【QAあり】Faber Company、リード獲得力とプロダクト力による受注体制と大手・中堅企業へのクロスセルで売上拡大

投稿:2024/12/11 15:00

INDEX

古澤暢央氏(以下、古澤):株式会社Faber Company代表取締役Founderの古澤です。本日は弊社の配信をご覧くださり、誠にありがとうございます。本日はスライドのインデックスに沿ってご説明します。

事業概要

古澤:弊社の事業についてご説明します。昨今は多くの企業がインターネット等を活用したマーケティング活動、つまり宣伝・集客を行っています。弊社はそのようなマーケティング部門の現場で起こる、さまざまな日々の事案や困り事を解決する会社です。

例えば、今はどの企業もホームページ、あるいは「YouTube」や「X」といったソーシャルアカウントを運用していると思います。

そのような中、ホームページのアクセスを増やすという命題があります。アクセスといっても、広告を運用して獲得していくアクセスもあれば、いわゆる検索エンジンから流入してくるアクセス、あるいは「X」や「YouTube」等でコミュニケーションを取って獲得するアクセスなどさまざまです。

弊社では現場の方に向けて、このようなさまざまなプラットフォームからの集客支援を行っています。ソリューションとしては2つあります。

1つは、デジタルマーケティング自動化ツールです。こちらはソフトウェアでの提供で、インターネットを通じて活用いただく月額課金制のモデルです。

もう1つは、デジタルマーケティングリソースです。イメージとしては人的支援のようなのもので、例えば弊社のコンサルタントがお客さまに代わって受託・施策を行うこともここに含まれます。あるいは、後ほどご説明する人材の派遣やマッチングも事業として行っています。このように、広い意味での人手をリソースと呼んでいます。

自動化ツールとリソースをさまざまに組み合わせ、クライアント企業のマーケティング支援を行っています。

ファーストパーティーデータを強化するコンテンツマーケティング・SEOの自動化ソフトウェア

古澤:弊社の代表的なプロダクトを3つご説明します。1つ目は「ミエルカSEO」です。

弊社のサービス群には、すべて「ミエルカ」という名称がついています。「ミエルカ」とはいわゆる「可視化」「見えるようにする」ことです。難解なマーケティング活動を可視化し、施策を行いやすくするという意味からサービス名につけています。

SEOという言葉が世に生まれてから、20年くらいが経ちました。例えば日本では「Google」「Yahoo!」という2つの大きな検索エンジンが利用されており、私たちはふだん消費者や生活者として、主にスマートフォンを通じて検索します。みなさまも1日に何度か検索していると思いますし、私も1日30回以上は検索します。

その際、1件でも多くのアクセスを獲得するために、クライアント企業のホームページが検索エンジンでより上位表示を獲得することは非常に重要な施策です。これは、この20年間でマーケティング担当者の方には親しみがあるものです。

生活者・消費者のみなさまが検索する際には、例えば近くの居酒屋を探すために検索したり、テレビで見たアイドルグループの名前などを検索したりなど、目的があります。あるいは、仕事上の解決すべき悩みが生じた際には、やはりそれを言葉として検索エンジンに入れ、検索ボタンを押して検索します。その後、検索結果を上から順に見て、1つずつアクセスしていきます。

なぜその言葉を検索エンジンに入れたのか、検索を何を達成するためにその検索を行ったのか、検索者の目的を検索意図と言います。この検索意図を正しく把握し、ホームページ上でそれを表現することが重要です。

弊社の「ミエルカSEO」には、スライドに記載したようなさまざまなお助け機能があり、「このようにホームページを改善すると、上位表示が達成できますよ」といった、上位表示を達成するためのサポートを行います。

