*14:01JST iーplug Research Memo(1):好調の「OfferBox」を軸に中長期的な事業戦略を見直し
■要約
1. 時代性と有効性を兼ね備えた新卒オファー型就活サービス「OfferBox」
i-plug<4177>は、就職活動中の学生と求人企業を対象に、新卒オファー型就活サービス「OfferBox(オファーボックス)」を提供している。新卒採用では、学生が企業に応募するエントリー型のリクルーティングサービスが多くを占めるが、企業にとって採用したい学生に出会いづらいという課題があった。一方、ダイレクト型である「OfferBox」は、企業がインターネットサイトに登録された詳細データを検索して学生を選別し、直接アプローチするため、採用したい学生に出会いやすく、時代性と有効性を兼ね備えた優れたリクルーティング手法である。なお、2022年8月に新規事業として開始したオファー型転職サービス「PaceBox(ペースボックス)」については、想定したような急速立ち上げにならなかったため、2024年6月でサービス終了を決定した。
2. 企業と求職者の動きを促進する独自モデルによって競争優位性を発揮
企業と求職者の間には情報の非対称性があり、情報強者の企業と情報弱者の学生といった関係が生じる。エントリー型では、情報弱者の学生が企業を探すことになるため就職につながる出会いが少なくなるが、ダイレクト型では、情報強者である企業が求職者を探すため企業が採用したい学生にピンポイントで出会いやすくなる。採用のための重要なポイントとして、エントリー型は多数の求職者を集めるのに対し、ダイレクト型は企業によるオファー送信や求職者によるオファー返信などを促進する。独自モデルの「OfferBox」は、こうした企業と求職者の動きを円滑に促進できるため、エントリー型ばかりでなく、同社を模倣したようなダイレクト型に対しても競争優位性を発揮している。
3.「OfferBox」が好調で2024年3月期の営業利益は大幅増益
2024年3月期の業績は、売上高が4,602百万円(前期比23.0%増)、営業利益が139百万円(前期は411百万円の営業損失)となった。引き続き好調に推移した「OfferBox」が売上高をけん引、営業利益は、「PaceBox」で想定していたマッチングを創出ができず損失を計上したが、「OfferBox」の好調でカバーして大幅増益となった。期初予想との比較では売上高が485百万円の未達となったが、「PaceBox」を筆頭に新規事業の立ち上げが想定を下回ったことが主因である。このため「PaceBox」のサービス終了を決断し、期末には新規事業の減損処理を実施した。この結果、営業利益は過達となったが、親会社株主に帰属する当期純損失は未達となり、損失額は縮小したものの黒字転換には至らなかった。
4. 中長期戦略を見直し、既存領域の成長、新卒以外の事業開発と利益成長の両立を図る
同社は2025年3月期の業績見通しについて、売上高5,640百万円(前期比22.5%増)、営業利益550百万円(同294.3%増)を見込んでいる。引き続き「OfferBox」の好調を想定し、従来の成長路線に回帰する見込みとなっている。一方、「PaceBox」の苦戦を反省して中長期戦略を見直し、規律を持った投資による既存領域の着実な成長、及び新卒領域以外での事業開発と利益成長の両立を図る。そのため、マイルストーンを2031年3月期に設定し、前半3ヶ年では新卒領域の継続的成長と新卒以外の領域での価値確立に向けて、「OfferBox」の進化、価値提供範囲の拡大、新卒以外の領域での事業開発を推進する。後半4ヶ年では新卒領域のさらなる進化と「第2の柱」の確立によって成長を加速し、収益の拡大を目指す。
■Key Points
・新卒オファー型就活サービス「OfferBox」を展開、中途向け「PaceBox」は終了
・「OfferBox」は好調を継続、2024年3月期に引き続き2025年3月期も大幅増益をけん引へ
・「PaceBox」終了の決定を機に中長期戦略を見直し、既存領域の成長、新卒以外の事業開発と利益成長の両立を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 時代性と有効性を兼ね備えた新卒オファー型就活サービス「OfferBox」
i-plug<4177>は、就職活動中の学生と求人企業を対象に、新卒オファー型就活サービス「OfferBox(オファーボックス)」を提供している。新卒採用では、学生が企業に応募するエントリー型のリクルーティングサービスが多くを占めるが、企業にとって採用したい学生に出会いづらいという課題があった。一方、ダイレクト型である「OfferBox」は、企業がインターネットサイトに登録された詳細データを検索して学生を選別し、直接アプローチするため、採用したい学生に出会いやすく、時代性と有効性を兼ね備えた優れたリクルーティング手法である。なお、2022年8月に新規事業として開始したオファー型転職サービス「PaceBox(ペースボックス)」については、想定したような急速立ち上げにならなかったため、2024年6月でサービス終了を決定した。
2. 企業と求職者の動きを促進する独自モデルによって競争優位性を発揮
企業と求職者の間には情報の非対称性があり、情報強者の企業と情報弱者の学生といった関係が生じる。エントリー型では、情報弱者の学生が企業を探すことになるため就職につながる出会いが少なくなるが、ダイレクト型では、情報強者である企業が求職者を探すため企業が採用したい学生にピンポイントで出会いやすくなる。採用のための重要なポイントとして、エントリー型は多数の求職者を集めるのに対し、ダイレクト型は企業によるオファー送信や求職者によるオファー返信などを促進する。独自モデルの「OfferBox」は、こうした企業と求職者の動きを円滑に促進できるため、エントリー型ばかりでなく、同社を模倣したようなダイレクト型に対しても競争優位性を発揮している。
3.「OfferBox」が好調で2024年3月期の営業利益は大幅増益
2024年3月期の業績は、売上高が4,602百万円(前期比23.0%増)、営業利益が139百万円(前期は411百万円の営業損失)となった。引き続き好調に推移した「OfferBox」が売上高をけん引、営業利益は、「PaceBox」で想定していたマッチングを創出ができず損失を計上したが、「OfferBox」の好調でカバーして大幅増益となった。期初予想との比較では売上高が485百万円の未達となったが、「PaceBox」を筆頭に新規事業の立ち上げが想定を下回ったことが主因である。このため「PaceBox」のサービス終了を決断し、期末には新規事業の減損処理を実施した。この結果、営業利益は過達となったが、親会社株主に帰属する当期純損失は未達となり、損失額は縮小したものの黒字転換には至らなかった。
4. 中長期戦略を見直し、既存領域の成長、新卒以外の事業開発と利益成長の両立を図る
同社は2025年3月期の業績見通しについて、売上高5,640百万円(前期比22.5%増)、営業利益550百万円(同294.3%増)を見込んでいる。引き続き「OfferBox」の好調を想定し、従来の成長路線に回帰する見込みとなっている。一方、「PaceBox」の苦戦を反省して中長期戦略を見直し、規律を持った投資による既存領域の着実な成長、及び新卒領域以外での事業開発と利益成長の両立を図る。そのため、マイルストーンを2031年3月期に設定し、前半3ヶ年では新卒領域の継続的成長と新卒以外の領域での価値確立に向けて、「OfferBox」の進化、価値提供範囲の拡大、新卒以外の領域での事業開発を推進する。後半4ヶ年では新卒領域のさらなる進化と「第2の柱」の確立によって成長を加速し、収益の拡大を目指す。
■Key Points
・新卒オファー型就活サービス「OfferBox」を展開、中途向け「PaceBox」は終了
・「OfferBox」は好調を継続、2024年3月期に引き続き2025年3月期も大幅増益をけん引へ
・「PaceBox」終了の決定を機に中長期戦略を見直し、既存領域の成長、新卒以外の事業開発と利益成長の両立を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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