日経平均株価は上昇幅縮小も4日続伸

著者:冨田康夫
投稿:2014/06/05 20:55

高まる高値警戒感

5日の東京株式市場は、日経平均株価終値が前日比11円高の1万5079円と小幅ながら4日続伸となった。その4日続伸を振り返ると、週初2日に303円と大幅高した後、3日=98円高、4日=33円高、5日=11円高と、日を追うごとに上昇幅が前日の3分の1に縮小している。それだけ、上値圧迫が重みを増しているということもいえる。
 一方、相場全般の動きを表すTOPIX(東証株価指数)は、5日に前日比1.20ポイント安の1232.75と11営業日ぶりに反落に転じた。きょうの日経平均については、寄与率の高いファーストリテイリング<9983>や、アサヒホールディングス<2502>などの値がさ株の上昇が株価を支えたようだ。

 市場参加者のあいだでは、5日に、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が、高値警戒感が意識されるという120%を超えて121.69%に達してきたことや、日経平均株価のサイコロジカルラインも10勝2敗(83.3%)と、買われ過ぎとされる9勝3敗(75%)を超えており、過熱感が高まっているという意識が浮上しているようだ。

<動意株5日>マルマエ、ホットリンク、東京計器など

マルマエ<6264>=後場急伸
前引け後に14年8月期の業績見通しについて、売上高15億円(前期比29.1%増)、営業利益2億円(同58.7%増)はそのままに、純利益を従来予想の1億9500万円から2億3200万円(同2.9倍)へ上方修正したことが好感されている。遊休資産の電子ビーム溶接機を譲渡したことに伴い、特別利益3700万円を計上することが要因としている。

 ホットリンク<3680>=急反発
7日に話題のAKB48総選挙の開票を控え、関連銘柄として物色されているようだ。先日には同社からデータの提供を受けた予測記事が掲載されるなどしており、改めてビッグデータを活用企業として注目が集まっているもよう。株価も1月高値5670円から調整局面にあっただけに、見直し買いも入っているようだ。

 東京計器<7721>=大幅反発
前日に決算説明会が開催されたことで見直し買いが加速しているもよう。説明会では15年3月期の業績見通しとともに、昨年5月に発表された中期目標が改めて説明され、15年3月期は売上高453億円(前期比1.6%減)、経常利益24億6000万円(同38.2%減)見通しながら、16年3月期は売上高570億円(15年3月期計画比25.8%増)と大幅増収を見込んでおり、成長力に期待した買いが入っているようだ。
 
 ラサ工業<4022>=急動意
下値リスクに乏しく流動性に富む低位材料株へ物色資金が向いている。そのなか同社株は底入れが鮮明、持ち前の値動きの速さに着目した短期筋の買いに厚みが加わってきた。機械部門で掘削機を手掛けており、リニア新幹線では総工費9兆円の大半を占めるとみられるトンネル工事で活躍が期待されている。また、放射能除染では、汚染された土壌から汚染濃度が高い土砂を分離・回収する「グラインドウォッシャー」を開発しており、折に触れて株高の思惑材料となる。

 アマダ<6113>=堅調1000円大台乗せ後も、目先の達成感からの売り物を吸収して頑強な展開を続けている。同社は配当性向を50%に設定し、さらに最終利益の半分を自社株買いに使うという「100%株主還元策」を16年3月期までの施策として発表している。これは自己資本の膨張を抑えROEを高める効果もあり、同指標を重視する外国人投資家やGPIFなどの新たな投資対象としても注目される。

 JAL<9201>=続伸。
円安で燃油コストの上昇が懸念されたが、国際線収入の拡大がこれを相殺、合理化努力も寄与している。15年3月期営業利益は前期比16.1%減の1400億円を会社側では見込んでいるが、「前期同様に保守的な数字」(業界アナリスト)との見方が強い。訪日外国人向け事業でJR東日本<9020.T>と提携、台湾で旅行会社を共同運営すると発表したことも株価の刺激材料となっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想