【これからの見通し】今週の大荒れ相場から落ち着きつつある中、米新規失業保険申請件数で方向性示せるのか

【これからの見通し】今週の大荒れ相場から落ち着きつつある中、米新規失業保険申請件数で方向性示せるのか

　今日の東京市場ではドル円相場のレンジが145.44から146.87までとなっている。１円超の値幅はあるが、昨日までの３円超といったワイドレンジからは落ち着きつつあるようだ。水準的にも145-147円程度での推移に収束する兆しがみられる。昨日の内田日銀副総裁発言のようなインパクトの強い材料はなく、株式市場をにらんで売買が交錯している印象。

　ただ、通貨オプション市場では、1週間ボラティリティーが２０％前後に高止まりしている。来週14日の米消費者物価指数が一大イベントリスクとなっているようだ。植田総裁と内田副総裁の発言でドル円は大きく140-160円のレンジ観が形成されたようだ。そのなかで次の方向性を探ることとなろう。

　きょうは米新規失業保険申請件数が注目される。先週末の米雇用統計の弱い結果内容がドル円急落の一つときっかけとなったことは記憶に新しい。きょうの失業保険指標も雇用関連の手掛かりとして、その強弱を確認したいところだ。前回の２４．９万件に対して、今回の市場コンセンサス予想は２４．０万件とやや低下する見込み。失業保険継続受給者数は１８７．１万人と前回の１８７．７万人から微減する予想になっている。ただ、これらの数字は週ごとであることもあり、上下動することが多い。指針となる新規失業保険申請件数４週移動平均は前週時点で２３８万件と緩やかな増加傾向を示している点に留意したい。

　市場反応はどうか。増加となれば、米景気減速の材料として、株安・円高の反応が想定される。一方で、減少すれば市場に好感されて、株高・円安となりそうだ。どの程度のインパクトを与える数字がでるのか。発表は日本時間午後９時３０分の予定。その他の経済指標は、米卸売在庫・確報値（6月）が発表されるくらいだ。

　発言イベント関連では、バーキン・リッチモンド連銀総裁、モルガンスタンレーのゼントナー氏などが全米企業エコノミスト協会（ＮＡＢＥ）で講演を行う。質疑応答もあるようだ。米雇用統計結果や最近の市場状況などについてのコメントを確認したい。その他には、米３０年債入札（250億ドル）が実施される。米企業決算ではギリアドサイエンシズが注目される。

minkabu PRESS編集部 松木秀明