ドル円が再び147円台に上昇 米新規失業保険申請件数に安心感=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/08/09 05:55
ドル円が再び147円台に上昇 米新規失業保険申請件数に安心感=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って買い戻しが強まり、再び147円台に上昇した。この日発表の米新規失業保険申請件数が予想を下回ったことで、ドルは買われた。先週末の米雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく下回ったことで、市場ではFRBのより積極的な利下げを織り込む動きが出ている。

 このところ米新規失業保険申請件数は増加傾向にあるが、それは季節性やハリケーンなどで若干の歪みがあるとの指摘も出ていた。先週の弱い米雇用統計を受けて、市場は米雇用指標への警戒を強めている中、きょうの結果は安心感をもたらしたようだ。

 市場がひとまず落ち着きを取り戻す中で、円キャリー取引の巻き戻しも一旦収まっている。ドル円も買い戻しが膨らんでいるが、150円を試す動きまでは見られていない。景気の先行きやFRBの利下げ、中東やウクライナの地政学リスク、そして秋の米大統領選を控える中で、ドル円のセンチメントは、これまでのように上値を積極的に試す雰囲気までは回復していないようだ。

 ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.08ドル台に下落する場面も見られた。しかし、1.08ドル台に入ると押し目買いも出るようで1.09ドル台に戻す展開となった。

 市場が落ち着けば、金利差でユーロドルは上昇するとの見方がストラテジストから出ている。ユーロ圏と米国の金利差縮小に為替市場の焦点が移り、ユーロドルは心理的節目の1.10ドル台を回復する可能性があるという。今後数カ月間の同ストラテジストのバイアスだとしている。

 短期金融市場では今年のECBの利下げ幅を0.8%ポイントで織り込まれているが、これはあまりに積極的で、いずれかの段階でその期待が縮小され、ユーロドルをサポートする可能性があるという。同ストラテジストは年内のECBの利下げを計0.50%ポイントと予想しているようだ。

 きょうはドル以上にポンドが買われ、ポンドドルは1.27ドル台半ばに上昇している。本日は一時1.2665ドル付近まで下落し、100日線を割り込み、200日線もうかがう展開を見せていた。しかし、きょうのところは200日線はサポートされた格好。

 英中銀はすでに利下げをスタートさせ、市場は追加利下げの動向を探っているが、英雇用関連のデータは英中銀の早期利下げを裏付けていないようだ。英企業がホワイトカラーと正社員の雇用を増やしたことが2つの調査で示された。

 人材紹介のロバート・ウォルターズ社が集計した企業のウェブサイトや求人サイトのデータによると、民間企業の専門職の求人数は7月に約3万7000人に急増し、2023年3月以来の多さとなった。これは英総選挙を控えて企業が採用を一時停止した7月から3分の1増加した。また、前年比でも14%上昇し、パンデミック以来の伸びとなっている。

 また、リクルートメント&エンプロイメント・コンフェデレーション社が発表した別のデータによると、7月の初任給は、採用が減少したにもかかわらず、引き続き上昇した。これらの調査を総合すると、労働市場の一部が依然としてひっ迫していることが示されている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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