企業のマーケティング担当者が、サポートに沿って施策を行っていくことにより、ホームページの上位表示が実現し、ホームページへのアクセス数が増えていくことになります。

ユーザー行動を可視化し、コンテンツの満足度を高めるUX改善ソフトウェア

古澤:2つ目は「ミエルカ ヒートマップ」です。マーケティング担当者は、アクセスしたユーザーを1件でも多くコンバージョンにつなげなければなりません。

コンバージョンとは、例えばeコマースサイトの場合は商品を買っていただくこと、法人向けサービスの場合は電話やフォームを通じてお問い合わせいただくことなどを指します。簡単に言えば成果です。

成果を上げるためには、ホームページにアクセスしたユーザーの行動を意識しながら、どこに脆弱性があるか、どこを改善しなければならないかを模索します。例えばスマートフォンからのアクセスの場合、興味のない部分は読まずにスクロールし、興味のある部分で立ち止まるのが生活者の行動パターンです。

「ミエルカ ヒートマップ」を使うと、ホームページ上でユーザーが立ち止まった「熟読箇所」がわかります。興味が集中している箇所をホームページの上部に持っていったり、そのコンテンツを深掘りし、図や画像を加えるなどよりリッチにしたりします。

すると、アクセスしたユーザーは満足体験を得ることになりますので、最終的に成果・コンバージョンにつながっていきます。「ミエルカ ヒートマップ」はそのための支援ツールです。

スライドにはヒートマップの例として画像を掲載しています。みなさまが見慣れているサーモグラフィーのように、赤が濃いほどユーザーの反応が高く、どこをタッチ・タップ・クリックされているかも点で示されます。直感的にわかりやすいソフトウェアとなっています。

約2,000名のデジタルマーケティング人材が登録する、即戦力マーケティング人材を企業に提供するサービス

古澤:ここまで、クラウド上で使用する2つのツールをご紹介しました。次は人的支援についてご説明します。

弊社の「ミエルカ コネクト」には、約2,000名のデジタルマーケティング専門人材の登録があり、そのスキルをアセスメントしています。すべてのマーケターと面談を行い、ヒューマンスキルを含めてどのようなことに長けているのかをデータベースに格納しています。

企業において人手が不足している場合、従前は求人サイトに求人票を載せ、多くの場合には社員として募集していました。

しかし、面接を担当される人事の方は、デジタルマーケティングのプロではありません。そのため、求職者のスキルが自社にマッチしているかを判断することが非常に難しい部分でした。せっかく入社してもらったとしても、ミスマッチがあればお互いに不幸なことになる例もあります。

「ミエルカ コネクト」では、この道20年の弊社がクライアント企業に代わって専門人材を選定し、「御社に合う人材が何人います」とレジュメを即時お渡しします。

そこで「この方とこの方が気に入りました、1回お話ししたいです」となれば、数日以内に弊社の担当者、クライアント企業の担当者、登録者での、オンラインを通じた三者面談が可能です。このように、可能な限り時間をかけずに最適な人材をご紹介できることが1つの特徴です。

繰り返しになりますが、人材のスキルが本当にクライアント企業にマッチしているのかが重要です。例えば不動産やアパレル、「Instagram」や「TikTok」の施策など、得意分野はさまざまです。「インターネットマーケティングが得意」とひとくくりにしてしまってはうまくいかないところを、我々がしっかりと選定します。

また、稼動したマーケターの評価についても、クライアント企業からフィードバックをいただいて蓄積します。このようにミスマッチや事故などのトラブルを極力避けて活用できるところが評価を受けています。

当社のビジネスモデル

古澤:弊社のビジネスモデルをスライドにまとめました。左側の「現場のピンポイント課題」とは、マーケティング部門の社員、あるいは主任・係長・課長といった、現場の方々の日々の困りごとをイメージしてください。

例えば、突発的に起きた退職・休職や、上司からの「最近アクセスが増えているというレポートがあるが、実際に売上につながっているのか?」というアクションなどです。そのような改善に取り組む方々のサポートを行っています。

右側は「顧客にクロスセル」です。ここには弊社の多くのプロダクトを並べています。先ほど、弊社のサービスを3つご紹介しましたが、細かいものを入れると8つほどあります。

