自律反発の動きに期待感、4~6月期決算発表が本格化

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/18 20:40

来週の株式相場見通し

来週(22~25日)の東京株式市場は、マレーシア機墜落に伴うウクライナ情勢や、イスラエル軍によるパレスチナのガザ地区への地上侵攻などの地政学的リスクを巡り、極端に状況が悪化しない限りは、自律反発機運が強まるものと判断したい。
日経平均株価の想定レンジは1万4900~1万5500円とする。
 18日の東京株式市場は、ウクライナ情勢緊迫化を受けた米株安などを受け大きく値を下げた。日経平均株価は一時、前日比259円安まで下落する場面があったものの、下値では押し目買いも入り、後場は底堅さが際立つ展開となった。ただ、25日移動平均線(1万5273円=18日)を割り込んだことは懸念材料となる。また、日本が3連休中の外国為替市場での円相場の動向は注視したい。
 来週後半には4~6月期決算発表が本格化することから、その内容を吟味しながらの個別株物色の動きも顕在化しそうだ。 
 日程面では、5月の全産業活動指数、6月のコンビニエンスストア売上高(22日)、日本ビューホテル<6097>が東証2部に新規上場、6月の訪日外国人数(23日)、6月の貿易収支(24日)、安倍首相が中南米5カ国を歴訪(~8月4日)、6月の消費者物価指数(25日)に注目。
海外では、米6月の消費者物価指数、米6月の中古住宅販売件数(22日)、中国7月のHSBC製造業PMI、米6月の新築住宅販売(24日)、米6月の耐久財受注(25日)が焦点となる。

<動意株>=そーせい、東鉄工、ベクターなど

 そーせいグループ<4565>=大幅高。
同社は17日に、ノバルティス社に導出している慢性閉塞性肺疾患治療薬「シーブリ」と「ウルティブロ」の14年第2四半期(4~6月)の売り上げが順調に伸びたと発表。これが材料視されているようだ。ノバルティスによると、「シーブリ」の第2四半期の売上高は3700万ドルと、前四半期(1~3月)の3000万ドルから伸長。「ウルティブロ」も2200万ドルと、前四半期の1400万ドルから拡大した。

 東鉄工業<1835>=上値追い加速、きょうで7連騰。
JR東日本向けに豊富な実績を持ち、耐震補強工事が好調なほか、期末の設計変更工事の取り込みから業績増額の公算が大きいという。15年3月期営業利益は会社側では前期比1.2%増の86億円を見込んでいるが保守的であり、足もとの動向から90億円を上回ってくるとの観測が根強い。同じくJRを主要顧客とする鉄建<1815>が、品川駅周辺の再開発の動きを手掛かり材料に急速人気となっており、その比較感からも買いを呼び込んでいるもようだ。

 ベクター<2656>=堅調。
同社は17日取引終了後、15年3月期第1四半期(4~6月)の単独業績予想を修正。営業損益などの赤字幅縮小見通しを明らかにしている。売上高にあたる営業収益は3億8000万円から4億3300万円(前年同期比20.0%減)に見直したほか、営業損益は5600万円の赤字から3000万円の赤字(前年同期は7000万年の赤字)に修正した。オンラインゲーム事業が好調なほか、ソフトウェア販売事業も消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動減が想定より小さく底堅く推移した。

 日本コンベヤ<6375>=ストップ高。
JR東日本は品川―田町間で新駅を開業予定にあり、新駅隣接地には超高層ビルを建設する計画だが、品川駅は羽田空港と近く、2027年開業予定のリニア中央新幹線の始発駅ともなることで、リニア関連株などへも物色の広がりがみられる。そのなか、リニア中央新幹線の大半はトンネル関連工事が占めており、トンネル工事に伴う大量の残土運搬が同社のプラントコンベヤーの需要を喚起するとの見方が買いを誘っている。

 エイティング<3785>=ストップ高。
16日に同社初のオリジナルネイティブゲームアプリ「激突!ブレイク学園」iOS版の配信を開始したことから、新作ゲームへの期待が一段と高まっている。また、きょうは「テトリス モンスター」のAndroid版を今夏に配信を開始すると発表、これが上げ足を加速させた。

 コムシード<3739>=前日比80円ストップ高。
同社は17日に、グリー<3632>が運営するSNSサイト「GREE」で提供しているソーシャルゲーム「グリパチ」で新たにパチスロ「主役は銭形2」の配信を始めたと発表。これによる利用者拡大などが期待されているようだ。新たに配信を始めたのはアンドロイド版「グリパチ」。「グリパチ」では現在、アンドロイド版のパチンコ・パチスロアプリを31機種、ⅰOS版では5機種を配信している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想