Heartseed、革新的な心臓病治療の実現を目指すバイオベンチャー 心筋補填療法の領域においてグローバル他社をリード

投稿:2024/10/28 15:00

革新的な心臓病治療の実現を目指しています

福田惠一氏:Heartseed株式会社代表取締役社長の福田惠一です。本日は、当社の企業説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。当社は、これまで心臓移植でしか回復できなかった心不全に対して、世界初となる「心筋補填療法」によって根治治療を目指すバイオベンチャーです。

慶應大学循環器内科の医師であった私は、尊い命を救いきれなかった悔しい思いを胸に、2015年に慶應大学発のバイオベンチャーとして当社を設立しました。治すことが難しい心不全の患者に革新的な治療を届け、広く社会実装させることを目指しています。

本日、みなさまにご理解いただきたい点は、スライドに掲載している4点です。

1つ目は、当社は国内外から注目を集める、世界の死因第1位である心臓病の治療法を開発するイノベーターであるということです。

2つ目は、現在進行中の最終治験「LAPiS試験」において、低用量ながらも重症な心不全患者に対して、有効性・安全性が確認できていることです。

3つ目は、製薬業界において世界第2位の時価総額を誇るノボ ノルディスク社と、日本のバイオベンチャーで史上最大規模となる提携を実現し、国内上市からグローバル展開に至るまでの準備が粛々と進んでいることです。

4つ目は、当社はiPS細胞から心臓の筋肉をつくり移植する「心筋補填療法」において、世界で唯一最終治験に入っている企業であり、競合をリードしていることです。

グローバルで高い評価

当社は、幸いにもグローバルで高い評価を頂戴しています。スライドの左側に掲載しているとおり、ヨーロッパの『StartUs Insights』誌により、心血管治療薬のバイオベンチャー295社の中で世界トップ5に選出されました。

スライド右側は、臨床治験を開始した時に『Nature』誌に掲載された特別記事です。ベンチャーの治験開始が取り上げられることは異例で、当社が世界初となる治験を実施していることから、グローバルで広く注目されていると理解しています。

国内外のメディアより御注目頂いております

ご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、国内や海外のメディアでも特集が組まれています。心不全が大きな社会的課題であることの裏返しとして、当社の技術に対して大きな期待を寄せていただいていると理解しています。スライドに記載しているWebサイトから閲覧できますので、ぜひご覧ください。

心不全を治すには、不足した心筋の細胞を補うことが必要

皆さま、「心不全」という言葉を聞いたことがあると思います。その症状は厳しく、息切れや咳、全身のうっ血などがあり、重度となると歩くことすらできなくなります。これまで症状を和らげる手立てはありましたが、回復させたり治したりするためには、心臓移植や補助人工心臓という機械の心臓を体に入れるしかありませんでした。

心不全は、心筋梗塞などによって心筋にダメージが生じ、蓄積されることによって起こります。患者は入退院を繰り返し、やがて死に至ります。皮膚などと違って心筋細胞に再生能力がないため、ダメージを受けるたびに心筋細胞の数が減少し、動きが悪くなり、心不全が発症するという仕組みです。

心臓は拡大することによって、送り出す血液の量をなんとか保とうとしますが、副作用で肺や全身にむくみが生じてしまいます。心不全を治療するためには、根本的な原因である減少した心筋細胞の量を補うことにより、動きを改善させ、拡大した心臓を小さくさせることが必要となります。

iPS細胞から作った心筋細胞を移植することで、不足した心筋を補填する画期的な治療法

当社は、健康なドナーから作製したiPS細胞を用いて、すでにドクドクと動いている心臓の筋肉、すなわち再生心筋細胞を作製し余計な細胞を取り除き、約1,000個の心筋細胞をボール状にかためた心筋球にして、出血しにくい特殊な針を用いて直接心臓に移植する技術を開発しています。

心筋球にすることで細胞の強度が増し、バラバラの心筋細胞を移植した時の実に20倍以上の効率で、患者の心筋に取り込ませることができると想定しています。さらに、再生心筋細胞は時間の経過とともに推定約30倍の大きさに肥大することで、不足していた心筋細胞の量を補填することができるようになります。