現場のお客さまが「コンバージョンを上げたい」という場合には、ピンポイントでそこに特化して提案を行います。そのため価格は比較的安くなっています。導入の障壁を下げ、まずはお付き合いの入口を確保することが重要です。

その後、マーケティング予算の大きさやホームページの数といった企業のポテンシャルを踏まえ、徐々に複数の商材をご提案しながら取引を大きくしていくことが、このビジネスモデルの特徴です。

弊社の1つの特徴として、お客さま数が1,700社超あるため、売上が非常に分散しています。また、継続的な課金が売上の80パーセント超を占めています。これは毎月一定の課金があるサブスクリプションのようなもので、継続型のリカーリング収入をイメージしていただければと思います。この細かい積み上げで売上が成り立っており、非常に安定性が高い収益モデルです。

ビジネスモデルの展開事例(抜粋)

古澤:小さく入り、大きく育てていくイメージを見える化したスライドです。左側は大手化粧品メーカーの事例です。インターネットで弊社を見つけていただいたことが始まりでした。

「多くのアクセスがあるが、ホームページ内でユーザーが理想的な動きをしているのか?」「ホームページの改善をしたいが、手がかりがつかめない」というお問い合わせに対して、先ほどご紹介したサーモグラフィーで動きを可視化する「ミエルカヒートマップ」をご提案し、約3ヶ月のリードタイムを経て月額15万円のお付き合いがスタートしました。

多くの場合には、ツール導入から約3ヶ月、遅くても6ヶ月くらいで、数値が向上したなどなんらかのプラスの変化が起きます。そのタイミングで弊社は四半期または半期に1度、先方の上長に対して成果のフィードバック会を実施しています。そこでは先ほどご紹介した8つのサービスなどを挙げ、「実はこんなことも解決できますよ」と、弊社のケイパビリティについても丁寧にご紹介します。

さらに翌期の予算についてもおうかがいすると、「そのようなことも行っていたのか、他の事業部もあるからいろいろとお世話になろうか」というように契機が訪れます。ここで採用されれば、翌期の予算の段階で2個目、3個目の商材と月額の課金が増えていくことになります。

これは非常にきれいなモデルであり、もちろんすべてがこのように進むわけではありません。しかし、このようなことを企図して、弊社の現場は日々お客さまと対峙しています。

足立武志氏(以下、足立):後ほどご説明もあるかもしれませんが、競合との差別化を図るために意識していること、行っていることはありますか? また、他社が真似できない参入障壁についても教えてください。

古澤:一言で申し上げると、価格帯が非常に安いことが挙げられます。特にエンタープライズ企業に対するプロダクトを展開している企業の例では、月額のチャージフィーが50万円、100万円、200万円というケースが非常に多いのが実情です。

一方、弊社のプロダクトは、最も安いもので月9,800円です。価格が安ければ検討期間も短くなり、現場でも決裁がしやすくなりますので、お付き合いが始まりやすい接点での面があります。

その後、弊社のプロダクトは常にクライアントのニーズの実情を把握しにいきます。「このような商品を他社から買っている」「このようなことに予算を振り向けたいと考えている」などの情報を収集していますので、ニーズにマッチした商品を手早く低コストで開発することが可能です。そのため、よく「かゆいところに手が届きますね」と言っていただくことがあります。

参入障壁については、後ほど詳しくご説明します。

業績推移及び成⻑戦略

古澤:業績推移と成長戦略についてお話しします。スライド右側のグラフには、赤い部分と薄い灰色の部分があります。

薄い灰色は非注力事業を示しており、創業時からのEコマース事業やメディア事業が該当します。創業当時は、いわゆるデジタルマーケティングの実験場のような立ち位置で非常に貢献しており、売上・利益もある程度ありました。

