明日の株式相場に向けて=グロース市場9連騰、異色の上昇株選抜
週明け19日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比674円安の3万7388円と大幅反落。後場に入り急速に値を崩したが、前日まで5連騰で3200円以上も水準を切り上げていたことを考えれば、この程度の押し目は仕方ないというところだ。それにしても後場寄りから別世界に足を踏み込んだかのような崩れ方に、意表を衝かれた投資家も多かったのではないか。市場関係者からは、昼休み時間中の後場取引開始直前まで強気論が聞かれていたぐらいで、全くもって人間には優しくない相場である。繰り返しになるが、今の株式市場は躊躇なき高速売買のAIアルゴに支配されており、同じ時間軸で売り買いする“生身の”短期トレーダーほどその被害をこうむっている。
今週は週後半のジャクソンホール会議にマーケットの耳目が集まるが、既に9月の0.25%利下げをほぼ100%織り込んだ状態にあり、23日に予定されるパウエルFRB議長の講演に耳を傾けるにせよ、おそらくデータ次第というお決まりの口上で、今市場で言われているほどの相場を突き動かすようなトリガーとはならないのではないか。
米大統領選も現状はトランプ前大統領の返り咲きか、それともハリス副大統領が初の女性大統領の座を射止めるのか、皆目分からなくなってきているが、フィフティ・フィフティーでどちらになるか二つに一つであることには変わりがない。それに比べて10人を超える候補者が立つ、国内の自民党総裁選の方がよほど先行き不透明である。派閥解消の影響とはいえ、ここまで如実に競争倍率を高めることになったのは驚きであった。小林鷹之前経済安全保障担当相を担ぎ上げる動きがにわかに高まっているが、国民目線では正直無名に近く、選挙に勝つための看板としてどうなのかという思惑がある。市場では「(新首相が小林氏であれば)岸田政権で苦汁をなめた勢力にとって復権の足掛かりが作れる」(生保系エコノミスト)という指摘もあるが、永田町のパワーバランスを考えた場合、本当にこの形での若返りが望まれているとは考え難い面もある。上川陽子外相の方が永田町的にはニーズが強いような気もする。
さて、個別株に目を向けると、全体相場は後場に入ってから円高にリンクさせた仕掛け的な売りで日経平均は波乱含みの下げに転じたものの、グロース市場が相対的に強さを発揮、グロース市場指数はプラス圏を維持し9連騰を記録している。バイオ関連株の戻りが作用した面が大きかったが、その背景には決算発表シーズンが通過したことで、赤字の多いバイオベンチャーの決算を嫌気した売りを浴びにくくなったということが挙げられる。
また、バイオ関連以外でも好業績が確認された銘柄に素直に見直し買いが流入している。グロース市場は一時ネット証券大手のデータで信用取引の評価損益率が40%を超える局面に陥るなど急激に冷え込み、追い証絡みの投げが噴出した。ロスカットを半ば強要された個人投資家にとっては気の毒な状況となったが、信用買い残の整理進捗に伴いシコリ玉が解消され、戻り足に弾みがついたというのが8月6日以降の相場だ。プライム市場の動きが鈍くなっても、グロース市場への資金シフトの動きに目を向けておきたい。
グロース市場に上場するファンダメンタルズ面で高評価できる銘柄としてはjig.jp<5244.T>。ライブ配信事業を手掛けるが、前期の営業8割増益に続き、25年3月期も11%増益と2ケタ成長を予想しており、押し目は狙える。また、障がい福祉サービス事業を手掛けるココルポート<9346.T>も営業2ケタ増益が続く。オープンワーク<5139.T>は就職・転職のクチコミ情報サイトを運営するが、24年12月期上期営業減益ながらも通期は17%増益の10億円乗せが有力視されている。更に、縫製自動機の開発・製造やエアバッグを手掛ける松屋アールアンドディ<7317.T>は業績飛躍局面にあり、売上高・営業利益ともに過去最高を更新する見通しだ。このほか、スマートフォン向けアフィリエイトを展開するレントラックス<6045.T>は25年3月期36%営業増益を見込んでおりマークしたい。
