タナベ Research Memo(11):2026年3月期売上高150億円、営業利益18億円の目標を掲げる(2)

配信元:フィスコ
投稿:2024/08/02 13:21
*13:21JST タナベ Research Memo(11):2026年3月期売上高150億円、営業利益18億円の目標を掲げる(2) ■今後の見通し

(2) 資本コストや株価を意識した経営の取り組みについて
タナベコンサルティンググループ<9644>は中期経営計画で「ROE10%」「時価総額250億円以上」の数値目標を掲げている。これら目標については、中期経営計画で掲げた業績目標を達成すること、並びに最適資本構成の実現(株主還元方針の変更)により達成していく考えだ。2026年3月期にROE10%を達成するためには当期純利益の水準を引き上げること、並びに株主還元の強化により株主資本を抑えることで達成を目指す。当中期経営計画期間中の株主還元方針としては、連結総還元性向100%目安という大胆な株主還元方針を掲げており、DOE(株主資本配当率)6%以上の安定的な配当を継続し、また機動的な自己株式の取得も実施する方針を示している。連結総還元性向100%と言うのは、自己資本が理論的には増えないことを意味している。2024年3月期末の自己資本は10,903百万円なので、2026年3月期の当期純利益が1,090百万円程度であればROE10%を達成できる計算となる。

一方、「時価総額250億円」という目標については、今後の株価次第であり他力本願となる。株価1,500円程度が時価総額250億円の目安となるが、今後業績を計画通りに拡大していくことに加えて、中長期的な成長戦略の提示など同社の成長性に関して投資家がより一層理解を深められるような情報発信などIR・SR・PR活動の強化が重要になってくるものと弊社では考えている。

(3) サステナビリティ
同社では、ESGの観点から、持続可能な社会の実現及び同社のさらなる企業価値向上に取り組んでいる。サステナビリティに関する重要事項の適切なマネジメントを実施するためサステナビリティ委員会を設置し、マテリアリティ(重要課題)の特定と重要項目を設定し、その取り組みを推進している。

環境の観点からは、気候変動への対応については、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示を行っており、複数のシナリオ(1.5℃及び4℃シナリオ)におけるリスクと機会の分析を行っている。また、温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを推進し、スコープ1と2に関しては2030年までに100%削減することを目指している。これまで実施してきたオフィス照明のLED化やスマートDX投資によるペーパーレス化などをさらに推進するほか、使用電力については再生可能エネルギー由来の電力の割合を増やす。削減しきれない排出量については、非化石証書や再エネ由来J-クレジットを購入することによりオフセットすることを検討している。また、スコープ3に関しては、調達先への働きかけなどを通じて排出量の削減に取り組み、カーボンニュートラルの実現を目指す。

人的資本マネジメント(採用・育成・活躍・定着)については、人的資本を高めるための人材採用や人材育成の取り組みを強化しているほか、多様な働き方や女性の活躍推進に向けた各種制度の拡充、エンゲージメント向上や健康経営などの取り組みを目標設定しながら推進している。採用・育成については、業界に精通した実務経験者と新卒社員を積極的に採用し、リアルとデジタルのハイブリッドでプロフェッショナルコンサルタントを育成する企業内大学「TCGアカデミー」を活用することで、育成期間の短縮を実現している。従来はチーフコンサルタントに育つまでに5年程度を要していたが、TCGアカデミーを導入以降は2~3年に短縮し、早期戦力化している。また、定着化に向けてはコンサルタントの処遇向上(半期ベースで評価し給与に反映)やジョブ型コース別人事制度の導入、DX投資による働く環境の整備を進めており、3年平均の定着率は89.0%と業界平均を上回る水準を達成している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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