しかし現在は「ミエルカ」シリーズのデジタルマーケティング自動化ツールと、デジタルマーケティングリソースが伸びてきた経緯があります。そのため注力事業としてしっかりとリソースを傾注することとなり、2024年9月期の第1四半期の前半ですべての非注力事業から撤退しました。

弊社の直近2、3年の連結決算諸表では、売上成長率・利益成長率が3パーセントぐらいの成長で、しかも減益のように見えてしまう部分もあります。しかしこの注力事業だけで見れば、平均CAGRは2桁になっているのが実態です。

進行している2025年9月期に関しては、非注力事業は一切ありません。今後は注力事業のみで成長を語れる段階に入りました。

今後の成⻑イメージ

古澤:成長戦略についてです。1つ目は「大手・中堅企業への成長戦略」です。非常にシンプルにお伝えすると、弊社は上場企業、または売上100億円以上の企業を主なターゲットとして選定しています。大手・中堅企業に対する足元の営業努力を柱とし、しっかりと伸ばしていこうと考えています。

2つ目は「M&Aによるクロスセル」です。さらに商材数を増やし、足し合わせることによって、注力事業でしっかり成長していくことを模索しています。

足立:クロスセル商材の追加ですが、これは具体的にどのようなものをお考えなのですか?

古澤:弊社のお客さまがこれから予算を振り向けようとしている領域としては、例えば「LINE」を活用したCRMツールのようなものが挙げられます。

ふだんの生活の中で、ホームページで何か良いものを見つけた時に「LINE」の友だち追加ボタンを押すことがあります。友だち追加をすると、そのLINEアカウントからは、昔でいうメルマガのようなものが定期的に送られてきます。これによりお客さまとのタッチポイントを増やしていくCRMツールのようなイメージも浮かんでいます。

また、インターネット広告にはアドフラウドの問題があります。これは機械的に行われた不正な課金のようなもので、愉快犯のような人たちがスパミングなアタックによって各企業の広告費の無駄を増やす行為です。このようなものを排除していくツールも考えています。

足立:さらに「かゆいところに手が届く」を増やしていくのですね。

古澤:おっしゃるとおり、お客さまが顕在もしくは潜在で、確実にこれから困るであろう課題をすべて捉え、商材を用意していきます。

FY24/9 通期連結決算サマリー

古澤:2週間ほど前に上場後初めての通期決算発表を行いました。その決算概要についてご説明します。

売上高が23億1,700万円、営業利益が3億3,400万円となり、営業利益は業績予想比8.3パーセントの上振れで着地しています。引き続き大手・中堅企業に向けた営業努力を行い、成長していきたいと考えています。また、初配当を実施する運びとなりましたので後ほどご説明します。

業績概要

古澤:スライドのグラフには四半期ごとの売上高と営業利益を示しています。左側が売上高の推移ですが、前期とおおむね同じような積み上げとなっています。

1月から3月が弊社の第2四半期にあたりますが、日本の決算が3月末に集まっているため、少し売上高が高くなる傾向があります。しかし、基本的には平準化していると見てください。

KPI

古澤:KPIは弊社が最も重要視している点ですので、丁寧にご説明します。

スライドの左側は粗利益別の顧客社数の推移を示したものです。上から順に合計社数とお客さまから頂戴する月額フィーを示しています。この金額は厳密に言えば月額売上高ではなく粗利益のレンジを示しており、そこに顧客社数をプロットしています。この中で、社数としては一番下の3万円未満が減ってきています。

弊社では、コロナ禍まで大手企業や中小企業、個人事業主もいずれも同じ1社として数えていました。認知を拡大するため、徹底的に数を増やす戦略をとっていたためです。ところがコロナ禍に入り、2020年、2021年あたりにはお客さまの離脱が増えた非常に苦しい時期があり、そこで戦略転換を行いました。

具体的にはそのような経済的にショックな出来事が起きた場合でも、景気の波に左右されずに、定常的にお金をお支払いいただける企業がどのような企業かをしっかりと分析しました。その結果、ごく当たり前のことではありますが、上場企業、あるいは売上100億円以上の企業が安定しているという結論に至りました。

