オバマ大統領来日の手土産に、カジノ解禁へ?

著者:小野山功
投稿:2014/04/17 10:43

年間上昇率“ゼロ”で窮地に

先週(4月7日~11日)の日経平均株価は 約1,103円の下落。騰落率は▲7.3%に達し、先進国でワーストワンの下げ幅となりました。証券最大手、野村HD〈8604〉の株価は5日続落。日銀が異次元緩和を発表した翌日の、昨年4月5日以来の安値水準に沈んでいます。

ただ、今週に入ってにわかに市場のムードが好転してきたように感じます。15日(火)に安倍総理と黒田日銀総裁が 4ヶ月ぶりに会談を行い、追加緩和などへの思惑から、会合翌日の16日(水)日経平均株価は +420.87円(+3.01 % )の上昇。今年2番目の上昇を記録したのです。

「安倍-黒田会談」が初めて行われたのは昨年6月13日のことですが、両氏の会合以降、株価が上昇したという経緯がありますので、今回もアノマリーを期待する向きは大きいようです。

安倍政権発足後、これまでは株価が前年比でマイナスになることがありませんでした。しかし、先週1万4千円を割り込み、早ければ今月末にも年間上昇率“ゼロ”になりかねない状況でしたので、このままではアベノミクスの成果に疑問符がつくことになりかねません。

4月27日に増税後初の国政選挙(鹿児島2区補欠選挙)が予定されていますので、「株価の前年割れは何としても避けたい」という思惑があったのは間違いないでしょう。

また、景気刺激策としてカジノ法案成立が現実味を帯びてきました。株価対策としてのカジノ解禁というカンフル剤も期待できるかもしれません。カジノ構想を掲げるフジテレビの日枝久会長と、安倍総理の蜜月関係がさらに深まっているのです。

たとえば、32年間放送が続いていたフジテレビの長寿番組「笑っていいとも!」が3月に終了しましたが、安倍総理は3月21日にサプライズで番組に出演しました。現役総理として史上初めてのバラエティ番組といわれていますが、歴史的な出演を要請したのは日枝会長だといわれています。

また、4月からは安倍首相の甥っ子がフジテレビに入社するとのこと。コネといわれても仕方ないほどあからさまですね。

さて、フジテレビは三井不動産や鹿島と組んで、台場にカジノを誘致することを提案しています。視聴率が振るわないなか、テレビ以外の収益を模索しているのでしょう。

4月13日に安倍首相と日枝会長が、富士桜カントリー倶楽部でゴルフを楽しんだことがわかっています。4月下旬からカジノ法案が衆議院で審議入りするとの観測もあり、カジノの話がなかったとするほうが不可思議だと思います。

また、来週23日(水)からはオバマ米大統領が来日しますので、カジノ成立がにわかに現実味を帯びてきているように感じます。

TPP(=環太平洋パートナーシップ協定)では日米の意見の隔たりで協議が難航していますが、TPPの折り合いがつかない分、米国企業が潤う「カジノ解禁」という手土産を安倍首相が用意しているというシナリオは、やや勘ぐりすぎでしょうか?

小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想