*11:09JST システムサポート Research Memo(9):今後3年間で年率12.9%増収、18.8%増益と高成長目指す(1)
■システムサポート<4396>の今後の見通し
2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
同社は2024年8月に市場環境や社内環境の変化を考慮した3ヶ年の中期経営計画・ローリングプラン(2025年6月期〜2027年6月期)を発表した。従来の中期テーマである「成長と更なるイノベーションの創出」、並びに重点施策である「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「サステナビリティ経営の強化」に継続して取り組むことで、2027年6月期に売上高31,709百万円、営業利益2,798百万円、営業利益率8.8%を目指す。3年間の年平均成長率は売上高で12.9%、営業利益で18.8%となる。国内のクラウド基盤サービス市場はAIソリューションなど活用領域が広がることもあって、中期的に年率10%台後半の成長が見込まれており、人材の採用育成が順調に進めば業績目標の達成は実現性が高いと弊社では見ている。
なお、1年前の中期業績目標値と比較すると、2026年6月期の売上高は26,805百万円から28,737百万円と約7%上方修正したのに対して、営業利益は2,407百万円から2,432百万円と若干の増加に留まっている。売上高に関してはM&Aによる上乗せとクラウドインテグレーション事業の高成長持続が主因だ。同社は2025年1月以降、持株会社体制に移行することによってM&Aも積極的に進める意向である。対象としては、既存事業でシナジーが見込める、または同社にない新規分野を展開している企業となり、10億円程度までの売上規模を持つ企業を想定している。
売上高の増額分に対して、営業利益目標が前回とほぼ変わりないのは成長のための投資関連費用を積み増すためだ。具体的には、人材投資(採用関連費用や研修費)や研究開発費、M&A関連費用などに積極投下し、今後3年間の投資累計額として20~24億円(年換算6.7~8億円)を計画している。直近3年間(2022年6月期~2024年6月期)は12.8億円を投下し、うち2024年6月期は5.35億円だった。
a) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業については、対応領域の拡大と既存事業の伸張に注力することで受注拡大を図るとともに、リセールによるストック型収益を積み上げることで収益の安定基盤を強化する戦略だ。3年間の年平均成長率は20%台前半を見込んでいると見られ、2024年6月期比で2倍弱の売上成長を目指しているようだ。
対応領域の拡大では、AI関連や海外の新サービスをいち早く日本市場に導入すべく投資を強化する。AI関連については、2023年5月よりMicrosoft Azure上でChatGPT等のAIサービスを利用できる「Azure OpenAI Service」の導入支援サービスを開始したのを皮切りに、同年10月にはAWSが提供する「Amazon Bedrock」※1の導入支援サービス並びに同社が開発した企業内AIアシスタントチャットシステム「Smart Generative Chat」のAmazon Bedrock対応版「Smart Generative Chat for Amazon Bedrock」、2024年1月にはGoogle CloudのAI技術を活用した「生成AI導入支援サービス for Google Cloud」※2並びに「小売業向けDiscovery AI導入支援サービス for Google Cloud」※3の提供を相次いで開始した。直近では2024年5月にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の世界的リーダーであるAutomation Anywhere社が提供するRPAプラットフォーム「Automation360」を手軽に利用して業務プロセス自動化を実現できるBPOサービス「Automation 360 Managed Service」の提供を開始した。業務効率の向上やサービスの付加価値向上を目的にAI技術の導入を進める企業は2024年以降、本格的に拡大すると予想され、クラウド基盤の構築から利用支援サービスまで一括して提供できる強みを生かして事業拡大を図る。
※1 AWSが2023年9月に一般提供を開始した生成系AIサービスで、Amazonや主要なAIスタートアップ企業が提供する基盤モデル(機械学習モデル)を、APIを通じて利用できる完全マネージド型サービス。
