カギを握る経常収支!

著者:比嘉洋
投稿:2014/06/04 13:56

ユーロ売りは続かない?!

ドイツの経常収支推移
先週の当欄で取り上げましたドルインデックスは順調に上昇、ドル円は102円台ミドルまで値を戻しています。ただ、ここからは一目均衡表の雲の上限(102.70円)が控えるなど、上値抵抗ポイントも待ち構えています。そこを抜けていくか否かは、週末に予定されている雇用統計次第と言うことになりそうです。

さて、明日には注目のECB理事会が控えています。何らかの追加緩和が市場のコンセンサスとなっていますが、個人的には今回の理事会で政策金利を小幅引き下げ(0.10~0.15%)、預金ファシリティ金利を現行の0%から-0.1%に引き下げるのではないかと考えています。こちらの策では市場はすでに織り込み済み、「予想で売られ、結果で買われる」という展開になるのではないでしょうか。

私は中期的にも一段のユーロ安にはならないと考えています。その理由は経常収支の黒字です。覚えていらっしゃるでしょうか?数年前、日本がデフレに苦しんでいた時、円買いが強まったことを。その背景にあったのが、まさに経常収支の黒字だったわけです。その後、東日本大震災もあり、日本の経常黒字は縮小、昨年に至っては3兆円程度となりました。そして、月間ベースで経常赤字にも陥っており、それが最近の円安にも寄与しているのです。

現在、ユーロ圏の経常黒字は積み上がっています。とりわけドイツの黒字は群を抜いています。この経常黒字積み上がりが続いている間は通貨買いが持ち込まれることとなり、通貨ユーロの下げも限定的なものに留まるのではないかと言うのが私の見立てです。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想