。
地銀業界は業界再編思惑が強まるなか、安倍政権が掲げる「地方創生」のテーマも絡め株価動向に注目する向きが少なくない。そのなか、同社は岐阜県のトップバンクで名古屋での展開を積極強化するなど手掛かり材料を提供している。第2四半期連結経常利益は従来予想の87億円から162億円に大幅上方修正しており、物色人気に火がついたが、指標面でもPBRが0.5倍と解散価値の半値水準にあることも大きく見直されている。

 光陽社<7946>=急伸。
同社は、オフセット印刷用写真製版の大手。前日取引終了後に、15年3月期の業績予想を上方修正した。通期の連結業績について、前回の売上高39億円を39億2000万円(前期比0.7%増)へ、営業利益7000万円を1億1500万円(同69.1%増)にそれぞれ増額。内製印刷の充足率が当初計画を大きく上回ったことで、第2四半期(4~9月)が予想を上回る業績改善となり、第2四半期の実績を踏まえ通期予想を見直した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想