まだ“底打ち”を確認できたわけではないが…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2024/09/05 12:09

◆ 改めて「米雇用環境悪化」が囃され… - “144円割れ”さらには…


2日連続の雇用改善とはならなかった…。

注目の「JOLTS求人件数」は“予想(810万件)”を下回り、“2021年1月以来最低(767.3万件)”を記録しました。
また前月分も“下方修正(818.4万件→791.0万件)”されるなど、総じて芳しくない結果に終わりました。
これをマーケットは「米労働環境悪化」と捉え、短期金融市場は「9月0.50%利下げ」を一時“50%超”で織り込む場面が見られました。

この影響にてドルは幅広い通貨に対して売られ、昨日記した“8/26~9/3の61.8%押し(144.90円水準)-100週移動平均線(144.60円水準)”を割り込んだドル円は、一気に“144円割れ”へと値を落とし、そして本日に入って“143.187円”へとさらに値を落とすに至っています。
もっとも『利上げ後も緩和的な金融環境はなお継続』『十分な時間をかけ、利上げの影響を検証しながら対応』との高田日銀審議委員発言もあり、その後は“下げ渋り”に転じているのが実状となります。

◆ ただし本日発表の雇用関連指標は“8月分”…


それでも前記ラインの“さらに下の下値メド(8/26安値:143.444円)”を下回っただけに、予断を許さないのが実状といえます。
それでいて本日も「米ADP雇用統計&新規失業保険申請件数」が予定されていますので、「ここも悪ければ…?」という思惑が立たないとも限りません。
ただし前記JOLTSは“7月分”であるだけに、先月の米雇用統計にて「(7月までの)米労働環境悪化」はすでに明らかになっている事実です。
それでいて本日の雇用関連指標は“8月分”となるだけに、一概にいうことはできない…?

仮に悪ければ「労働環境悪化」が改めて囃される可能性はあるものの、そうでなければ「7月まで悪化も、その後に持ち直し」と捉えられる可能性があるだけに、安易に“さらなる下値模索”と想定しない方がいいように思います。
もちろん“底打ち”が確認されていない以上、楽観はできませんが、“すでにいい処まで押した”という点も何ら変わっていませんので…。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

146.959(週足・一目均衡表先行スパン上限、大台)
146.798(ピボットハイブレイクアウト)
146.556(20月移動平均線)
146.290(日足・一目均衡表基準線)
146.179(ピボット2ndレジスタンス)
146.000(大台)
145.843(20日移動平均線)
145.665(9/3高値後の61.8%戻し)
145.561(9/4高値)
145.192(9/3高値後の50%戻し、日足・一目均衡表転換線)
145.000(大台、ピボット1stレジスタンス)
上値1:144.718(9/3高値後の38.2%戻し)
上値1:144.611(100週移動平均線、月足・一目均衡表基準線)
上値1:144.407(-1σ)
上値1:144.000(大台)
前営業日終値:143.712
下値1:143.684(8/28安値)
下値2:143.444(8/26安値、8/5~8/15の76.4%押し水準)
下値3:143.094(ピボット1stサポート)
下値4:143.000(大台)
下値5:142.880(-2σ)
142.475(ピボット2ndサポート)
142.000(大台)
141.688(8/5安値)
141.242(ピボットローブレイクアウト)
141.000(大台)
140.790(1/2安値、週足・一目均衡表先行スパン下限)

《11:15》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想