先行品「HS-001」からグローバル戦略品「HS-005」へと移行

製品についてご説明します。先行して開発を進めている「HS-001」は、冠動脈バイパス手術下で投与される治療法で、早期に国内上市を目指しています。外科的に直視下で細胞を移植することができるため、まずはより確実な投与方法で有効性の実証を狙っています。

「HS-005」は、細胞は同じながらも、患者の身体に負担の少ないカテーテルを用い、「HS-001」で実証した効果をもとに、ノボ ノルディクス社と共同で戦略的にグローバル展開を図っていきます。

最速でグローバル展開を図る戦略的な製品パイプライン

製品パイプラインについてご説明します。「HS-001」は、国内の最終治験であるLAPiS試験を進めています。試験の完了後、本試験データをもって承認申請を行う予定です。

「HS-005」は、日本において2025年の治験届の提出を目指しています。海外はノボ ノルディスク社が担当しており、欧米当局への非臨床試験や治験に関する相談がすでに始まっています。

「HS-040」は、患者自身のiPS細胞から心筋球を作製するもので、より付加価値の高いテーラーメイドの医療となります。すでに国からの補助金を受けており、前臨床試験や治験へと加速させていきたいと考えています。

世界第2位の製薬企業ノボ ノルディスク社と日本バイオベンチャー史上最大規模の提携を実現

当社は、世界第2位の製薬企業であるノボ ノルディスク社と、日本のバイオベンチャー史上最大規模の提携を実現しています。対象は、製品パイプラインで示した「HS-001」と「HS-005」です。対価としての一時金および各種マイルストンは、さまざまな条件が整い、すべてを受領できる場合、最大で5億9,800万ドル、日本円で900億円弱となります。

日本においては、両社で50対50のプロフィットシェアとなります。海外では、ノボ ノルディスク社の費用負担にて治験・製造・販売を進め、海外売上高に応じたロイヤリティ収入を当社が受ける仕組みです。

これにより、海外での膨大な治験費用は一切かからず、グローバル市場での販売収益を得ることができます。ノボ ノルディスク社の当社技術に対する期待も大きく、高いコミットメントを得る中、両社間の連携は順調に進んでいます。

カテーテル投与品「HS-005」:ノボ ノルディスク社との海外展開でグローバルトップシェアを狙う

ノボ ノルディスク社は、世界168ヶ国へ販路を有しているほか、各国における薬事承認取得、販売戦略などのノウハウを確立しています。この提携を最大限活用することで、グローバル市場でトップシェア獲得を狙っていきます。

治験後半戦の「高用量」を開始済み。既定の安全性評価委員会のレビューは全て完了

 

現在進行中の最終国内治験、LAPiS試験についてご説明します。心臓の筋肉への血流が滞ることにより心不全となった患者を対象に、再生心筋を冠動脈バイパス手術と併用して投与するものです。

より大きな効果を期待し、細胞量を3倍にした高用量の投与がすでに開始されています。世界初の治験であるため、治験中に安全性評価委員会によるレビューを3回入れるという非常に厳しいデザインとしていました。

無事にすべての審査が完了しており、残りの高用量の患者組み入れも順調に進んでいるところです。

LAPiS試験:一般的な評価にくわえ、移植した心筋が構造的な変化をもたらしているか確認

LAPiS試験では、心不全の一般的な評価項目に加え、移植した再生心筋が患者の心臓の筋肉の中にしっかり取り込まれているか、また拡大した心臓が縮小するかなど、再生心筋による構造的な変化も確認していきます。

移植した再生心筋が、患者の心筋に取込まれ、機能していることをPETで確認

実際のデータをご覧ください。スライドは、移植した再生心筋が患者の心臓にしっかり取り込まれているかを、PET画像で確認したものです。左側が治療前、右側が治療後6ヶ月です。

矢印で心筋球を移植した場所を指しています。術前には心筋の生存が見られず、赤や緑のシグナルがないところに、移植後6ヶ月において、心筋の生存を示す赤や緑の発色がはっきり確認できます。

臨床試験において、移植した再生心筋が患者の心臓の一部となり、機能していることを明確に示したデータは、これまで世界でもありません。したがって、これは世界初となる画像エビデンスであると言ってよいと考えています。

