【QAあり】TORICO、イベントサービスが引き続き成長し前年比+29.6% 成長余地の大きい海外事業の拡大へ
目次
安藤拓郎氏:株式会社TORICOの2025年3月期第2四半期決算説明会を始めます。代表取締役の安藤拓郎です。よろしくお願いします。
これまでは、業績ハイライトからお話ししていましたが、現状を踏まえ、成長戦略からご説明します。
「選択と集中」による成長基調への回帰
成長戦略について、キーワードは「選択と集中」です。これにより、成長基調への回帰を目指します。
「選択」の部分では、まず利益を出しやすい体質に変えていきます。スライド右側に記載のとおり、現行売上は2年前や3年前に比べると縮小していますが、現行売上でもきちんと利益を出せる体質に変えていきます。
具体的には、サービスの再編です。採算の合わない事業は廃止、あるいは、かたちを変えて利益が上げられるようにするなど、見直しを進めています。
販管費の最適化では、特に人件費の部分、販促費用の見直しを進め、実際にコストダウンを図っています。
「集中」の部分では、単に事業を縮小していくだけではなく、そのリソースを、今後伸びゆく市場に向けて展開することを目指しています。
スライド右側に記載しましたが、成長余地の大きいイベントサービス、その中でも特に海外事業への集中により、会社全体の利益率の底上げを目指します。
1. 海外事業の拡大
成長戦略の1つ目は、海外事業の拡大です。スライド上部に、「国内・海外のパートナーとの連携によるアニメ商材における商社的ポジションの確立」とあります。
これまでは自社のアニメグッズ・カフェ企画を、自社の店舗を使って国内で販売するのが主でしたが、国内外のパートナーとの連携で、国内外でのグッズ販売、イベントの開催という展開が可能になりつつあります。
今後は自社企画のグッズ・カフェ展開に加え、パートナーとの連携で、グッズ・イベント企画を海外に拡大させていきます。それによって海外における販路の拡張、売上の拡大を加速させていきます。
我々は、アニメグッズ、カフェ企画において商社的なポジションを取れるため、こちらを強みにしていきたいと思っています。
1. 海外事業の拡大
海外におけるパートナー戦略を進める中で、既に進行している事例をご説明します。漫画が原作で、海外でも非常に人気のある『ブルーロック』というアニメがあります。我々はこれまで、日本の店舗でグッズ販売を展開していましたが、海外市場へと拡大しています。
まずは「ブルーロックモンスターパーティ」という企画を、香港の商業施設で実施しました。香港だけでなく、台湾・中国全土といった中華圏、また、東南アジアにも拡大する予定です。
今後は『ブルーロック』に限らず、さまざまな作品を海外へ広げていこうと考えています。
特に東アジア・東南アジアでは、日本のアニメ人気が非常に高まっています。そのため、我々が企画したイベントを海外で開催したり、グッズを海外で販売したりする流れは、大きく、強く作れると確信しています。
1. 海外事業の拡大
市場性についてです。スライド左側にコミック市場とありますが、キャラクター物販市場は非常に大きく、コミック市場の10倍以上の規模です。今後も伸びると予想されますので、キャラクター物販市場での当社シェアを拡大していきます。
2. 国内事業の深掘り/ 3 . 新規事業の創出
成長戦略の2つ目は、国内事業の深掘り、3つ目は、新規事業の創出です。
まずは「漫画全巻ドットコム」のオフライン施策として、テイツー社との連携により、テイツー社が運営する「古本市場」30店舗の中で、我々の新品コミックを販売しています。
逆に「マンガ展」では、我々の店舗(渋谷店)で、テイツー社のフィギュアを販売しています。場所が渋谷のため、インバウンド需要を取り込むことができています。
新規事業としては、トレーディングカードEC「トレオタ」を始めています。エンタメという点で軸足が非常に近く、また、ECは我々が得意としているところです。そのため、我々も非常に期待しており、新しい柱として立ち上げていきたいと考えています。
継続的に拡大するECと海外事業の成長による企業価値の向上
スライドをご覧ください。先ほどお話しした、「自社既存事業によるオーガニックな成長」に関して、伸びしろは大いに残されていると思っています。
「有力な同業他社との連携によるビジネス領域の拡大」についても、先ほどご説明したように、国内外のパートナーとも連携し、商圏を広げています。
また、「M&Aによる新規領域、海外展開の本格化」も、特に海外は大きく可能性が広がっていますので、引き続き狙っていきたいと考えています。
2025年3月期 第2四半期 エグゼクティブサマリ
業績ハイライトです。エグゼクティブサマリとして、売上高、経常利益を記載しています。
売上高は約19億円、前年同期比でプラス1,500万円、経常利益はマイナス1億3,500万円、前年同期比でマイナス3,700万円となっています。
売上高は微増となりましたが、経常利益は、今後の事業拡大や物価高の影響を少なからず受けたため、残念ながらマイナスで着地しています。
2025年3月期 第2四半期 連結決算サマリー [前期比]
連結決算のサマリーです。
紙コミックス市場の停滞により、EC領域の売上高は前期比でマイナス約5パーセントとなりました。一方、イベントサービスの売上高は前期比で約30パーセント増えており、新規事業の売上とも重なったため、コミックのマイナス分をカバーできています。
2025年3月期 第2四半期 連結決算サマリー [予算比]
予算比は、もう少し高い進捗を想定していましたが、そこにはたどり着けていない状況です。スライド右側の予算比を見ていただくと、EC事業・イベント事業ともに、マイナス約5パーセントとなっています。
新規事業も売上は立ってきていますが、より早い立ち上がりを想定していたため、第2四半期のタイミングではたどり着けない結果となりました。
サービス別 売上高 [ECサービス]
