翌日の大幅反発で心理改善、25日線奪回が焦点に

著者:冨田康夫
投稿:2014/08/11 21:22

12日の株式相場見通し

 12日の東京株式市場は、きょうの全体相場が大幅反発したことで、投資家心理が改善をみせていることから、日経平均株価は続伸が予想される。前週末8日の454円急落から、休日を挟んで直ちに急反発に転じ、1万5100円台を回復したことについて市場関係者からは「7月の2度の調整場面がいずれも1万5100円水準でとどまっており、今回翌営業日にそこまで復帰したのは、“調整が長引くのでは”と懸念していた市場参加者をひとまず安心させたようだ。今後は25日移動平均線(1万5339円=11日)の早期奪回が焦点となる」との見方が出ていた。

 11日の東京株式市場は、前週末の米国株大幅反発や、円安・ドル高の進行を受け、朝方から主力株をはじめ広範囲に買い戻しが入った。後場もジリ高歩調を堅持し、日経平均株価終値は、前週末比352円高の1万5130円と急反発した。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国内株式の保有上限撤廃報道も上昇を加速させた。ただ、地政学的リスクの再燃を懸念する見方も依然として根強い。

11日の動意株

 TPR<6463>=急伸。
前週末8日に発表した14年4~6月期決算は営業利益が前年同期比66.2%増の39億9000万円と高水準の伸びを示しており、これが買い人気を加速させた。通期業績も北米や中国での拡販が軌道に乗り、上方修正期待も内包している。一方、ガソリン価格の上昇や燃料規制強化の動きを背景に「自動車軽量化」に向けた動きが一段と注目される状況にあることもポイント。

 ペプチドリーム<4587>=大幅高。
同社は特殊ペプチドを使用した医薬品候補物資を作製するバイオベンチャーだが、西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱に絡みペプチドの有効性が取り沙汰されるなか注目筋が増えている。実際に埼玉医科大学などで、ペプチド結合リボソームを用いたエボラウイルスに対するCTL(細胞傷害性T細胞)誘導型ワクチンの研究が行われていたことから関連株最右翼として株高思惑が加速した。

 トラスト・テック<2154>=反発。
自動車関連や電機業界など製造業向け技術者派遣が主力だが、好況期に突入している自動車業界は開発技術者を中心に求人需要が旺盛であり、同社も書き入れ時を迎えている。15年6月期最終利益は10億8000万円(前期比35.5%増)と大幅増益予想で、過去最高利益更新が続く見通し。

 山一電機<6941>=一時ストップ高。
同社は8日取引終了後に、15年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結業績予想修正を発表。売上高見通しを従来の114億円から120億円(前年同期比8.0%増)、営業利益見通しを4億6000万円から11億円(同2.6倍)に引き上げた。 足もとで、モバイル機器や車載向けの検査用ICソケット製品の販売が好調に推移しているほか、通信インフラ向けコネクター製品が北米市場を中心に伸びていることが背景。

 パイロットコーポレーション<7846>=急反発。
8日取引終了後に14年12月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の845億円から870億円(前期比5.4%増)へ、営業利益を同100億円から120億円(同24.4%増)へ、純利益を同60億円から70億円(同28.4%増)へそれぞれ上方修正したことが好感されている。主力の筆記具事業で、「フリクション」シリーズや「G-2(ジーツー)」をはじめとする利益率の高い自社製品の販売が国内外で堅調なことに加えて、円安効果やコスト削減努力などが貢献する。

 ミライト・ホールディングス<1417>=4日続伸。
ここ継続的な買い資金の流入が観測されるなか、前週末8日の全般波乱時にも上値を慕う動きをみせた。同社は、7日に発表されたJPX日経400の入れ替えに伴い、採用銘柄から除外されることが明らかとなったが、それを嫌気した目先筋の売りを吸収し、全般急落相場に逆行するという異彩の強さで市場関係者の注目を集めた。NTT向けを主力とする通信工事大手で、最近はクラウド・コンピューティング市場の拡大に伴い、ICT(情報通信技術)分野の受注が好調。高採算の移動体基地局工事の伸びが14年4~6月期営業利益21億600万円(前年同期比2.7倍)という好決算に反映されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想