*15:10JST propetec Research Memo(10):さらなる成長に向けたビジネスの質的向上を目指す
■中期経営計画
2. 成長戦略
中期経営計画の経営数値目標を達成し、ミッションの実現に近づくため、property technologies<5527>はリアルの拠点拡大に加え、SaaSプロダクトを使った仲介会社との連携強化、「KAITRY(カイトリー)」の飛躍的拡大により、中古住宅再生事業の成長を加速する方針である。ただし、成長にはビジネスの質的向上が必要であり、そのための成長戦略として、仕入の質的向上、販売の質的向上、コアコンピタンスの強化を進めていく。なかでもポータルサイト「KAITRY(カイトリー)」への期待は大きく、賃貸物件の販売強化や都心高級マンションの買取再販など新たな取り組みもプラスオンで考えているようだ。
(1) 仕入の質的向上
仕入の質的向上では、拠点ごとに設定した綿密な仕入基準に則り、テクノロジーを駆使した戦略で情報量の拡大を図り、査定数で70,000件(2023年11月期33,222件)、「KAITRY(カイトリー)」直接仕入の割合で10%(2023年11月期2.1%)を目指す。具体的には、ポータルサイト「KAITRY(カイトリー)」の利用促進を中心に、広告展開による認知度向上による新規顧客の獲得や的確な住み替えタイミングの提案による既存顧客の固定化を進めるとともに、「HOMENET Pro」や「KAITRY professional」などSaaSプロダクトにより仕入情報の流入増を図る。加えて、既存拠点における仲介会社との取引強化や年間2拠点の新規拠点開設を継続することでネットワークを拡大していく。
(2) 販売の質的向上
販売の質的向上でもテクノロジーを駆使し、仕入決済から販売決済までの在庫保有期間を2023年11月期から約1ヶ月短縮するとともに、2024年11月期に開始する直販ルートで年間150件の販売を目指す。そのため、独自スコアリングモデルから販売難易度/適性を導出して仕入段階の物件選定に活用するなど、データサイエンスによる販売最適化を進める。また、常時1,000件を超えるリノベーション済みマンションの掲載や知名度向上策によってPV数やサイト内回遊を増やし、「KAITRY(カイトリー)」販売ページの活用を促進する。「HOMENET Pro」では、周辺環境や生成AIによるイメージしやすい物件情報の提供を強化する。
(3) コアコンピタンスの強化
データベース拡張による情報網羅性/見える化や査定精度の向上、新規事業/プロダクト開発体制の強化によって、ビジネスの質的向上を支えるコアコンピタンスを強化する。情報網羅性/見える化向上では、質的改善の重要指標となるリアルタイムの営業KPIや需給環境の先行指標、現場実施施策の効果を計測してアラートを表示することで現場の強化を図る。査定制度の向上については、AI査定数の積み上げと実査定との照合による検証を継続する。また、開発チームの増員、組織強化、POC※実施に向けた社内連携体制の強化、産学連携による新規テーマ発掘や共同研究の実施などにより、新規事業や新規プロダクトの開発体制も強化する。
※Proof Of Concept:概念実証。新規事業などの実現可能性を検証すること。
(4) 「KAITRY(カイトリー)」の役割
成長戦略において、「KAITRY(カイトリー)」の役割は大きい。「KAITRY(カイトリー)」での直仕入強化により、高採算で短期間の販売につながる良質な仕入など仲介会社経由では得られない新たな仕入の機会が増えるうえ、売却や住み替えニーズの掘り起こしにもつながり、事業領域拡大のエンジンとなるからである。また、直販売では、同社の独自販売ルートとして差別化要因になり、一度に買取ページと販売ページを回遊できるうえ売買往復の手数料がかからず、ユーザーにとって利便性も経済性も高いため、「KAITRY(カイトリー)」による直仕入・直販売は同社にとってメリットが大きい。同社はこうしたメリットをさらに生かすため、直仕入では査定書の作成や価格変動などアプリ上でのリアルタイム資産管理、重要事項説明のIT化など、直販売ではバーチャルステージング※や周辺環境スコアリング、AIによるリコメンドなどのシステム開発を推進している。加えて、同社では自社グループによる買取以外のサービスメニューを追加することで、これまで取り逃していた需要を取り込み、より収益性の高いビジネスモデルの確立を目指すという方向性が示されている。「KAITRY(カイトリー)」の進化について、弊社では今後の動向に注目していく。
※パノラマVR上に好みのCG家具やCGインテリアを配置すること。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HN>