サービス別の売上高です。ECサービスは四半期予算を達成したものの、我々が想定していた売上の伸びは達成しきれず、コロナ禍の時期と比べると低位で安定してしまっています。
売上の核となる大きなヒット作が生まれない中、さまざまな施策を通じて売上をなんとかかき集め、ここまでたどり着いています。
KPI ユーザー数 / 購買率 [ECサービス/紙]
ユーザー数と購買率です。ユーザー数はコロナ禍を含め、ネット上で多くのお客さまに来店していただいています。
購買率は、2パーセントを超えていた高い時期と比べて1パーセント台と、簡単に買っていただける状況にはなっていません。「この作品であれば必ず買う」という、指名買いのお客さまが非常に少ない状況です。
一方で、これまでは「売上をとにかく伸ばしていく」ということで、販促を進めていましたが、現在は利益確保重視の販売戦略に転換しています。実際にどのくらいの売上が利益率として最も高いのか、トライアンドエラーで施策を進めています。
重要指標評価 [ECサービス/紙]
重要指標評価です。利用者数と購買率は、先ほどご説明したとおり、伸ばしきれていない状況です。前期比で、ほぼステイとなっています。
購買単価についても、利益確保重視の販売戦略に転換した効果は出ているのですが、売上が想定より下がっている部分もありますので、どのくらいの単価まで上げられるか、いろいろな施策を進めながら、見極めようとしているところです。
サービス別 売上高 [イベントサービス]
イベントサービスの売上高です。ECと店舗を合わせた四半期売上は、1.5億円のラインに到達しています。
店舗別 売上高 [イベントサービス]
店舗別の売上高です。全体としては右肩上がりで伸びてきており、店舗四半期売上は1億円に到達しています。
重要指標評価 [イベントサービス]
重要指標評価です。店舗の売上は「◎」としていますが、ECの売上は「△」で、もう少し伸ばせたのではないかと反省しています。
一方で、需要を超える量を受注したイベントもありました。その納品スケジュールが後ろ倒しになり、売上が第3四半期以降にスライドしています。
重要指標評価 [新規・海外]
新規・海外の重要指標評価です。商品開発・卸販売も広げていきたいと考えています。新作アニメの商品化を進められる下地はできたのですが、まだ売上につなげられていないため「△」としています。
海外に関しては、大きく売上には寄与していませんが、先ほど香港の事例についてご説明したように、すでに売上が上がり始めているため、「〇」としています。
販管費増減サマリー [上位7費目の増減]
販管費のサマリーです。先ほど、売上は微増だとお話ししました。販促費については、もともと非常に低い割合でしたが、そこからさらに3割程度絞りました。
一方で、大きな割合を占める人件費や荷造運賃といった部分は、物価高に関係しています。人件費も売上に対して削減しきれなかったところが数字に出ており、第3四半期以降で改善すべき大きなポイントだと感じています。
BS/CF 概況
BS/CFの概況です。我々はさまざまな数値の中で、自己資本比率に着目しています。こちらを安定的に、50パーセント超で維持しているため、今期はあまりうまくいっていない部分もありますが、資金面では、今後の拡大についても十分な運転資金を確保しています。
2025年3月期連結業績予想及び第2四半期進捗
2025年3月期の連結業績予想です。こちらも数字としては現状変えていません。
スライド右側に進捗率を記載していますが、ECサービス・イベントサービスは、第2四半期終わった段階で40パーセント台での進捗となっています。
新規事業・海外事業は13パーセント程度の進捗です。我々の最も売上の上がるタイミングで言えば、12月、1月が非常に大きな山場となります。そこでどれだけ挽回できるかを踏まえて、今後の決算を発表したいと考えています。
中期計画 [2025年3月期~2027年3月期]
中期計画についてです。こちらも以前発表した内容と変わっていません。
テイツー社との連携により、国内における商材や商流の拡大は、すでに進んでいると感じています。それをさらに伸ばすという意味では、アジア全域で進めていくことが大切です。
アニメはどの地域でも人気があり、また成長の著しいコンテンツです。その部分を見据え、海外事業として、持続的な成長と企業価値の向上を目指したいと考えています。
私からのご説明は以上です。
質疑応答:海外事業の売上について
「海外事業について、まだ売上に直結できていないように見えます。どのくらいの時期から売上がついてくると想定していますか?」というご質問です。
海外における売上の提案や、足元の数字について、第3四半期と第4四半期は非常に期待できると感じています。また、第2四半期の段階では想定よりビハインドしているとお話ししましたが、来期については非常に大きな柱になるだろうと感じています。
質疑応答:利益確保重視の販売戦略について
「コミックの販売について、利益確保重視の販売戦略というお話がありました。具体的にはどのようなものを実施しているのですか?」というご質問です。
これまで、売上の拡大ということだけで進んできました。しかし数字を精査する中で、売上の拡大は、利益の拡大に効果的ではない部分があるとわかってきました。そのため、冊数の少ないコミックのセット販売を少なくする、また、送料無料のラインの調整などを進めています。
我々は「楽天」などのショッピングモールでも販売しているため、ポイント施策も見直します。それにより、売上が下がる部分もありますので、利益拡大のポイントを探しています。
このように、コミックの販売については、売上を狙っていくというよりは、どれだけ利益を残せるかに軸足を移して進めています。
以上で、2025年3月期第2四半期の決算説明を終了します。ご視聴いただき誠にありがとうございました。
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