変化の起こりやすい時間帯

著者:菊川弘之
投稿:2012/11/21 10:43

一目均衡表では雲のねじれ

 昨日は、米住宅着工件数が市場予想を大幅に上振れしたことや、バーナンキFRB議長講演で「財政の崖」実現の場合の景気後退リスクや金融政策は万能薬ではないと述べたことが逆に、「財政の崖」問題の交渉妥結期待に繋がった格好となり、米長期債利回り上昇、ドル円は4月以来の高水準へ続伸した。
 
 本日は、10月の日本の貿易収支が4カ月連続の赤字となり、赤字額が事前予想を上回り、10月としては過去最大となったことで東京時間には円安ドル高が進行している。今晩は、米国で製造業PMI、新規失業保険申請件数とミシガン大消費者信頼感指数などが予定されている。

 ドル円は200日移動平均線を上抜いて以降、心理的節目82円台を目指す流れであるものの、本邦関連での新たな円安材料の出尽くし感がある中、安倍自民党総裁の極端な金融政策要求(特に建設国債引受)に対する産業界からの批判や、感謝祭休暇前の潜在的ポジション調整圧力に加えて、今晩はハリケーンや「財政の崖」懸念が米経済指標に、どの程度、悪影響を及ぼしているか否かが注目されよう。前週急上昇した新規失業保険が再び市場予想を上回るか、これまで改善を続けていた消費者信頼感が下振れる場合、米景気懸念に改めて市場の関心が向くリスクも想定しておきたい。

 テクニカル面からは、一目均衡表の雲のねじれに差し掛かっており、現在のトレンドが加速するか、もしくは反転するかなどの変化の起こりやすい時間帯に入る。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想