「いい円安、悪い円安」論を一刀両断!

著者:津田隆光
投稿:2014/09/25 17:51

ドル/円109円台が「悪い円安」?

ドル/円相場が約6年ぶりの高値を付ける昨今、巷ではまことしやかに「いい円安、悪い円安」議論が盛んになってきました。
この「いい円安、悪い円安」という議論は、発言する人の立場や環境に帰することが殆どで、内需に依存する企業・集団にとって円安は「悪」であり、輸出が主たる収益源の企業・集団にとって円安は「善」である構図が当てはまることからも、その“利害・損得”によって意見や見方は様々。
ただし、日本経済全体のトータルバランスから考えると、産業構造上円安は株高に繋がりやすく、GDPにとっても株高をもたらす円安は「善」という考え方が主流。
そもそも、109円前後のドル/相場が「行き過ぎた円安」ということになると、例えば第一次安倍政権時の124円台の時の経済状態はどうだったのか、もっと遡れば高度経済成長時のドル/円相場はどうだったのかという話になってしまいます。
しかも、現在の為替相場の環境は日・米・欧通貨当局にとって言わば「三方よし」の状態であり、円安は副次的要素が大であること(=「ドラギ配当」「イエレンボーナス」の側面)、また貨幣数量は物価と正比例するという「フィッシャーの交換方程式」(MV=PT。M:貨幣数量、V:貨幣の流通速度、P:物価、T:一定期間の取引数量)に照らし合わせても、現在の日銀の金融政策は「インフレ」→「通貨安」を目論んでいることは確か。
政策当局の立場やマネタリーアプローチをしっかりと踏まえた上で、「国策(政策)に逆らうべからず」を取引哲学としつつ、安易な「悪い円安」論に乗らないことが得策と考えますが、いかがでしょうか?

本日20時、トルコ中銀政策金利(レポレート)発表!

そんな中、当コラムでも何度かお伝えしている通り、「相場は常にシンプルなロジックで動く」という考え方からすると、水が高いところから低いところへ流れるのとは逆の動きをするのがお金の流れ。つまり、お金は金利の低いところから高いところへ移動するというのは基本中の基本。そういった意味から、相対的に高金利政策を続けている(続けざるを得ない)国が・・・トルコ。
本日25日の日本時間午後8時に政策金利(レポレート)の発表を控えており、概ね事前予想は8.25%で据え置き予想。
([参考]南ア:5.75%、NZ:3.50%、豪州:2.50%)
当社でも今週22日からトルコリラ/円の取引がスタートしており、何といってもその魅力はスワップの相対的高さ。(9/25時点で1万通貨あたり95円)
通称「エキゾチック通貨」とも呼ばれる新興国通貨であるというリスクにも視座を置きつつ、中長期視点から歴史的安値圏にあるトルコリラ/円を投資対象の一つに加えてみるのも一案です。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想