自民総裁選の影響は限定的

著者:菊川弘之
投稿:2012/09/26 09:30

レパトリも限定的か

 自民党総裁選挙は本日、投開票(13:00~)が行われ、新しい総裁が選出される。1回目の投票では、いずれの候補者も過半数(250/498票)に達せず上位2名による決選投票(198 票)が予想されており、40年ぶりに国会議員による決選投票にもつれ込むのは確実な情勢だ。
 
 主要紙世論調査では、次期衆院選比例代表分の投票先としては自民党首位が多く(読売、毎日)、自民党総裁選は次期首相選となる可能性もある。

 政策面で為替に直接影響するのは為替政策と日銀への圧力だが、自民党は今年4 月発表の次期衆院選マニフェスト原案で円高・デフレ克服を掲げ、物価目標2%・日銀法改正などを挙げており、2-3%と高めの物価目標に言及している安倍晋三元首相選出の場合は若干の円安圧力として意識される可能性がある一方、石破茂元防衛大臣と安倍晋三元首相は、「新たに海兵隊を創設する必要がある」と表明しており、アジア地区のリスクの高まりが懸念されるケースも出てくるか?他方、林、石原両氏は変動相場制見直しを示唆しているが、実現可能性は低く、材料視され難い。

 誰が選出されるにしろ、衆院解散・総選挙時期の不確実性および自民党勝利でも単独政権の可能性は低く、総裁選の為替市場への影響は限定的となるだろう。

 今週は四半期末・月末が重なるため、本邦企業・投資家による対日資金還流(リパトリエーション)が意識され易いが、99年以降の9月末から10月初にかけてのドル円の変動パターンをみると、9月下旬にやや軟化した後、10月初にかけて若干持ち直す(円安)傾向が確認される。
 
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想