底入れ感乏しく続落、海外要因で値ごろ感効かず

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/16 19:47

17日の株式市場予想

 17日の東京株式市場は、底入れ感の乏しいなかで週末控えということもあり、引き続き売り圧力は強く、日経平均株価は続落となりそうだ。

 16日の東京株式市場は前日の欧米株市場の波乱安と、外国為替市場での1ドル=105円台後半という急速な円高・ドル安進行を受け、朝方から大きく売られる展開となった。日経平均株価終値は、前日比335円安の1万4738円と大幅反落した。これで、8月8日につけたフシ目の1万4778円(終値)を下回り、5月30日(1万4632円)以来約4カ月半ぶりの安値水準となった。

 市場関係者からは「きょうは、東証1部の売買代金が2兆7647億円と膨らんだものの、市場に底入れムードは出ていない。これは、欧米株式相場や外国為替市場、エボラ出血熱など海外要因に振り回されているためで、国内企業の業績などに基づく適正な株価判断が困難になっており、円安で恩恵を受けるはずの自動車株にも、年初来安値を更新するものが出始めている」との声が聞かれた。

16日の動意株

 小津産業<7487>=ストップ高。
エボラ出血熱の世界的な拡散懸念が広がるなか、米国でエボラ出血熱の治療にあたった看護師で2人目が検査で陽性反応を示したことを受け、関連株への投機資金流入が勢いを増している。そのなか、同社は旭化成<3407>との共同開発で不織布に展開しており、その技術を背景に防護服関連として買い人気を集めている。同社が手掛ける「カトレックスバリア」は、粉塵や有害物質から人体を防護するディスポタイプの化学防護服でバクテリアバリア性からウイルスバリア性へとより高いバリア性を実現したもので、「投機資金の絶好のターゲットとなっている」(市場関係者)。

 ペガサスミシン製造<6262>=大幅高。
同社は工業用ミシンを生産し、中国向け依存比率が高く中国関連株に位置付けられることが多い。ただ、最近は中国の人件費高騰を受けて、ベトナムやインドネシアなどその他アジア地域に生産拠点をシフトする動きがメーカー側に相次いでおり、同社はその機をとらえてアジアでの工業用ミシンへの投資需要を取り込むことに成功している。15年3月期連結営業利益は前期比34.2%増の15億円を計画しているが、原価低減努力も進捗しており増額含みとみられている。

 東洋エンジニアリング<6330>=堅調。
15年3月期は、前期のインドネシアでの肥料プラント案件の追加工事に伴う採算悪化の影響もなくなり、営業利益段階で前期比15.4倍の70億円見通しと急回復が見込まれるが、それ以上に、今年8月にマレーシアで大型のエチレン製造設備を受注したことが中期的な成長シナリオを裏付ける材料として注目されている。来年秋に着工で2019年半ばの完成を想定しているが、受注金額は約2400億円で同社にとって収益インパクトは絶大だ。

 日本エアーテック<6291>アゼアス<3161>=連日の急騰。
エアーテックが3日連続、アゼアスは5日連続のストップ高に買われている。米国でエボラ出血熱の治療に当たった看護師の2人目が検査で陽性反応を示したと報じられており、感染拡大懸念から、エボラ関連株への買い人気が続いている。米株式市場でエボラ関連の銘柄が上昇していることも、連想買いを誘っている様子だ。

 菊池製作所<3444>=急伸。
15日取引終了後に、31日を基準日として1株を3株へ株式分割すると発表したことを受け、買い気が再燃している。株価は6月に上場来高値1万140円をつけてから調整が続き、前日安値4910円まで半値以下に下落していた。分割により増加する株式数は739万1800株で、分割後の発行済み株式総数は1108万7700株になる。株式分割に伴い、期末一括配当を従来予想の1株当たり20円から7円に修正した。

 明治電機工業<3388>=大幅反発。
同社は15日取引終了後、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の487億円から507億9000万円(前期比9.4%増)へ、営業利益を同12億6000万円から15億6000万円(同35.9%増)へ、純利益を同8億7000万円から11億6000万円(同43.7%増)へそれぞれ上方修正した。上期に自動車関連企業向けに制御・産業・実装機器などの販売が堅調に推移したことに加えて、円安に伴う為替差益の増加などが寄与する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想