したがって、今は新規営業やサポートにおいて、特にそのような大手・中堅企業のお客さまに対するリソースの傾注を行っています。

そのため、多数いらっしゃった月額1万円ぐらいのお客さまの剥落が続いています。そのようなお客さまを粗末に扱っているということでは決してありませんが、リソースには限りがあります。ポテンシャルの高い企業に傾注した結果、低価格帯のお客さまが少し離れていったということです。

「3~30万円」「30万円以上」の数字は堅調に伸びています。この中にはまさに大手・中堅企業が多くいらっしゃるということです。

また、スライドには2つのグラフを掲載しています。赤の折れ線グラフは営業チーム新規決裁者商談割合を示しています。

これは営業チームにおいて新規の商談で決裁者にお越しいただいた割合です。2023年9月期第4四半期を指数1として、その比率を示しています。商談数の絶対数が4倍になっているように見えるかもしれませんが、そのようなことではありません。

新規の商談は3回から5回ほどの訪問を経て実施することになりますが、弊社ではそこに部長や役員などの決裁者にお越しいただくことを重視しています。

現場の悩みは非常に重要ですが、掌握している予算やチームの規模は役職が上位に上がれば上がるほど大きくなっていく特徴があります。メンバーよりは課長、課長よりは部長、部長よりは役員のほうが見ている範囲が大きくなり、持っている課題の広さも非常に広くなります。そして悩みも深くなり、より長期の視点で考えていることになります。

つまりそのような方々と商談を行うことで、採用される商材数は増える傾向にあり、契約も長期に至る可能性があることから、この指数を追っています。

黄色の折れ線グラフはCSチーム既存顧客⾯談割合です。こちらはカスタマーサクセスチームとカスタマーサポートチームの数値です。

契約後のお客さまに対応しているチームでは、施策のフィードバックを行うために面談をしっかり行います。面談数が増えれば増えるほど、「そういえば『ミエルカ』では、このようなことに対応していませんでしたか? 相談できますか?」といった相談が舞い込む確率が増えていきます。

これがすべての売上の起点になることから、現場ではお客さまと密に連携やコミュニケーション取っているため、この指標を重視しています。

23年9月期からの取組の結果について クロスセル戦略

古澤:こちらのスライドは、先ほどご覧いただいたお客さまの売上レンジ別の表をグラフにしたものです。右側のグラフは粗利益⽔準別に粗利益の総額を示しています。灰色が月額3万円未満、黄色が月額3万円から30万円、赤色が30万円以上の総額です。

社数が減っていることからご心配をおかけしていますが、粗利益の総額は増えています。また、社数についてもそろそろ下落の打ち止め時期に入り、もう少し減る見込みではあるものの、その後は反転し、社数が増えていくことになると考えています。

費用構造

古澤:費用構造です。弊社では費用が急に上がることはありませんが、2024年9月期の第4四半期が多くなっているとご指摘もいただきます。ここは本来、もう少し上振れして着地する予定であり、非常に余裕のある第4四半期でした。

しかし、2025年9月期以降の中長期を見据えた投資に踏み切った結果、少し費用が跳ね上がりました。これは主に人件費や採用費です。特に採用費ではエージェントフィー等を踏み込んでいます。

お客さまにより付加価値の高い提案を行うためには、コンサルタントやプロジェクトマネージャーの経験者を採用する必要がありますが、非常に難易度が高くなっているのが実情です。給料も高くなりますので、フィーも高くなります。以上が費用構造の重要な内訳です。

FY24/9期の取り組み①:営業活動の組織化

古澤:2024年9月期に力を入れた3つの取り組みをご紹介します。

まず1つ目は営業の強化です。弊社は集客力が非常に強い会社です。集客という技を売っている会社ですので当然のことですが、その集客力に対して付加価値の高い提案力が少し弱いところを反省点としています。したがって、営業力を強化するために、現場では日々一生懸命に取り組んでいます。

