材料株物色がリードし反発、個人投資家の意欲は健在

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/16 21:44

あす(17日)の株式相場見通し

明日の東京株式市場は、引き続き売り買いともに手掛かり材料不足が予想されるものの、燃料電池車関連などの相場テーマを背景とした中小型の材料株物色に支えられ、日経平均株価は反発となりそうだ。今後主力株への物色が強まるとすれば、不動産、金融、証券、建設、小売りなど内需的色彩の強い銘柄群が業績好調を手掛かりにリード役を担うものとみられる。
 16日の東京株式市場は、前日の米国株が方向感を欠く展開となったことを受け、日経平均株価終値は、前日比15円安の1万5379円と3日ぶりに小幅反落した。

 市場関係者からは「東証1部売買代金の2位に水素ステーション関連の岩谷産業<8088.T>がランクインするなど、個別材料株物色の勢いが増している。東証1部全体の売買代金は依然として盛り上がりに欠けるが、個人投資家の投資意欲自体は健在なことを示唆している。来週後半から4~6月期の決算発表が本格化してくれば、好業績銘柄を中心に主力株にも目が向けられることになりそうだ」との見方が出ていた。

 日程面では、7月の月例経済報告に注目。
海外では米6月の住宅着工・完工件数、米7月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、トルコ中銀の金融政策決定会合が焦点となる。

<動意株>=サカイオーベ、丸紅リース、イトーヨーギョーなど

サカイオーベックス<3408>=大幅高。
筆頭株主が東レで、グループ再編に伴う資本絡みの思惑も意識されている。ファンダメンタルズ面からのアプローチでは15年3月期の一株利益で19円台を見込んでおり、100円台の低位株にしては高収益体質であることもポイント。

 丸紅建材リース<9763>=急騰。
きょう付の日本経済新聞で、「住宅や公共施設など建物の建設コストが上昇している」と報じられたことを手掛かり材料視。建設需要の拡大で資材価格も上がっているとしており、仮設材についても価格上昇による業績拡大への思惑が働いているようだ。株価は直近で210円を挟んだもみ合いを続けていたが、PBR0.8倍台の割安さも味方に一気に上放れている。

 イトーヨーギョー<5287>=ストップ高。
浸水対策で独自開発のライン導水ブロック技術をベースにした「路面冠水抑制システム」への引き合い増加へ期待が高まる一方、道路側溝下の空きスペースに電線類を収納する「2階建て管路収納側溝」を取り扱うことから、電線地中化関連の側面も目が向けられ、人気に衰えは見られない。買いの回転が効き、値動きが軽くなっていることが短期資金を呼び込んでおり、株価はここ1カ月で3倍に上昇している。

 毎日コムネット<8908>=ストップ高。
15日の取引終了後、エナリス<6079>と業務提携することで基本合意したと発表し好感されている。両社は、発電事業などの再生可能エネルギー開発事業を共同で行うことを提携の目的とする。具体的な内容は、9月30日をメドに両社で協議を進めていく予定。

 比較.com<2477>=ストップ高。
複数の宿泊予約サイトを一元管理できる「手間いらず.NET」が、ヤフー<4689.T>の運営する大手宿泊予約サイト「Yahoo!トラベル」とシステム連携が可能になったと発表したのを機に、きのうストップ高まで買われた勢いが続いている。

 ソフトウェア・サービス<3733>=続伸。
同社は15日に、6月度の月次売上高が6億5000万円(前年同月比22.6%増)になったと発表。5月(同20.7%増)から伸び率が拡大しており、これが好感されているようだ。あわせて発表した6月の受注高は11億5600万円(同24.0%増)、受注残高は35億5400万円(同38.7%増)だった。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想