6月第4週は信託銀行が9週ぶりに売り越す

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/03 22:54

外国人投資家が4週ぶりに売り越し

3日の東京株式市場は、前日のNYダウ平均株価が連日の最高値更新となったことを受けて、朝方買い優勢で始まったものの、その後は上値の重さが際立つ展開となり、日経平均株価終値は、前日比21円安の1万5348円と4日ぶりに反落した。
 東証が3日引け後に発表した6月第4週(23~27日)の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部、新興市場の合計)によると、外国人投資家が4週ぶりに売り越しに転じた。売越額は813億円。外国人投資家の中間期末に当たる6月期末を控え、持ち高整理の売りが出たようだ。
 さらに、5月半ば以降の日経平均株価上昇のけん引役を果してきたとされる年金資金の注文を扱う信託銀行も9週ぶりに売り越しに転じてきた。売越額は46億円と小幅だった。 
 なお、買い越したのは、証券会社の自己売買部門と、政府・地方公共団体とその関係機関、財団法人、特殊法人、従業員持株会などが対象となるその他法人だった。

<動意株・3日>=ペガサス、FUJIKOH、ウィズなど

ペガサスミシン製造<6262>=急反発。
ここ景気指標の改善などから中国景気減速に対する不安心理が後退しており、工業用ミシンの輸出など中国関連株に位置付けられる同社株にも追い風となっている。工業用ミシンは中国向けやバングラデシュ向けにハイエンド機が需要を伸ばしており、15年3月期営業利益は前期比34.1%増の15億円と前期に続く大幅な伸びが見込まれている。

 FUJIKOH<2405>=大幅高。
同社はこの日、経済産業省から、連結子会社の一戸フォレストパワーが岩手県二戸郡で運営管理を行う木質バイオマス発電施設に対し、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」の規定に基づく、再生可能エネルギー発電設備(バイオマス)の認定通知書を受領したと発表した。これにより、木質バイオマス発電施設で発電する電力が、営業開始を予定している16年度から20年間、固定価格による電力販売が可能になる。

 ウィズ<7835>=一時ストップ高。
同社は昼休み時間帯に、15年5月期通期の連結業績見通しを発表。経常損益予想を1500万円の黒字(前期実績は4億2000万円の赤字)としていることが好感されているようだ。今期の連結売上高予想は22億円(前期比2.3倍)を見込む。前期に引き続きOEM製品販売事業が好調に推移するとみているほか、オリジナル商品販売事業にも注力するとしている。

 木村化工機<6378>=一時ストップ高。
化学プラントを主力とするが、核燃料の輸送用機器や濃縮関連機器など原子力関連で強みを持っており、市場では原発関連株としての位置付けが強い。東芝がブルガリアの国営電力会社から原子力発電所を受注する見通しとなったと日本経済新聞が1面トップで報じ、受注金額規模5000億円と伝えられたことから、「同社への受注機会拡大の思惑につながった」(市場関係者)という。

 大平洋金属<5541>=4日続伸。
一時、前日比29円高の552円まで買われ年初来高値を更新した。ニッケル価格が再上昇基調にあることが材料視されている。ロンドン金属取引所(LME)で2日、ニッケル3カ月物は、前日比505ドル高の1トンあたり1万9630ドルに上昇した。今年5月につけた2万ドル台に接近している。同社の今期想定のニッケル価格は1万7813ドルであり、市況の上昇は業績の増額修正要因となる。

 デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム<4281>=一時ストップ高。
同社はきょう、子会社のトーチライトが米フェイスブックから広告APIパートナーとして認定されたと発表。これが材料視されているようだ。同社は、トーチライトがフェイスブック広告運用ツール「Sherpa(シェルパ)ベータ版」を開発したこともあわせて公表。今後、独自のサービスを順次提供していくという。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想