景気減速懸念で下値模索、リクルートHD上場に注目

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/10 19:49

景気減速懸念で下値模索

 来週の東京株式市場は、世界的な景気減速懸念が強まるなか、下値模索の展開が予想される。日経平均株価の想定レンジは1万5000~1万5600円とする。

 来週前半に米大手金融機関の決算発表が集中することから、この内容が良好であれば、米株式市場上昇の下支え要因となりそうだ。一方、国内では今年最大のIPO案件であるリクルートホールディングス<6098>が16日に東証1部に新規上場する。関連銘柄物色に関心が集まるのに加え、上場後の全体相場の需給改善期待も見逃せない。

 外国為替市場で、10月初めにいったん1ドル=110円台をつけてしまったことから、現状の1ドル=108円前後の水準に業績向上への期待感が薄れていることも、買い手控え要因となっているようだ。

10日の動意株

 東洋合成工業<4970>=3日連続のストップ高。
3D細胞培養システムが世界最大の受託検査機関に採用されたことが引き続き材料視されているようだ。株価は発表翌日の8日と9日に値幅制限いっぱいまで上昇。きょうも買い気に衰えはみられない。同社は7日に、3D細胞培養システム「Cell-able」が世界最大の検査受託機関Eurofins Panlabsに採用されたと発表。また同日には、DILI(薬物性肝障害)予測試験用3Dヒト肝細胞培養プレート「Cell-able for DILI with PXB-cells」を研究用途向けに提供を開始することも公表している。

 ロート製薬<4527>=続伸。
同社は9日に、東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター内に、先端的再生医療社会連携研究部門を設置したと発表。製品開発の進展などが期待されているようだ。同社が現在取り組んでいる再生医療の研究体制をより充実させることなどが主な目的。具体的には、低分子化合物などの従来の医薬品では根治できないといわれている、難治性疾患をターゲットとした先進的な再生医療製品の開発および人材育成などを目標としている。

 JPホールディングス<2749>=大幅反発。
10日付の日本経済新聞で、日本郵政グループの日本郵便と組んで、郵便局内に認可保育所を開設すると報じられたことを材料視。記事によると、第1弾としてさいたま中央郵便局(さいたま市)の一部を改装して来年4月に開業するという。日本郵便は集配や物流業務の再編に取り組んでおり、設備の移転で空いた敷地の有効活用を進めており、今後も保育所の開設を検討するとあることから、今後の展開にも期待が持たれている。

 キャンバス<4575>=大幅反発。
9日の取引終了後、同社が創出し開発中の抗がん剤候補化合物「CBS9106」に関して、特許庁から特許査定を受領したと発表しており、これを好感した買いが入っている。「CBS9106」は、「CBP501」に続く2つめの開発パイプラインとして前臨床試験を終了した段階にある抗がん剤候補化合物。既存の同種の化合物と比べて毒性が低いことを示唆するデータが得られていることから、同社では有望な抗がん剤候補化合物として位置づけている。

 フィンテック グローバル<8789>=急反発。
同社は9日取引終了後に、15年9月期通期の連結業績見通しを発表。営業利益は12億5000万円(前期比2.5倍)と大幅増を見込んでいることが買い手掛かりとなっているようだ。連結売上高予想は79億円(同2.1倍)。複数の再生可能エネルギーなどのアレンジメント案件受託が順調に推移すると想定しているほか、投資先ベンチャーキャピタルファンドの投資回収などを見込んでいる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想