2. 成長戦略
中期経営計画の経営数値目標を達成し、ミッションの実現に近づくため、property technologies<5527>はリアルの拠点拡大に加え、SaaSプロダクトを使った仲介会社との連携強化、「KAITRY(カイトリー)」の飛躍的拡大により、中古住宅再生事業の成長を加速する方針である。ただし、成長にはビジネスの質的向上が必要であり、そのための成長戦略として、仕入の質的向上、販売の質的向上、コアコンピタンスの強化を進めていく。なかでもポータルサイト「KAITRY(カイトリー)」への期待は大きく、賃貸物件の販売強化や都心高級マンションの買取再販など新たな取り組みもプラスオンで考えているようだ。
(1) 仕入の質的向上
仕入の質的向上では、拠点ごとに設定した綿密な仕入基準に則り、テクノロジーを駆使した戦略で情報量の拡大を図り、査定数で70,000件(2023年11月期33,222件)、「KAITRY(カイトリー)」直接仕入の割合で10%(2023年11月期2.1%)を目指す。具体的には、ポータルサイト「KAITRY(カイトリー)」の利用促進を中心に、広告展開による認知度向上による新規顧客の獲得や的確な住み替えタイミングの提案による既存顧客の固定化を進めるとともに、「HOMENET Pro」や「KAITRY professional」などSaaSプロダクトにより仕入情報の流入増を図る。加えて、既存拠点における仲介会社との取引強化や年間2拠点の新規拠点開設を継続することでネットワークを拡大していく。
(2) 販売の質的向上
販売の質的向上でもテクノロジーを駆使し、仕入決済から販売決済までの在庫保有期間を2023年11月期から約1ヶ月短縮するとともに、2024年11月期に開始する直販ルートで年間150件の販売を目指す。そのため、独自スコアリングモデルから販売難易度/適性を導出して仕入段階の物件選定に活用するなど、データサイエンスによる販売最適化を進める。また、常時1,000件を超えるリノベーション済みマンションの掲載や知名度向上策によってPV数やサイト内回遊を増やし、「KAITRY(カイトリー)」販売ページの活用を促進する。「HOMENET Pro」では、周辺環境や生成AIによるイメージしやすい物件情報の提供を強化する。
(3) コアコンピタンスの強化
データベース拡張による情報網羅性/見える化や査定精度の向上、新規事業/プロダクト開発体制の強化によって、ビジネスの質的向上を支えるコアコンピタンスを強化する。情報網羅性/見える化向上では、質的改善の重要指標となるリアルタイムの営業KPIや需給環境の先行指標、現場実施施策の効果を計測してアラートを表示することで現場の強化を図る。査定制度の向上については、AI査定数の積み上げと実査定との照合による検証を継続する。また、開発チームの増員、組織強化、POC※実施に向けた社内連携体制の強化、産学連携による新規テーマ発掘や共同研究の実施などにより、新規事業や新規プロダクトの開発体制も強化する。
※Proof Of Concept:概念実証。新規事業などの実現可能性を検証すること。
(4) 「KAITRY(カイトリー)」の役割
成長戦略において、「KAITRY(カイトリー)」の役割は大きい。「KAITRY(カイトリー)」での直仕入強化により、高採算で短期間の販売につながる良質な仕入など仲介会社経由では得られない新たな仕入の機会が増えるうえ、売却や住み替えニーズの掘り起こしにもつながり、事業領域拡大のエンジンとなるからである。また、直販売では、同社の独自販売ルートとして差別化要因になり、一度に買取ページと販売ページを回遊できるうえ売買往復の手数料がかからず、ユーザーにとって利便性も経済性も高いため、「KAITRY(カイトリー)」による直仕入・直販売は同社にとってメリットが大きい。同社はこうしたメリットをさらに生かすため、直仕入では査定書の作成や価格変動などアプリ上でのリアルタイム資産管理、重要事項説明のIT化など、直販売ではバーチャルステージング※や周辺環境スコアリング、AIによるリコメンドなどのシステム開発を推進している。加えて、同社では自社グループによる買取以外のサービスメニューを追加することで、これまで取り逃していた需要を取り込み、より収益性の高いビジネスモデルの確立を目指すという方向性が示されている。「KAITRY(カイトリー)」の進化について、弊社では今後の動向に注目していく。
※パノラマVR上に好みのCG家具やCGインテリアを配置すること。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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