心筋壁の動きが改善し、心臓全体が縮小していることをMRIで確認

スライドは、MRIの解析動画です。画像だけではわからないかと思いますが、心臓移植を検討しなければならないほど、心臓の動きが悪化した重症な患者でした。左側が術前、右側が術後6ヶ月の画像です。心臓の動きが強いと赤や緑に、動きが弱いと青や黒に映ります。

心臓の4つの部屋のうち、左心室を観察すると、術前では全体的に青色が目立ちます。一方、術後には赤や緑の部分が増え、かなり回復しているということがおわかりいただけると思います。

左心室の動きが良くなるとともに、その大きさが小さくなっています。これに伴い、左心室から左心房に向かう血液の逆流も少なくなっており、結果として左心房、右心室、右心房の大きさがはっきりと小さくなっています。

このように心筋の動きが改善するとともに、拡大していた心臓が小さくなっていることがおわかりいただけるかと思います。

再生心筋を移植した部位において、70%以上の確率で動きの改善を確認

スライドの表は、超音波検査の結果を示しています。左心室の壁を16に分画し、それぞれの部位の動きを定量化し、心筋細胞を移植した部位と移植していない部位とに分け、動きが改善した部位の数と悪化した部位の数を示しています。

1例目の移植した部位では9分の7、2例目では7分の5、3例目では8分の7の部位で、心筋の動きが改善し、全体の約70パーセントの領域で、心臓の筋肉の収縮力が改善していることがわかります。

一方、移植していない部位では、3例中2例の症例で、術前よりも動きが悪化していることがわかります。これは心不全が、放っておくと症状が悪化していく病気であることと関連していると推測しています。

特に2例目では、移植していない9つの部位のうち、8つの部位で動きが悪化したため、移植していない部位の動きの低下によって、心臓全体の機能低下が確認されました。

低用量ながら、良好な術後1年の結果を学会発表

2024年3月に、LAPiS試験の低用量における治験結果について、治験施設より学会発表がありました。スライドの表の濃い緑色が著しい改善、中明度の緑色が軽度な改善、薄い緑色が状態維持、ピンク色が悪化を示しています。

スライドでは、心不全の重症度を示す5つの指標を掲載しています。再生心筋を移植していない部位が悪化した2例目を除き、いずれの指標も著しい改善、あるいは軽度な改善を示しています。

低用量でありながらも複数の症例で著しい改善が見られましたので、すでに始まっている治験後半の高用量に向けて、さらなる期待が持てる結果となりました。

競争環境:心筋補填療法において、唯一最終治験に入り、グローバル他社をリード

競争環境についてご説明します。アカデミアの世界では、心筋内に再生心筋細胞を移植する「心筋補填療法」が主流となるといわれています。

スライドの表のように、この領域には、米国のベンチャーが2社あります。両社とも前臨床試験における心筋細胞投与後、2週間から1ヶ月程度の間に副作用として不整脈が起こったため、依然として前臨床ステージのままで、臨床利用へは進めていません。A社に至っては、問題が解決できないため、開発プログラムはすでに中止したと発表しています。

中国のE社に関しては、現在第1相の臨床治験中ですが、その後の進展はありません。

当社は、最終治験であるLAPiS試験において、9月末時点で残り4例となり、現在、投与完了に向けて順調に進捗しているところです。iPS細胞から作製した再生心筋を移植する「心筋補填療法」において、世界の競合を大きくリードしています。

主な目標マイルストン(2024年9月末現在)

主な目標マイルストンをご説明します。「HS-001」については、今年中に患者組入れを終わらせ、2027年内に販売開始を目指しています。

次期パイプラインの「HS-005」に関しては、カテーテルをノボ ノルディスク社と共同で開発しており、順調に進んでいます。国内、海外における臨床治験に向けた当局との相談が進んでおり、国内においては2025年内に治験届を出せるよう準備を進めています。

今後、スライドに星印で示した重要なイベントにご注目いただければ幸いです。

Mission

当社のミッションは、治すことが難しいとされる心不全の患者さん、また高齢化が進む社会において起こるとされる心不全パンデミックに対して、最新の「心筋補填療法」をお届けし、再生医療で心臓病治療の扉を開くことです。

ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

配信元: ログミーファイナンス

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