―三菱商など大手企業が続々と取り組み活発化、“ポスト石破”に絡み関心上昇も―
国内政局がにわかに流動化し、米国をはじめ海外でも政治経済の両面で依然として不確実性の高い状況にある。ただ、そうしたなかでも大型株を中心に全体指数はするすると上昇し、個人投資家にとっては手掛けづらさも意識されるが、常に物色の機会をうかがい、したたかにマーケットと対峙する姿勢は持ち続けたい。こうした相場環境下では成長イメージの膨らみやすいテーマにおのずと関心が向かう。例えば、将来の普及拡大に夢が広がる新技術に絡むもの――生成AIや量子コンピューター、ステーブルコイン、ペロブスカイト太陽電池、核融合発電などだ。この中から今回「核融合発電」に光を当ててみた。
●6月に政府戦略改定
三菱商事 <8058> [東証P]は2日、同社を含む日本企業12社共同で、核融合ベンチャーの米コモンウェルス・フュージョン・システムズに出資参画したと発表した。これにより最先端の知見やノウハウを蓄積し、脱炭素化とエネルギー安定供給の両立に貢献する狙いだ。共同メンバーには三井物産 <8031> [東証P]をはじめ、NTT <9432> [東証P]や関西電力 <9503> [東証P]、商船三井 <9104> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、三井不動産 <8801> [東証P]など各業界のリーディングカンパニーが名を連ねる。三菱商は2023年に京都フュージョニアリング(東京都大田区)へ出資した実績があり、今回の動きはそれに続くものだ。
核融合発電とは原子核を合体させてエネルギーを生み出す発電方法のことで、核分裂を用いる現在の原子力発電とは大きく仕組みが異なる。核分裂のような連鎖反応が起きないため安全性は比較的高い。加えて、少量の燃料から莫大なエネルギーを得られる効率性の高さに魅力があり、実用化に向けて各国政府・企業が開発競争を繰り広げている。そのなかで日本は核融合発電に関わる技術を国内企業のみで網羅している数少ない国の一つとされ、優位性がある。
政府が23年に初めて策定し、今年6月に改定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略(核融合戦略)」では官民の研究開発力を強化し、世界に先駆けて30年代に発電実証を行う目標を掲げた。民間の取り組みは既に活発化しており、今年に入ってNTTは量子科学技術研究開発機構と共同で核融合炉内の状態をAIで予測する世界初の手法を発表し、大林組 <1802> [東証P]と三菱電機 <6503> [東証P]は国内有力ベンチャーに出資、浜松ホトニクス <6965> [東証P]は核融合発電に必要なレーザー技術の実験成果を公開した。前述の三菱商と同じく、昨年には日本ゼオン <4205> [東証P]が米国のベンチャー企業に出資している。
●実績豊富な助川電気
足もとの株式市場では“ポスト石破”を見据えた物色が広がり、有力候補の一人とされる高市早苗氏に絡み、核融合発電のテーマに改めて関心が向かっている。有力株に位置づけられるのが助川電気工業 <7711> [東証S]だ。原子力分野で豊富な実績を持つ産業機器メーカーで、原発関連株としても投資家の視線が熱い。量研機構が手掛ける核融合実験炉「JT-60SA」に製品を納入し、日米欧や中ロ、インドなどが連携する国際的な核融合プロジェクト「ITER(イーター)」の協力企業の1社でもある。原発再稼働の追い風を受け、25年9月期は営業32%増益で連続最高益へ。配当予想も連続増配を見込む。株価は約34年ぶりの高値で実質的な青空圏を突き進む。
●技術力光る中小型株など
ITERに製品を納入する協力企業は助川電気以外にも数多くある。原発関連の中核でもある三菱重工業 <7011> [東証P]や日立製作所 <6501> [東証P]のほか、三菱電やホトニクス、NEC <6701> [東証P]、キーエンス <6861> [東証P]、ニコン <7731> [東証P]、古河電気工業 <5801> [東証P]、大同特殊鋼 <5471> [東証P]など錚々たる顔ぶれが並ぶ。赤外放射温度計の納入で計測機器メーカーのチノー <6850> [東証P]も名を連ねておりマークしたい。
このほか、核融合関連の範疇にある銘柄として木村化工機 <6378> [東証S]に注目。同社は化学プラントを主力に、核燃料輸送容器や放射性廃棄物処理装置といった原子力向け製品を多数展開。「JT-60SA」向けに装置本体を真空断熱するための関連製品を納入した実績がある。前期に営業最高益だった反動もあり今26年3月期は減益予想だが、既に株価には織り込みが進んでいるもよう。4月安値(580円)から8月高値(1097円)まで強力な上昇波動を形成し、足もと堅調に推移している。
老舗化学メーカーの神島化学工業 <4026> [東証S]も見逃せない。同社は世界トップクラスのセラミックス透明化・緻密化技術を持ち、これを生かしたセラミックス製品は大阪大学が進める核融合研究などに採用されている。26年4月期は主力の建材・化成品事業の採算改善を図り、営業利益は3期ぶり増益を予想。配当は6期連続の増配を見込む。株価は核融合関連株の位置づけで直近動意づき、200日移動平均線との下方カイ離をほぼ解消したところ。ここからの値動きを見守りたい。
また、研究施設向けの装置メーカーで半導体分野に手を広げ、更に核融合分野での取り組みもみせるジェイテックコーポレーション <3446> [東証S]、核融合炉向けの高熱伝導材料を製造する東洋炭素 <5310> [東証P]、核融合をはじめ幅広い産業分野に向けて真空ポンプを提供するアルバック <6728> [東証P]なども要マークとなる。
株探ニュース
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