弊社は1件の問い合わせに対するアンテナの感度を高めるため、問い合わせが入ると、「Slack」というツールを使って全役員、全部長が即座にしっかりと確認します。

「このお客さまであれば、過去にこのような商談履歴があるから、このようにアタックしよう」「このお客さまは、このぐらいのポテンシャルがあるから、このような布陣で提案しよう」など、毎日、何十件も入る問い合わせをすべて見ています。

また、営業担当の訪問前には、しっかりとレビューを行っています。お客さまに対して、どのような付加価値を持って提案するのか、毎日営業メンバーと部長陣がしっかりと話し合っています。

FY24/9期の取り組み②:CARTA HDとの資本業務提携

古澤:2つ目は電通グループのCARTA HOLDINGSとの資本業務提携です。こちらは上場時にも発表しています。

実際に活動が始まったのは今年9月ですが、足元ではCARTA HOLDINGSのお客さまに対する提案の機会をいただき、商談数も20件を超えてきました。少しずつではありますが商談の成果も上がっています。はっきりと成果が出るまでには6ヶ月、あるいは1年かかるかもしれませんが、着実にこなしていきます。

FY24/9期の取り組み③:AIと人力のハイブリッドによる新サービス開発

古澤:3つ目はAI関連です。AIには弊社もかなり力を入れています。

例えば、お客さまが活用するツールの機能に関して自動化が望まれています。できるだけ省人化・省力化・自動化し、お客さまの空いた時間を本業に費やしていただくことを目的にAI化を進めています。

一方で、マーケティングの仕事は戦略面が非常に重要です。弊社にはこの道10年、20年の熟達した職人が多数いますので、このような各分野の専門家に直接質問できるコーナーを設けています。これが非常に好評です。まだAIと人力のハイブリッドが必要ですので、2024年9月期はどちらにも力を入れて取り組んできました。

2024年9月期 通期業績結果と2025年9月期予想

古澤:2025年9月期の見通しです。表の中に赤色で示した部分が2025年9月期の業績予想です。弊社では特に営業利益を伸ばすことに非常に注力していますので、営業利益のYoY12.4パーセント増、売上高営業利益率の14.7パーセントが特に重要な目標だと認識しています。

数値としてはまだ非常に低いことを自認しています。そのため、営業利益をYoYでどの程度上げられるか、売上高営業利益率をどのように上げていくかを目下の課題として捉えており、しっかりと伸ばしていきたいと考えています。

2025年9月期 四半期業績見通し

古澤:2025年9月期の四半期業績見通しについてです。

ここでは、第1四半期に関してご注意いただきたい事項があります。2024年9月期の第1四半期には高収益の案件が舞い込みましたが、2025年9月期はこの案件が剥落しています。これにより、減益にはならない見込みですが、減益となる可能性があります。

また、第2四半期と第3四半期に弊社が重要視している展示会がありますので、費用が例年よりも少しかさむ傾向があります。

ファイナンス戦略とM&Aの考え方

古澤:もう1つ、非常に重要な戦略としてM&Aがあります。弊社では現在「シナジーとシェア最大化」「参入障壁の強化」のために、私と取締役とで、日々鋭意ソーシングを行っています。現時点で発表できるものはありませんが、徹底的にこちらの戦略を行っていきます。

財務戦略と還元方針

古澤:財務戦略と還元方針についてです。アロケーションとして、向こう3年程度の参考値を記載しました。

弊社は上場前から20億円近い現預金を蓄積してきました。これを最大の武器とし、主にM&Aに投じていきます。今後、定常資金はできるだけ少なく、場面によってはデットも積極的に活用し、その分しっかりとM&Aと成長投資に振り向けていきたいと考えています。

2025年9月期 株主還元

古澤:株主還元についてです。今年は弊社では初めての配当となります。普通配当20パーセントに加え、創業20周年の記念配当として10円を予定しており、1株当たり配当金は30円となります。

