自律反発広がり続伸、リクルート新規上場に関心

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/15 18:05

16日の株式相場見通し

16日の東京株式市場は、自律反発の動きが広がり、日経平均株価は続伸となりそうだ。きょう、後場に入って買い優勢となり、日経平均株価が1万5000円台を回復して6日ぶりに反発したことで、市場関係者のあいだにひとまず安心感が広がった。終値は、前日比137円高の1万5073円にとどまったものの、東証1部の値上がり銘柄数は1414(値下がり335銘柄、変わらず83銘柄)と全体の77%に達しており、地合いの底堅さを表している。

 今後は戻りの強さを試す指標として、200日移動平均線(1万5119円=15日)や、26週移動平均線(1万5192円=同)の奪回が視野に入ってくる。

 また今年最大のIPO案件となるリクルートホールディングス<6098>の東証1部への新規上場に注目が集まる。上場後の時価総額が1兆7749億円と超大型となるだけに、公開価格3100円に対する初値形成や、その後の値動きが全体市場に影響を与える可能性がある。

15日の動意株

 市光工業<7244>=切り返し急。
自動車照明大手で、資本業務提携したフランスのヴァレオが同社株式約31%を保有する筆頭株主。同社との連携でLEDランプなどの開発に傾注しており、株価上昇の思惑材料となっている。また、上位株主に擁するトヨタ自動車<7203>との取引関係も厚い。自動車の安全システム分野では複数のカメラを統合制御してドライバーに情報を伝える「オムニアイズ」を手掛けるなど、展開材料も豊富だ。

 リアルコム<3856>=後場に入りストップ高。
この日の午後零時30分ごろ、大手電力各社が9月下旬から太陽光発電など再生可能エネルギーの新規買い取りを一時停止していることについて、同社グループの住宅用太陽光発電事業における電圧種別の多くが余剰買い取り10キロワット未満であることから回答保留の対象となっておらず、従来通りの事業継続が可能と判断していると発表しており、これを好感した買いが入った。

 SmartEbook.com<2330>=ストップ高。
米アップルが16日に開催予定のイベントで新型iPadを発表するとの思惑が高まっており、仮に新型iPadが発表されれば、電子書籍市場が活性化するとの期待感から買われているようだ。もっとも、東証1部市場の大型株だけでなく、新興株市場の主力株に手掛けにくさが広がる中、低位で値動きの軽い同社株へ短期資金が向かったとの見方も強いようだ。

 ウエストホールディングス<1407>=ストップ高。
同社は14日取引終了後に、15年8月期通期の連結業績見通しを発表。営業利益予想を100億7600万円(前期比10.1%増)と2ケタ増を見込んでいることが好感されているようだ。売上高予想は685億6200万円(同16.5%増)。再生エネルギー接続申し込みの回答保留をしている九州電力<9508>管轄内では影響が多少あるものの、他の接続可能地域に営業活動を集約する方針。また、保守運営管理事業や独立系発電事業者事業、新電力事業などもの積極拡大も図る。

 日本化学工業<4092>=急反騰。
きょう付の日経産業新聞で、放射性セシウムや放射性ストロンチウムを同時に99%以上除去できる吸着剤を開発したと報じられたことを材料視。浄化装置内で使う吸着剤の量を減らし、効率が高まるとしており、特定の物質だけに反応するため、効率的な除去が可能となったという。東京電力福島第1原子力発電所の汚染水処理での用途を見込み、年内の量産化を目指すとあることから、今期業績への寄与も期待されているようだ。

 千代田インテグレ<6915>=急反発。
14日取引終了後に発表した今15年8月期の連結業績は、売上高475億円(前期比4.6%増)、営業利益36億円(同0.7%増)を見込んだ。テレビ・スマートフォン向け受注が堅調に推移するとみており、大幅増収増益となった前期並みの水準を維持できると見ている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想