カンロ Research Memo(8):2024年5月より全生産工場での再エネ化を達成

配信元:フィスコ
投稿:2024/08/29 13:18
*13:18JST カンロ Research Memo(8):2024年5月より全生産工場での再エネ化を達成 ■ESG経営を支えるサステナビリティへの取り組み

カンロ<2216>では、ESG経営の推進を通じて経営基盤の強化を図るため、各部門より選出された委員から構成される組織横断の「サステナビリティ委員会」を2022年4月1日に新設、サステナビリティに関する重要課題の解決に向けた活動を実施。2024年1月1日からは委員会の委員長を同社社長が務め、4つの分科会のリーダーを執行役員が務める体制となり、さらにサステナビリティ推進部も新設した。サステナビリティに関する基本方針、推進体制、各KPI進捗状況並びに今後の対応策などを協議している。

1. グリーンエネルギー活用の推進
2023年12月期においてKPIに設定しているCO2排出量の2030年までに2019年比30%削減の達成に向け、グリーンエネルギー活用を推進する。2022年9月から松本工場及び朝日工場で使用する電力を100%CO2フリー電気※に切り替え、2024年10月から松本工場に新設するグミ棟においては太陽光発電を拡充する予定である。

※「電気事業者ごとの基礎排出係数及び調整後排出係数の算出及び公表について」(20210520産局第1号・20210528資庁第2号・環地温発第2106013号、改正された場合は改正に従う。)に従いメニュー別排出係数を算定した場合、当該排出係数がゼロとなるものであり、中部電力ミライズ(株)が調達した化石電源を主とする電気に、非化石証書の環境価値を付加することで、実質的にCO2ゼロエミッションを実現している。


同社は、2024年5月より山口県光市のひかり工場の電力を再生エネルギーに切り替え、全生産工場での再エネ化を達成した。今回、ひかり工場も再エネ化し、年間18,445MWhの電力を再生可能エネルギーにすることで、年間約8,678トンのCO2排出量削減が見込まれる。

2. 気候変動への取り組み
同社は「気候変動」をマテリアリティの1つとして特定している。方針に基づき、金融安定理事会(FSB)により設立された「TCFD※(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同し(2022年10月)、気候変動に関するリスクと機会についてTCFD提言に沿った分析、評価を行うとともに、情報開示の充実に取り組んでいる。気候変動リスクへ対応するため、Scope1、Scope2の温室効果ガス総排出量を2030年までに2019年度比50%削減、Scope3の温室効果ガス総排出量を2030年までに2019年度比30%削減、そして2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。

※2015年にG20の要請で設立され、気候変動によるリスク及び機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの項目について開示することを推奨している。


3. 人的資本拡充
同社は、多様な人材が健康で生き生きと働ける環境の整備に注力し、人的資本の拡充を目指している。2021年に作成した健康経営戦略マップ及びロードマップに基づき、社員の健康づくりを支援するため、健康維持のための支援制度や健康増進につながる「ハード」と「ソフト」の整備などの従来の取り組みに加え、社員の健康状態の把握、社員同士のコミュニケーション促進、従業員の喫煙率低下、女性特有の健康関連課題に関する知識を得るためのセミナーの実施や、生活習慣病などの疾病の高リスク者に対する重症化予防など、多岐にわたり取り組んでいる。同社は、それらの社員の健康保持・増進に関する取り組みが評価され、経済産業省の「健康経営優良法人2024」に認定された。これまで、同社は、2022年から3年連続で「健康経営優良法人」に認定されている。また、同社は2024年5月に厚生労働大臣より「プラチナくるみん」の認定を受けた。子育てと仕事の両立を支援する制度や環境の整備、男性育児休業取得推進などの取り組みが評価された。

4. 廃棄プラスチックのアップサイクル
同社は、海洋プラスチックや施設・企業から出るプラスチックゴミをリサイクルする(株)REMAREと協業し、廃棄プラスチックのアップサイクルに取り組む。REMAREは独自技術で海洋プラスチックゴミをリサイクルし、内装材などに再資源化するスタートアップ企業だ。同社の製造工程で発生する廃棄包材は年間約94トンに及ぶが、REMAREの技術を活用することでアップサイクルが可能になる。これまでアップサイクルが困難だった複合フィルムや印刷されたフィルムも再利用できるようになる。同社は、REMAREとの協業を通じて資源循環型社会の実現に貢献していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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