反動で売り優勢の展開、世界的に値動き荒い流れに

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/20 20:22

21日の株式相場見通し

 21日の東京株式市場は、反動安の展開を想定。

 20日の日経平均株価は578円高と今年最大の上げ幅で高値引けという最強の足(陽の丸坊主)をみせたが、先物主導で真空地帯を駆け上がった感触。全体の売買代金をみても、ここを買い場と見ての積極的な実需買いが入ったようにはみえない。

 基本的に世界的に株式市場のボラティリティが高まるなか、東京市場は以前にもまして欧米株と為替の動向にリンクしやすくなっている。国内企業のファンダメンタルズは決して悲観するような状態にはなく、決算発表が本格化してくれば、個別銘柄単位の物色意欲も再燃しそうだ。ただ、現在は時間軸的にちょうど幕間にあり、上値追いの足場を欠く局面。逆にいえばマクロ環境を横にらみに先物に左右されやすい地合いといってよい。

 欧州景気の不透明感は一朝一夕には払拭されにくく、欧州株も政策期待だけでは買いが続かないだろう。10月波乱相場収束のカギを握るのはやはり米国株ということになりそうだ。

20日の動意株

 ミクシィ<2121>=続急伸。
8月27日以来の終値での6000円回復となった。同社成長の代名詞ともなっているスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」が依然として際立った人気を博している。3月企業の中間期業績発表が近づくなか、好業績銘柄に対するマークが強まっている。そのなか、海外株や為替の影響を受けにくい内需系の業績好変化銘柄が優位性を発揮しやすく、その宝庫となっているのがスマホ向けにゲームを提供している企業群である。

 カルナバイオサイエンス<4572>=後場に入りストップ高。
前引け後に、同社がSBIバイオテック(東京都港区)と共同で創出し、同社の特許権などにかかわる持ち分を全て取得して、単独で研究開発を行っている「CDC7/ASKキナーゼ阻害薬」に関して、10月17日付で特許査定通知を受領したと発表しており、これを好感した買いが入っている。今回の特許査定は、米国特許成立に次ぐもので、同件特許の権利が確保される地域が拡大することになる。

 キューブシステム<2335>=後場急伸。
前引け後に集計中の第2四半期累計(4~9月)連結業績について、売上高を従来予想の58億円から60億円(前年同期比11.5%増)へ、営業利益を同3億3000万円から4億円(同49.3%増)へ、純利益を同1億8000万円から2億4000万円(同64.4%増)へそれぞれ上方修正した。金融業、流通業を中心とした既存顧客からの継続案件の維持・拡大を図るとともに、新規案件の受注に注力したことが奏効したという。

 enish<3667>=ストップ高。
同社は17日の取引終了後、今秋にもリリース予定のスマートフォン向け新作ネイティブアプリ「巨神攻め攻めマンガRPG 千年の巨神」の事前登録者数が10万人を突破したと発表しており、これを好感した買いが入っている。「千年の巨神」は、封印を解かれた千年の時を超えて巨神が復活した世界で、主人公と心優しいモンスター使い達が世界平和のために巨神を巡る冒険の旅に出るというもの。

 北越工業<6364>=急伸。
エンジンコンプレッサー大手で、移動式発電機などでも実績を有するが、建設関連投資の拡大に伴い同社も大きなビジネスチャンスを享受している。首都圏では東京圏の戦略特区構想で再開発事業が軌道に乗るほか、2020年の東京五輪に向けたインフラ整備特需もコンプレッサー需要を喚起、さらに国交相からの着工認可が下りたリニア中央新幹線というビッグプロジェクトも強力な追い風となる

 東リ<7971>大幅続伸。
同社はきょう、午前10時30分に15年3月期業績予想を修正。通期連結売上高で従来予想の910億円から914億円(前期比1.9%増)へ、営業利益で26億5000万円から28億5000万円(同11.7%増)へ上方修正。これを好感している。前期の建築着工が堅調だった影響などにより内装材が堅調に推移。主要原材料価格やエネルギーコストは上昇したものの、高収益商品の拡販や原価低減、販売価格の底上げで利益率も向上している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想