ドル円、米小売売上高を受けて149円台に上昇 利下げ期待も後退=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/08/16 05:50
ドル円、米小売売上高を受けて149円台に上昇 利下げ期待も後退=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は買いが強まり、149円台に上昇した。7月の米小売売上高が発表され、予想を上回る伸びを示しドル買いが強まった。今回の結果を受けて市場では、9月FOMCでの利下げ期待は温存されているものの、0.50%の大幅利下げについては可能性を大きく後退させている。短期金融市場での大幅利下げの確率は25%程度まで低下。

 米国は物価よりも実体経済、特に雇用の方に焦点が移っている。きょう発表の米小売売上高でソフトランディングへの期待が高まり、株高もあってドル円は下値をサポートされたようだ。日銀の追加利上げ期待が一旦後退している中で、150円台回復を試す展開になるか注目されるところではある。ただ、上値での売り圧力は強そうだ。

 ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.09ドル台半ばまで下落した。ECBよりもFRBの方が利下げペースが速いとの見方から、このところのユーロドルは買いが優勢となり、心理的節目の1.10ドル台を回復していた。一時1.1050ドル付近まで上昇し、今年の下げを取り戻していたが、米小売売上高の発表で一旦買いが止まっている。しかし、下値での押し目買い意欲も強そうで、再び1.10ドル台を試す雰囲気も見られている状況。

 オプション市場ではユーロドルの上昇に賭ける需要が高まっている。1カ月物のリスクリバーサルは2022年以来のプラスに転じ、上値追いを支持する傾向を示している。上向きの意識に変化はないようで、一部からは1.12ドルまでの上昇の可能性も指摘されているようだ。

 ポンドドルは下に往って来いの展開。米小売売上高の発表で1.28ドルちょうど付近まで下落したものの、売りが一巡すると買い戻しが活発化し、指標発表前の水準に戻した。ユーロと比較してもポンドは力強い印象で、ポンドドルは21日線の水準を維持している状況。

 きょうは第2四半期の英GDPが発表され、予想通りではあったものの、前期比プラス0.6%と高い伸びを示した。ただ、エコノミストからは、本日の英GDPはインフレ急騰の新たな懸念を抱かせるほどダイナミックな内容ではないとの指摘も出ている。他国よりは力強い内容ではあるが、英中銀の予想よりは若干下回っていたという。

 今週は英消費者物価指数(CPI)も発表され、英中銀が注目しているサービスインフレは大幅に低下していたが、本日の英GDPを受けて、この先の経済活動がサービスインフレのさらなる鈍化を妨げることはないと指摘している。英中銀は来年末までに金利をさらに2%ポイント引き下げ、3.00%まで引き下げると見ているようだ。

*英GDP(速報値)(第2四半期)15:00
結果 0.6%
予想 0.6% 前回 0.7%(前期比)
結果 0.9%
予想 0.8% 前回 0.3%(前年比)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

配信元: みんかぶ(FX/為替)