*15:05JST propetec Research Memo(5):注文請負住宅を中心に建築、顧客からの信頼も厚い
■property technologies<5527>の事業概要
3. 戸建住宅事業
戸建住宅事業は、注文住宅請負を主力に、山口県を地盤とするファーストホームと秋田県を地盤とするサンコーホームの2社が行っている。在来軸組工法を得意とするファーストホームは、地元の不動産業者や建築業者とのネットワークが強く、取引先などからの紹介による受注が60%と一般的な住宅会社の約4倍超となっている。サンコーホームは、祖業の宮大工に現代の技術・材料を組み合わせた高機能性(耐震性・耐久性・省エネルギー性)やデザイン、安心保証を強みとしている。いずれも高機能のハイエンド住宅からコスト重視の規格住宅まで展開しており、工事は安定した工程管理とクオリティが特徴の協力会社が行っている。また、メンテナンス工事や大型リフォームなども丁寧にこなすため顧客からの信頼が厚く、そうした既存顧客(OB※)が各種イベントに参加し、紹介による新規顧客の獲得につながることも多いようだ。
※同社で注文住宅を建築した顧客のこと。アフターサービスやリフォームのためにOBのデータを管理している。また、OBを対象としたイベントを開催しており、コロナ禍後はじめて開催されたイベントには1,000名を超えるOB関係者が集まった。
ネットワーク、テクノロジー、組織文化に強み
4. 同社の強み
同社の強みはリアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化にあり、独自ビジネスモデルの優位性を構築している。ネットワークは、同社が全国に17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)を有するほか、多くの仕入・販売実績に加え業界でも数少ない地方都市をカバーするサービス展開を特徴としており、仲介会社数は6,044社、その拠点数は9,226拠点、営業員数は25,349名、取引金融機関は85行という巨大なネットワークを形成している※。しかもこうしたリアルなネットワークは年々拡大し、査定数も継続的に高い伸びを続けているが、これに「KAITRY(カイトリー)」の査定数が加わったことでネットワークの強化に一層弾みがついた。さらに、こうした査定依頼が同社の仕入物件や査定価格などデータ取得の起点にもなっている。
※数値は2024年11月期第2四半期。取引金融機関はホームネットの取引先数。
同社は、リアルなビジネスで構築してきた全国規模のネットワークと成約価格※などのデータベースを生かすため、システムを独自開発するなど長年テクノロジーの強化も進めてきた。その結果、2013年に仲介会社が情報を入手できる仲介会社向け物件公開システム、2018年に案件や仲介会社の情報を一元化した案件管理システム、2019年に物件の進捗状況を見える化した物件管理システム、2020年には現場・同社・仲介会社で情報共有する現場管理システム、受電を効率化する受電対応システム、同社の膨大なデータを活用したAI査定システムを開発・導入した。特に2020年に欧州企業と組んで開発したAI査定システムは、社内外向けに5秒で査定価格を提示するほか、同社の新人営業員が4〜5時間(データベースが揃っていない一般の再販業者は1〜2日)かけて行っていた算出を約30分に短縮するなど、業務の効率化と顧客の利便性向上に大きく貢献している。このため、同社はAI査定システムを成長基盤と見なしており、iBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムとしても利用している。
※広告などでよく目にする交渉前の売出価格ではなく、交渉後売買契約書に記載された最終価格。どの企業も外部に公表しておらず、非常に希少性が高い。
組織文化も強みである。収益創出の仕組みを組織文化で説明することは難しいが、同社では社員がテクノロジー活用の本質を理解しているため、機械(テクノロジー)と人の分業によって創り出した時間を顧客目線のタスクに振り向けるとともに、テクノロジーによる高付加価値サービスの開発に取り組んでいる。これにより、不動産取引で一般的に必要とされる知識経験をテクノロジーで補完できるため、より柔軟な対応やチーム力、風通しの良い環境、顧客目線の開発、仕入から販売までを担当が受け持つ一貫体制といった組織風土を醸成し、リアルなネットワークとテクノロジーによる強みに実効性をもたらしている。こうした組織風土があるからこそ、新卒や中途社員の早期活躍につながるとともに、顧客に対しては一人ひとりのライフスタイルに適した提案が可能となり、仲介会社や工務店などに対しては同社仕様を提供して仕入~リノベーション~販売の一貫したプロセスをスムーズに進行できるのである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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3. 戸建住宅事業