今期の予想営業利益に対して31パーセント強の配当性向という設定です。また、スライドは少し古い情報ですが、現段階では3パーセント台の配当利回りを意思決定しています。

出資に関するお知らせ:株式会社Growth DXへ出資

古澤:続いて、株式会社Growth DXへの出資に関するお知らせです。若くて非常に優秀な会社と巡り合うことができました。主にインサイドセールスやフィールドセールスなどのセールスに長けた集団で、30人ほどの社員を抱えています。

弊社も若い方々の力を借りてセールスの強化が必要であり、弊社のお客さまからもセールスが不足しているとご相談を受ける機会も非常に多くなっています。そのため、互いの強みや商品をお客さまにクロスして提供する機会としてこのような出資を発表しました。

FY25/9期のトピック:生成AIを活用した新機能をリリース

古澤:2025年9月期は引き続きAIの活用として積極的に自動化を行っていきます。先ほどもご覧いただいたヒートマップデータについては、弊社が過去20年間行ってきたデータをAIが学習していますので、すでに「ここをこのように改善したらどうですか?」と提案するAIの機能を実装しています。お客さまが仮説を立てる必要がなく、非常に好評です。このように積極的にAIを活用していきます。

スタンダード市場、上場維持基準に関する認識

古澤:最後に不名誉なお話ではありますが、弊社はグロース市場ではなくスタンダード市場に上場しています。時価総額の低さは情けない限りですが、そこに付随して流通株式時価総額10億円以上という基準を、少し下回ってしまいました。

こちらについては、鋭意改善していこうと考えています。先週金曜日現在の株価であればクリアしているものの、予断を許さない状況です。より高い目線で株価の目標を置き、しっかりと解消していきたいと考えています。

以上が私からのご説明となります。

質疑応答:配当実施の背景と配当性向の見通しについて

足立:配当性向を20パーセントに設定されています。配当を支払うことにした理由と、配当性向の今後の変更の可能性等があれば教えてください。

古澤:弊社ではM&Aと成長投資の計画を綿密に立てています。M&Aに関してはおおよその規模感と金額が見えてきました。それを精緻に計算していくと、キャッシュ・フローベースではそのM&Aを積極的にこなしても株主に十分に配当できる段階にあると考え、しっかりと還元と成長を実現するために配当の意思決定しました。

ただし、記念配当については「2026年9月期にはなくなるのではないのか」「これはつまり事実上の減配だろう」とお叱りをいただくこともあります。

もちろん今の時点で確約はできませんが、減配とならないよう、普通配当を増やしていく目標を持っています。そのために今期はしっかりと業績を実現し、2026年9月期も期待にお応えできる配当性向および利回りを出していきたいと考えています。

質疑応答:M&Aについて

足立:M&Aのお話が出ましたが、基本的には手元資金で実施されるのだと思います。他に借り入れや公募増資などの可能性もあるのでしょうか?

古澤:まずは手元にある20億円強のキャッシュを有効に活用していきたいと考えています。しかし、しっかりとデットも活用していこうというのが今の考えです。

弊社では創業以来デットを引いた経験がそこまでありませんが、今後M&Aをしっかり行っていくにあたり、機動的にデットを引くための戦略の一環としてメインバンクとのコミュニケーションを密にとっています。

足立:チャットから「すでに決定しているM&A先はありますか?」というご質問が入っています。こちらについてはいかがでしょうか?

