景気不透明感から軟調、円相場の波乱に警戒も

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/07 23:32

8日の株式相場見通し

8日の東京株式市場は、先行き景気に不透明感が強まるとの見方から、売りが先行する展開となりそうだ。7日の日銀金融政策決定会合後の会見で黒田東彦総裁は、国内景気の先行きについて「緩やかな回復を続ける」としながらも、鉱工業生産については「弱めの動き」とした。また、7日後場に発表された8月の景気動向指数(2010年=100)は、景気の現状を示す一致指数が前月比で1.4ポイント減の108.5となり、2カ月ぶりの低下。景気の基調判断は「下方への局面変化を示している」へと4カ月ぶりに下方修正された。

 7日の東京株式市場は売り優勢のスタート。一時、前日比プラス圏に切り返す場面があったものの、後場再び売られ、日経平均株価終値は前日比107円安の1万5783円と引けにかけ下げ幅を広げた。1ドル=108円台半ばまで円高・ドル安が進行したことが嫌気された。 

7日の動意株

 島津製作所<7701>=3日続伸。
6日に加工分野や計測分野向けに短波長レーザーのラインアップを強化、微細加工に適したファイバー結合型高輝度青色半導体レーザーを14日に発売するとともに、連続発振266ナノメートル深紫外固体レーザーの販売も開始すると発表した。ファイバー結合型高輝度青色半導体レーザーは、次世代高機能レーザー加工向け光源の戦略商品で、電子デバイス分野の金・銅など高反射・高熱伝導率材料の微細加工や3Dプリンター向けに販売を拡大。今後、大型プロジェクター用RGB光源などへの展開も進めていく。

 田中化学研究所<4080>=動意含み。
リチウムイオン電池の正極材料を手掛ける2次電池材料大手メーカーで、独特の品薄感が投機資金を呼び込む。米電気自動車(EV)ベンチャーのテスラ・モーターズが香港の拠点を拡充する方針にある。住友化学<4005>は米テスラ向けに電気自動車(EV)用リチウムイオン2次電池の部材を増産する予定だが、「田中化研は住友化学と提携関係にあることで思惑が募っている」(市場関係者)ようだ。

 トレックス・セミコンダクター<6616>=前日比ストップ高。
東証は6日、7日売買分からトレックスセミ株の信用取引に関する臨時措置を解除すると発表。日証金も同日から、貸借取引自己取引分および非清算参加者ごとの清算取次貸借取引自己取引分の銘柄別増担保金徴収措置を解除すると発表しており、売買の自由度が回復するとの見方があるなかで買いが優勢となっている。また、家電見本市「CEATEC(シーテック)ジャパン」がきょうから幕張メッセで開幕したことで、ウエアラブル機器や小型携帯機器などに最適な超小型電圧検出器「XC6129シリーズ」などが再び関心を集めている面もあるようだ。

 オリジン電気<6513>=大幅高。
同社は6日の取引終了後、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の335億円から342億円(前期比10.3%増)へ、営業利益を同16億円から19億円(同2.2倍)へそれぞれ上方修正した。上期にエレクトロニクス事業の電源機器およびコンポーネント事業の精密機構部品の販売が増加したことなどが要因。本社および本社工場移転などに伴い、減損損失2億2800万円を特別損失に計上するが、従来計画を大きく上回る見通し。

 日本エアーテック<6291>アゼアス<3161>=急反騰。
エボラ出血熱関連株として前週末にかけ急騰、前日は利益確定売りに急落したが、この日は再度、買い物を集め反発基調を強めている。スペイン保健省が6日、マドリードの病院でエボラ出血熱患者の治療に当たった女性看護師の感染が確認されたと発表した、と伝えられた。アフリカ大陸以外でエボラ出血熱の感染確認は初めてとなり、再度、エボラ関連株へ物色の矛先が向かっている。

 ベルク<9974>=上伸。
6日の取引終了後に15年2月期配当の増配を発表したことが好感された。第2四半期(3~8月)の配当は従来予想20円に対し22円を実施、期末配当予想も従来の20円から22円に増額する。これに伴い年間配当は前期比4円増の44円となる見込みだ。同時に発表された今中間期の連結営業収益は781億1700万円(前期比9.3%増)、純利益は25億2300万円(同20.0%増)だった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想