戸建住宅事業は、注文住宅請負を主力に、山口県を地盤とするファーストホームと秋田県を地盤とするサンコーホームの2社が行っている。在来軸組工法を得意とするファーストホームは、地元の不動産業者や建築業者とのネットワークが強く、取引先などからの紹介による受注が60%と一般的な住宅会社の約4倍超となっている。サンコーホームは、祖業の宮大工に現代の技術・材料を組み合わせた高機能性(耐震性・耐久性・省エネルギー性)やデザイン、安心保証を強みとしている。いずれも高機能のハイエンド住宅からコスト重視の規格住宅まで展開しており、工事は安定した工程管理とクオリティが特徴の協力会社が行っている。また、メンテナンス工事や大型リフォームなども丁寧にこなすため顧客からの信頼が厚く、そうした既存顧客(OB※)が各種イベントに参加し、紹介による新規顧客の獲得につながることも多いようだ。
※同社で注文住宅を建築した顧客のこと。アフターサービスやリフォームのためにOBのデータを管理している。また、OBを対象としたイベントを開催しており、コロナ禍後はじめて開催されたイベントには1,000名を超えるOB関係者が集まった。
ネットワーク、テクノロジー、組織文化に強み
4. 同社の強み
同社の強みはリアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化にあり、独自ビジネスモデルの優位性を構築している。ネットワークは、同社が全国に17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)を有するほか、多くの仕入・販売実績に加え業界でも数少ない地方都市をカバーするサービス展開を特徴としており、仲介会社数は6,044社、その拠点数は9,226拠点、営業員数は25,349名、取引金融機関は85行という巨大なネットワークを形成している※。しかもこうしたリアルなネットワークは年々拡大し、査定数も継続的に高い伸びを続けているが、これに「KAITRY(カイトリー)」の査定数が加わったことでネットワークの強化に一層弾みがついた。さらに、こうした査定依頼が同社の仕入物件や査定価格などデータ取得の起点にもなっている。
※数値は2024年11月期第2四半期。取引金融機関はホームネットの取引先数。
同社は、リアルなビジネスで構築してきた全国規模のネットワークと成約価格※などのデータベースを生かすため、システムを独自開発するなど長年テクノロジーの強化も進めてきた。その結果、2013年に仲介会社が情報を入手できる仲介会社向け物件公開システム、2018年に案件や仲介会社の情報を一元化した案件管理システム、2019年に物件の進捗状況を見える化した物件管理システム、2020年には現場・同社・仲介会社で情報共有する現場管理システム、受電を効率化する受電対応システム、同社の膨大なデータを活用したAI査定システムを開発・導入した。特に2020年に欧州企業と組んで開発したAI査定システムは、社内外向けに5秒で査定価格を提示するほか、同社の新人営業員が4〜5時間(データベースが揃っていない一般の再販業者は1〜2日)かけて行っていた算出を約30分に短縮するなど、業務の効率化と顧客の利便性向上に大きく貢献している。このため、同社はAI査定システムを成長基盤と見なしており、iBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムとしても利用している。
※広告などでよく目にする交渉前の売出価格ではなく、交渉後売買契約書に記載された最終価格。どの企業も外部に公表しておらず、非常に希少性が高い。
組織文化も強みである。収益創出の仕組みを組織文化で説明することは難しいが、同社では社員がテクノロジー活用の本質を理解しているため、機械(テクノロジー)と人の分業によって創り出した時間を顧客目線のタスクに振り向けるとともに、テクノロジーによる高付加価値サービスの開発に取り組んでいる。これにより、不動産取引で一般的に必要とされる知識経験をテクノロジーで補完できるため、より柔軟な対応やチーム力、風通しの良い環境、顧客目線の開発、仕入から販売までを担当が受け持つ一貫体制といった組織風土を醸成し、リアルなネットワークとテクノロジーによる強みに実効性をもたらしている。こうした組織風土があるからこそ、新卒や中途社員の早期活躍につながるとともに、顧客に対しては一人ひとりのライフスタイルに適した提案が可能となり、仲介会社や工務店などに対しては同社仕様を提供して仕入~リノベーション~販売の一貫したプロセスをスムーズに進行できるのである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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