※2 企業ビジネスへの生成AIソリューション導入の企画・構想からPoC効果測定・運用検討までを支援するサービス。
※3 ECサイトなどを展開する小売業向けに、Google Cloudが提供する最先端のAIテクノロジー「Discovery AI」を導入し、ECサイトにおけるCVR等のパフォーマンス向上を実現するサービス。
また、既存事業の伸長に関しては、技術者の採用・育成を進めるとともに、顧客の利便性向上のほか同社グループの生産性向上を実現するための独自サービスの開発を強化し、競合するクラウドインテグレータとの差別化を図る。その他のクラウドサービスとしては、企業のサイバーセキュリティ対策の重要性がますなかで、CyberArkの情報セキュリティソリューションの成長が期待される。成長の源泉となる技術者の採用・育成施策としては、1) 本社一括採用ではなく各拠点に採用担当を配置し、機動的な採用を行うとともに応募者とのミスマッチを防止すること、2) システムインテグレーション事業のエンジニアのリスキリングを図り、クラウド分野におけるベンダー資格取得を積極的に推進すること、3) 給与水準の向上や働きやすい環境を整備(育休取得率や女性従業員比率の向上)し退職率を抑制すること、などで人的リソースを拡充する方針だ。
なお、ストック型売上となるリセールの売上構成比率は、2024年6月期の約35%から2027年6月期には40%強の水準まで引き上げる。
b) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業では、主力のERP関連やデータベース関連、RPA関連などを中心に着実に技術者の採用・育成を進めながら、顧客企業と密接な関係を構築し既存顧客のプロジェクト拡大や継続受注を図り、年率1ケタ台の売上成長を目指しているようだ。また、クラウドインテグレーション事業をはじめとした他事業の顧客に対しても、アプリケーション開発等の多様なサービスを提案し、受注獲得につなげる。利益面では、品質・期間・コスト・リスクコントロールの観点でプロジェクトマネジメントを強化することで、不採算案件の発生リスク低減とサービス品質の向上を図り収益性の維持向上に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画
(1) 中期経営計画の概要
同社は2024年8月に市場環境や社内環境の変化を考慮した3ヶ年の中期経営計画・ローリングプラン(2025年6月期〜2027年6月期)を発表した。従来の中期テーマである「成長と更なるイノベーションの創出」、並びに重点施策である「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」「多様な人材の成長と活躍」「サステナビリティ経営の強化」に継続して取り組むことで、2027年6月期に売上高31,709百万円、営業利益2,798百万円、営業利益率8.8%を目指す。3年間の年平均成長率は売上高で12.9%、営業利益で18.8%となる。国内のクラウド基盤サービス市場はAIソリューションなど活用領域が広がることもあって、中期的に年率10%台後半の成長が見込まれており、人材の採用育成が順調に進めば業績目標の達成は実現性が高いと弊社では見ている。
なお、1年前の中期業績目標値と比較すると、2026年6月期の売上高は26,805百万円から28,737百万円と約7%上方修正したのに対して、営業利益は2,407百万円から2,432百万円と若干の増加に留まっている。売上高に関してはM&Aによる上乗せとクラウドインテグレーション事業の高成長持続が主因だ。同社は2025年1月以降、持株会社体制に移行することによってM&Aも積極的に進める意向である。対象としては、既存事業でシナジーが見込める、または同社にない新規分野を展開している企業となり、10億円程度までの売上規模を持つ企業を想定している。
売上高の増額分に対して、営業利益目標が前回とほぼ変わりないのは成長のための投資関連費用を積み増すためだ。具体的には、人材投資(採用関連費用や研修費)や研究開発費、M&A関連費用などに積極投下し、今後3年間の投資累計額として20~24億円(年換算6.7~8億円)を計画している。直近3年間(2022年6月期~2024年6月期)は12.8億円を投下し、うち2024年6月期は5.35億円だった。
a) クラウドインテグレーション事業