あすのスケジュールでは、20年物国債の入札、7月の首都圏マンション販売、7月の主要コンビニエンスストア売上高など。海外では8月の中国最優遇貸出金利が決定され、豪中銀理事会(8月開催分)の議事要旨も開示される。このほかトルコ中銀とスウェーデン中銀が政策金利を発表する。また、ASEAN高級実務者会議がラオスで開催される(~22日)。米国ではバーFRB副理事が討議に参加、その発言内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
今週は週後半のジャクソンホール会議にマーケットの耳目が集まるが、既に9月の0.25%利下げをほぼ100%織り込んだ状態にあり、23日に予定されるパウエルFRB議長の講演に耳を傾けるにせよ、おそらくデータ次第というお決まりの口上で、今市場で言われているほどの相場を突き動かすようなトリガーとはならないのではないか。
米大統領選も現状はトランプ前大統領の返り咲きか、それともハリス副大統領が初の女性大統領の座を射止めるのか、皆目分からなくなってきているが、フィフティ・フィフティーでどちらになるか二つに一つであることには変わりがない。それに比べて10人を超える候補者が立つ、国内の自民党総裁選の方がよほど先行き不透明である。派閥解消の影響とはいえ、ここまで如実に競争倍率を高めることになったのは驚きであった。小林鷹之前経済安全保障担当相を担ぎ上げる動きがにわかに高まっているが、国民目線では正直無名に近く、選挙に勝つための看板としてどうなのかという思惑がある。市場では「(新首相が小林氏であれば)岸田政権で苦汁をなめた勢力にとって復権の足掛かりが作れる」(生保系エコノミスト)という指摘もあるが、永田町のパワーバランスを考えた場合、本当にこの形での若返りが望まれているとは考え難い面もある。上川陽子外相の方が永田町的にはニーズが強いような気もする。
さて、個別株に目を向けると、全体相場は後場に入ってから円高にリンクさせた仕掛け的な売りで日経平均は波乱含みの下げに転じたものの、グロース市場が相対的に強さを発揮、グロース市場指数はプラス圏を維持し9連騰を記録している。バイオ関連株の戻りが作用した面が大きかったが、その背景には決算発表シーズンが通過したことで、赤字の多いバイオベンチャーの決算を嫌気した売りを浴びにくくなったということが挙げられる。
また、バイオ関連以外でも好業績が確認された銘柄に素直に見直し買いが流入している。グロース市場は一時ネット証券大手のデータで信用取引の評価損益率が40%を超える局面に陥るなど急激に冷え込み、追い証絡みの投げが噴出した。ロスカットを半ば強要された個人投資家にとっては気の毒な状況となったが、信用買い残の整理進捗に伴いシコリ玉が解消され、戻り足に弾みがついたというのが8月6日以降の相場だ。プライム市場の動きが鈍くなっても、グロース市場への資金シフトの動きに目を向けておきたい。
グロース市場に上場するファンダメンタルズ面で高評価できる銘柄としてはjig.jp<5244.T>。ライブ配信事業を手掛けるが、前期の営業8割増益に続き、25年3月期も11%増益と2ケタ成長を予想しており、押し目は狙える。また、障がい福祉サービス事業を手掛けるココルポート<9346.T>も営業2ケタ増益が続く。オープンワーク<5139.T>は就職・転職のクチコミ情報サイトを運営するが、24年12月期上期営業減益ながらも通期は17%増益の10億円乗せが有力視されている。更に、縫製自動機の開発・製造やエアバッグを手掛ける松屋アールアンドディ<7317.T>は業績飛躍局面にあり、売上高・営業利益ともに過去最高を更新する見通しだ。このほか、スマートフォン向けアフィリエイトを展開するレントラックス<6045.T>は25年3月期36%営業増益を見込んでおりマークしたい。
あすのスケジュールでは、20年物国債の入札、7月の首都圏マンション販売、7月の主要コンビニエンスストア売上高など。海外では8月の中国最優遇貸出金利が決定され、豪中銀理事会(8月開催分)の議事要旨も開示される。このほかトルコ中銀とスウェーデン中銀が政策金利を発表する。また、ASEAN高級実務者会議がラオスで開催される(~22日)。米国ではバーFRB副理事が討議に参加、その発言内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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