古澤:現時点ではまだ発表できるものはありません。決定したものについてはすぐに発表しますが、鋭意ソーシングしている中で、相性のよい企業とは弊社なりにある程度コミュニケーションがとれているつもりです。

相性というのは、お互いのお客さまにお互いの商品とお客さまを共有し、お客さまに喜んでいただけるクロスセルができるかという商品性の相性や、企業文化の部分も含めたものです。

2025年9月期はまだ10ヶ月残っていますので、この中でみなさまにしっかり発表できるようなクローズを行っていきたいと考えています。

質疑応答:時価総額アップのための具体策について

足立:流通株式時価総額のご説明がありましたが、株価によっては基準に抵触することになると思います。時価総額アップのためには、例えば、外国人投資家や機関投資家などのプロ投資家に御社を魅力的に感じてもらい、投資対象としてもらうのが1つの方法ではないかと思います。具体的な施策があればお聞かせください。

古澤:まず、弊社の今の時価総額で投資してくださる機関投資家は非常に少ないことは認識しています。

しかし、その中でもいわゆるマイクロキャップといわれる領域に投資してくださる機関投資家が少しいます。始めたばかりではありますが、そのような投資家と連絡を取り、しっかりとIR活動に取り組んでいます。

時価総額が上がっていき、80億円、100億円、150億円となった段階には、投資ターゲットとしていただける機関投資家がもう少し増えることも認識していますので、足元ではそのような時価総額帯で活動している機関投資家のリストアップも行っています。また、ウォッチしていただくためにも、実際の面談を鋭意進めています。

もちろん業績が伴った上でのことですが、時価総額が上がっていくことをイメージしながら、各段階における機関投資家とのコミュニケーションを行うことを非常に重要な事項と捉えて活動しています。

質疑応答:売上先で多い業種や、業種の割合を調整する予定について

足立:「売上先で多い業種はどこですか? また、業種の割合を調整したいなど、今後の考えを教えてください」というご質問です。

古澤:こちらのスライドは、Appendixとしてご用意したお客さまの一覧です。ここからもおわかりいただけるように、多岐にわたっています。いわゆる広告、宣伝、広報等が必要な企業はすべて対象となりますので、特に業種による偏りはありません。

市場における競争⼒① リード獲得⼒ ‒SEO-

古澤:弊社の競争優位性についてご説明します。どちらかといえば投資家視点のご説明となります。

弊社のお客さまになる可能性のある方々、つまり潜在顧客がインターネットで探索をする際に、弊社の露出度が非常に高くなっています。

具体的には、弊社のお客さまも含めて、困った時に困り事を検索をされます。その際、検索エンジン上で上位にいることが非常に重要です。弊社ではこれをスコア化しており、競合他社と比較してもこのスコアが圧倒的に高くなっています。

市場における競争⼒① リード獲得⼒ ‒展⽰会-

古澤:検索はデジタルの取り組みですが、弊社リアルの世界においても展示会を行っています。こちらでは10年間活動していますので、非常にきめ細かなオペレーションを行っています。

市場における競争⼒① リード獲得⼒ ‒情報発信-

古澤:さらに情報発信も積極的に行っています。弊社のお客さまになりうる方々が、常に情報をウォッチしています。

この方々に向けて、弊社は世界から情報を持ってきていますので、他にはないものだとウォッチしてくださる方が多くいらっしゃいます。このような方々がお客さまになってくださることからも、非常に好評だと言えます。この点も他者に比べて弊社が強いところです。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:上場して間もないですが、人材採用面でも良い成果が出ているのでしょうか?

回答:はい、当社の財務安全性が、採用活動に良い影響を与えはじめたと感じております。今後、成長戦略の実践のため、より高い提案力を持つ人材の採用を行っていきます。ご期待ください。

<質問2>

質問:出資した企業を最終的に買収するのでしょうか?

回答:未定です。

<質問3>

質問:今後、CARTA HOLDINGS以外にも、戦略パートナーは拡大していくのでしょうか? また、提携で数字を伸ばしていくイメージでしょうか?

回答:はい。戦略パートナーは拡大していく方針で、業績の拡大における重要な要素として期待しております。戦略パートナーには、大手広告代理店や上場しているWebサイト制作会社、コンサルティングファーム等、ナショナルクライアントを顧客に持つ企業を想定しています。

配信元: ログミーファイナンス

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