今週のポイント
先週(7/29- )は、円の全面高となりました。日銀が7月30-31日の金融政策決定会合で利上げすることを決定し、植田総裁が会合後の会見で追加利上げに前向きな姿勢を示したためと考えられます。今週8日に「日銀金融政策決定会合における主な意見(7月30-31日開催分)」が公表されます。主な意見が日銀の追加利上げ観測を強める内容になれば、円高圧力が加わりやすい地合いが続く可能性があります。
米国の7月雇用統計が市場予想よりも弱い結果だったことで、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が強まりました。CMEのFedWatchツールによると、本稿執筆時点で市場は次回9月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.25%の利下げを完全に織り込んでおり、より大幅な0.50%の利下げが行われる確率も70%程度織り込んでいます。
5日のISM非製造業景況指数(7月分)や8日の新規失業保険申請件数(先週分)など米経済指標が市場のFRBの利下げ観測を一段と強める結果になれば、米ドルが軟調に推移しそうです。
日本や米国など主要国の株価動向にも注目です。米景気減速への懸念から、足もとで主要国の株価には下押し圧力が加わっています。株価がさらに下落する場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが一段と強まるとともに、円高要因になるかもしれません。
5-6日にRBA(豪中銀)の、8日にBOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。各中銀の会合結果に豪ドルとメキシコペソが反応する可能性があります。
市場ではRBAは政策金利を据え置くとの見方が大勢。BOMに関しては、0.25%利下げするとの見方が有力です。BOMが利下げを行えば、メキシコペソの上値を抑える要因になりそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.11000NZドル>
RBA(豪中銀)は5-6日に政策会合を開きます(会合の結果は6日に発表)。その結果に豪ドル/NZドルが反応しそうです。
豪州の4-6月期CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比3.8%、トリム平均値が同3.9%と、RBAのインフレ目標である2~3%を引き続き上回りました。政策金利は4.35%に据え置かれそうです。
政策金利が据え置かれれば、RBAの声明や会合後に行われるブロック総裁の会見が材料になりそうです。前回6月会合時の声明では、先行きの金融政策について「何も決定しておらず、何も排除していない」と改めて表明されました。ブロック総裁は会合後の会見で、「インフレリスクを警戒する必要がある」と述べ、会合では利上げの選択肢も議論されたことを明らかにしました(利下げは検討されず)。
今回の会合における注目点は、こうしたRBAのタカ派的な姿勢が弱まるかどうかになりそうです。タカ派的な姿勢が弱まったと市場が受け止めれば、豪ドルが軟調に推移して、豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わる可能性があります。
7日にはNZの4-6月期の雇用統計が発表されます。それが市場予想からかい離する結果になれば、NZの雇用統計も材料になるかもしれません。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.37500カナダドル~1.39500カナダドル>
BOC(カナダ中銀)は7月24日の政策会合で0.25%利下げすることを決定。政策金利を4.75%から4.50%へと引き下げました。マックレムBOC総裁は会合後の会見で「インフレ率がおおむね(BOCの)想定通りに鈍化し続ければ、政策金利のさらなる引き下げを予想するのが妥当だ」と述べ、追加利下げの可能性に言及しました。BOCは次回9月4日の会合で追加利下げを行うと市場は予想しており、こうした利下げ観測はカナダドルにとってマイナスです。
ただし、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回9月17-18日のFOMCで利下げすると市場は予想しています。市場のFRBとBOCの金融政策見通しからみれば、米ドル/カナダドルは目先方向感が出にくいと考えられます。
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