米雇用統計を前に手控え、上値の重さ際立つ

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/02 21:49

あす(3日)の株式相場見通し

明日の東京株式市場は、同日夜に発表される米6月の雇用統計を控えて見送りムードが強まり、日経平均株価は4日ぶりの反落となりそうだ。
 米国は4日が独立記念日で休日のため、前日3日に発表される6月雇用統計の内容が、いつものように土・日曜日を挟まずに、短時間で東京市場に反映される点で、波乱要因になるとの指摘も出ている。
 2日の東京株式市場は前日の米国株高を受け買い先行、日経平均は朝方一時、1万5444円まで買い進まれ、6月23日の戻り高値(1万5442円)を上回る場面があったものの伸び切れず、上値の重さを感じさせる結果となった。日経平均株価終値は、前日比43円高の1万5369円と3日続伸。東証1部の売買代金は1兆9627億円と2兆円近くに達した。ただ、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は140.42%と140%を超える水準にあり、目先的な高値警戒感は強まっている。

 日程面では、生活意識に関するアンケート調査、半導体・FPD製造装置の需要予測に注目。海外では、中国の習近平国家主席が訪韓(~4日)、米6月の雇用統計、ECB理事会、米6月のISM非製造業景況感指数、米5月の貿易収支、米独立記念日前日の株式市場短縮取引が焦点となる。

<動意株・2日>=神鋼環境、住友鉱、AGCapなど

神鋼環境ソリューション<6299>=後場急伸しストップ高。
同社はこの日、国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターと共同で、放射能汚染土壌にセシウム除去剤を添加し、加熱化学処理を行うことで放射性セシウムを除去し、汚染土壌を最大98%減容化する技術を開発したことを発表、これが刺激材料となった。また、同社では、放射能汚染焼却灰(主灰)についても、前処理を施すことにより、汚染土壌と同様に除染・減容化できるメドを得ているとしている。

 住友金属鉱山<5713>=3日続伸。
1日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で金先物の中心限月8月物は前日比4.6ドル高の1トロイオンス1326.6ドルに上昇。時間外取引では一時は1334.9ドルと3月中旬以来、約3カ月ぶりの水準に買われた。イラク情勢の緊迫化などで、安全資産である金への買いが強まっているほか、銅価格も上昇している。このなか、金鉱山を保有し銅精錬事業を手掛ける同社株への買いが流入した。

 アジアグロースキャピタル<6993>=後場急伸。
午後1時15分に、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高187億500万円(前期比2.0倍)、営業利益25億5900万円(同2.2倍)は従来予想を据え置きつつ、純利益を従来予想の2億4700万円から6億5000万円(同2.3倍)に上方修正。株式公開買い付け(TOB)でディーワンダーランド株式を新たに1041万1000株取得したことで、第2四半期よりディーワンダーランド株の持ち分割合が42.79%から71.53%に増加することが要因。

 SDエンターテイメント<4650>=急騰。
1日に将来の日本でのカジノ解禁に備え、カジノ施設事業への参入に向けた検討の準備を始める、と発表したことが好感されている。1日の取締役会で決議した。日本版カジノ法案と呼ばれる「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案)が近い将来、国会で成立した場合に備え、カジノ事業参入に向け経営戦略チームが検討し準備を進めていく。具体的な内容は現段階では未定としている。

 パス<3840>=3連騰。
前日後場立会時間中に、新規事業として企業向け戦略アドバイザリー業務を開始すると発表。第一弾としてイオンハウジングのフランチャイズ店舗を展開するフォーメンバーズへの出資とアドバイザリー業務を実施することが引き続き手掛かり材料。前週末には前14年3月期に債務超過を解消したことにより、東証に上場廃止猶予期間入り銘柄から解除されたと発表している。

 ソフィアホールディングス<6942>=ストップ高。
同社は1日に、バイオベンチャーのジーンクエスト(東京都文京区)を簡易株式交換で完全子会社化すると発表。これが材料視されているようだ。ジーンクエストは、東京大学の研究者を中心に昨年6月に設立されたバイオベンチャー企業。主に個人向け遺伝子解析サービスなどを手掛けている。ソフィアHDは同日付でジーンクエストと株式交換契約を締結。効力発生日(予定)は8月1日で、ジーンクエスト1株に対してソフィアHD株8421株を割り当てる。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想