クラウドインテグレーション事業については、対応領域の拡大と既存事業の伸張に注力することで受注拡大を図るとともに、リセールによるストック型収益を積み上げることで収益の安定基盤を強化する戦略だ。3年間の年平均成長率は20%台前半を見込んでいると見られ、2024年6月期比で2倍弱の売上成長を目指しているようだ。
対応領域の拡大では、AI関連や海外の新サービスをいち早く日本市場に導入すべく投資を強化する。AI関連については、2023年5月よりMicrosoft Azure上でChatGPT等のAIサービスを利用できる「Azure OpenAI Service」の導入支援サービスを開始したのを皮切りに、同年10月にはAWSが提供する「Amazon Bedrock」※1の導入支援サービス並びに同社が開発した企業内AIアシスタントチャットシステム「Smart Generative Chat」のAmazon Bedrock対応版「Smart Generative Chat for Amazon Bedrock」、2024年1月にはGoogle CloudのAI技術を活用した「生成AI導入支援サービス for Google Cloud」※2並びに「小売業向けDiscovery AI導入支援サービス for Google Cloud」※3の提供を相次いで開始した。直近では2024年5月にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の世界的リーダーであるAutomation Anywhere社が提供するRPAプラットフォーム「Automation360」を手軽に利用して業務プロセス自動化を実現できるBPOサービス「Automation 360 Managed Service」の提供を開始した。業務効率の向上やサービスの付加価値向上を目的にAI技術の導入を進める企業は2024年以降、本格的に拡大すると予想され、クラウド基盤の構築から利用支援サービスまで一括して提供できる強みを生かして事業拡大を図る。
※1 AWSが2023年9月に一般提供を開始した生成系AIサービスで、Amazonや主要なAIスタートアップ企業が提供する基盤モデル(機械学習モデル)を、APIを通じて利用できる完全マネージド型サービス。
※2 企業ビジネスへの生成AIソリューション導入の企画・構想からPoC効果測定・運用検討までを支援するサービス。
※3 ECサイトなどを展開する小売業向けに、Google Cloudが提供する最先端のAIテクノロジー「Discovery AI」を導入し、ECサイトにおけるCVR等のパフォーマンス向上を実現するサービス。
また、既存事業の伸長に関しては、技術者の採用・育成を進めるとともに、顧客の利便性向上のほか同社グループの生産性向上を実現するための独自サービスの開発を強化し、競合するクラウドインテグレータとの差別化を図る。その他のクラウドサービスとしては、企業のサイバーセキュリティ対策の重要性がますなかで、CyberArkの情報セキュリティソリューションの成長が期待される。成長の源泉となる技術者の採用・育成施策としては、1) 本社一括採用ではなく各拠点に採用担当を配置し、機動的な採用を行うとともに応募者とのミスマッチを防止すること、2) システムインテグレーション事業のエンジニアのリスキリングを図り、クラウド分野におけるベンダー資格取得を積極的に推進すること、3) 給与水準の向上や働きやすい環境を整備(育休取得率や女性従業員比率の向上)し退職率を抑制すること、などで人的リソースを拡充する方針だ。
なお、ストック型売上となるリセールの売上構成比率は、2024年6月期の約35%から2027年6月期には40%強の水準まで引き上げる。
b) システムインテグレーション事業
システムインテグレーション事業では、主力のERP関連やデータベース関連、RPA関連などを中心に着実に技術者の採用・育成を進めながら、顧客企業と密接な関係を構築し既存顧客のプロジェクト拡大や継続受注を図り、年率1ケタ台の売上成長を目指しているようだ。また、クラウドインテグレーション事業をはじめとした他事業の顧客に対しても、アプリケーション開発等の多様なサービスを提案し、受注獲得につなげる。利益面では、品質・期間・コスト・リスクコントロールの観点でプロジェクトマネジメントを強化することで、不採算案件の発生リスク低減とサービス品質の向上を図り収益性の維持向上に取り組む。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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