【中銀チェック】ECBは利下げ再開へ、なお枠組み変更に注意

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/09/08 15:10
 12日のECB理事会では利下げ再開が見込まれています。

 日本同様にコロナ前からマイナス金利が採用されていたECBは、2022年7月に利上げを開始し、2023年9月に預金ファシリティ金利を4.00%、リファイナンスオペ金利を4.50%、限界ファシリティ金利を4.75%まで引き上げました。その後の据え置き期間を経て、今年6月6日の理事会で、それぞれ3.75%、4.25%、4.50%への利下げを実施しています。利下げは4年9か月ぶりとなりました。
 
 7月の理事会ではいったん据え置きとなりました。声明では今後についてデータ次第との姿勢を示し、会合ごとに判断、特定の政策金利経路を事前に約束しないなどとしています。

 もっとも今月2日にカザークス・ラトビア中銀総裁が追加利下げの可能性を示唆。4日にはチポローネECB専務理事が、インフレの鈍化などを受けて「制約的な政策を引き続き緩和できることに期待」「スタンスが制約的になりすぎるという現実的なリスクがある」などと発言しており、追加利下げ期待が広がっています。

 預金ファシリティ金利を0.25%引き下げて3.50%にするという見方で市場はほぼ一致。短期金利市場は0.25%利下げをほぼ100%織り込んでいます。

 なお、3月に発表された政策金利の運営見直しにより、預金ファシリティ金利とリファイナンスオペ金利の金利差が0.15%に縮小される関係で、リファイナンスオペ金利は現行の4.25%から3.65%に、限界ファシリティ金利は4.50%から3.90%に引き下げられる見込みです。

 0.25%の利下げ自体は織り込み済み注目は10月と12月の理事会に向けた姿勢です。
現状では10月17日の理事会の見通しは据え置きと利下げが拮抗。10月を見送った場合でも12月には利下げ、10月に実施した場合は12月を見送り、今回を除きあと一回という見通しが広がっています。声明などでこの状況に変化が見られるとユーロ相場への影響が出そうです。
 

MINKABUPRESS 山岡

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