明日の株式相場に向けて=逆張り個人の半導体全力買いは奏功するか
週明け22日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比464円安の3万9599円と大幅安で4日続落。フシ目の4万円大台ラインを大きく割り込む格好となった。前週末は25日移動平均線をギリギリ維持する水準で下げ止まり、値ごろ感と合わせ目先押し目買いポイントとしてはいい頃合いに思われたが、なかなか思惑通りにはいかないのが相場の相場たるゆえんである。
足もと不穏な値動きの米国株市場と歩調を合わせる展開だが、日経平均はハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数との連動性の強さが改めて確認される形となっている。もっとも、ナスダック指数とほぼ同じタイミングで25日移動平均線を下回ってきたのだが、上昇のプロセスは大分異なる。ナスダック指数の方は5月から一貫して実需の買いによる下値切り上げトレンドを構築してきたのに対し、日経平均は7月に入ってからショート筋の踏み上げでいきなり上昇エンジンがかかり、それも束の間、上旬に演じた急騰を中旬には全部吐き出すという、極めて短期間に強気と弱気が入れ替わる起伏の激しいチャートを形成している。
これはAIアルゴリズム売買に振り回された形跡が強く残されている。ファンダメンタルズやテクニカルに基づいた生半可な相場観では対処しにくい、神ならぬ“AIのみぞ知る”相場展開だ。そうしたなか、一つ言えるのはその時のムードに流されず、ロング・ショートいずれも逆境で目をつむって逆張りに徹した方が良い結果に恵まれやすいということ。高値で空売りを狙うスタンスは推奨できないが、少なくとも深押し場面は買いを入れるチャンスとなっているケースが多い。それを念頭に置けば今は手出し無用に見える半導体セクターも、そろそろ風向きが変わるタイミングが近いのかもしれない。
ただし、中長期トレンドでみた場合、それはまた別次元の話である。例えば半導体製造装置業界最大手の東京エレクトロン<8035.T>の場合、3万5000円近辺での突出した滞留出来高をこなし切って上に突き抜けるのは、よほどの好条件が揃わない限り難しい。ネット証券大手の店内では、きょうは個人投資家が半導体関連の主力銘柄を、信用取引を活用して強烈に買い越しているという。確かにディスコ<6146.T>などの値運びを見れば、足もとの業績好調にもかかわらず、不条理に売られ過ぎという判断が働くのは当然だが、本当に底値を拾いに行くのであれば、「きょう信用で買い向かった資金が、狼狽売り(投げ売り)に転じるような場面」である。当面は短期リバウンドのサヤ取りの領域を抜け出せない。
米国株市場でもこれまでの強気ムードがにわかに霧消している。機関投資家が持たざるリスクに突き上げられて買い続けた反動が顕在化している。それを如実に暗示しているのが恐怖指数と称されるVIX指数だ。前週末19日は引け値ベースで16.52と4月下旬以来3カ月ぶりの高値水準に浮上した。しかもこの日はザラ場で安値10.62まで急低下する場面があり、1日の変動値幅は6.5ポイントに達した。市場筋は「オプションか何かにリンクさせたAIトレードの影響が出ている可能性がある」(中堅証券ストラテジスト)と指摘するが、いずれにせよ米株市場でもダッチロールを思わせる怪しい雰囲気が漂う。
11月の米大統領選でのバイデン大統領の“勇気ある撤退表明”については、少なくともサプライズではない。マーケットは早い段階から織り込みが進んでいた。しかし、今回の大統領選はトランプVS反トランプの戦いであり、その意味ではまだ予断を許さない。市場では「ヒラリーでも成し得なかった『ガラスの天井』を突き破る役回りを棚ボタ的にカマラ・ハリス氏が担う可能性もある」(生保系アナリスト)とする声もある。妊娠中絶を巡る問題がトランプ再選のアキレス腱になるという指摘で、バイデン氏撤退でむしろ「ほぼトラ」と言い切れなくなったという穿(うが)った見方も浮上している。
あすのスケジュールでは、基調的なインフレ率を捕捉するための指標が午後取引時間中に日銀から開示される。また、この日は東証スタンダード市場と名証メイン市場にフィットイージー<212A.T>が新規上場する。海外ではトルコ中銀の金融政策委員会の結果が公表されるほか、ハンガリー中銀の政策金利発表も行われる。米国では6月の中古住宅販売件数が発表される。また、米債券市場では2年国債の入札が予定されている。このほか、テスラ<TSLA>、アルファベット<GOOGL>の4~6月期決算発表にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
足もと不穏な値動きの米国株市場と歩調を合わせる展開だが、日経平均はハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数との連動性の強さが改めて確認される形となっている。もっとも、ナスダック指数とほぼ同じタイミングで25日移動平均線を下回ってきたのだが、上昇のプロセスは大分異なる。ナスダック指数の方は5月から一貫して実需の買いによる下値切り上げトレンドを構築してきたのに対し、日経平均は7月に入ってからショート筋の踏み上げでいきなり上昇エンジンがかかり、それも束の間、上旬に演じた急騰を中旬には全部吐き出すという、極めて短期間に強気と弱気が入れ替わる起伏の激しいチャートを形成している。
これはAIアルゴリズム売買に振り回された形跡が強く残されている。ファンダメンタルズやテクニカルに基づいた生半可な相場観では対処しにくい、神ならぬ“AIのみぞ知る”相場展開だ。そうしたなか、一つ言えるのはその時のムードに流されず、ロング・ショートいずれも逆境で目をつむって逆張りに徹した方が良い結果に恵まれやすいということ。高値で空売りを狙うスタンスは推奨できないが、少なくとも深押し場面は買いを入れるチャンスとなっているケースが多い。それを念頭に置けば今は手出し無用に見える半導体セクターも、そろそろ風向きが変わるタイミングが近いのかもしれない。
ただし、中長期トレンドでみた場合、それはまた別次元の話である。例えば半導体製造装置業界最大手の東京エレクトロン<8035.T>の場合、3万5000円近辺での突出した滞留出来高をこなし切って上に突き抜けるのは、よほどの好条件が揃わない限り難しい。ネット証券大手の店内では、きょうは個人投資家が半導体関連の主力銘柄を、信用取引を活用して強烈に買い越しているという。確かにディスコ<6146.T>などの値運びを見れば、足もとの業績好調にもかかわらず、不条理に売られ過ぎという判断が働くのは当然だが、本当に底値を拾いに行くのであれば、「きょう信用で買い向かった資金が、狼狽売り(投げ売り)に転じるような場面」である。当面は短期リバウンドのサヤ取りの領域を抜け出せない。
米国株市場でもこれまでの強気ムードがにわかに霧消している。機関投資家が持たざるリスクに突き上げられて買い続けた反動が顕在化している。それを如実に暗示しているのが恐怖指数と称されるVIX指数だ。前週末19日は引け値ベースで16.52と4月下旬以来3カ月ぶりの高値水準に浮上した。しかもこの日はザラ場で安値10.62まで急低下する場面があり、1日の変動値幅は6.5ポイントに達した。市場筋は「オプションか何かにリンクさせたAIトレードの影響が出ている可能性がある」(中堅証券ストラテジスト)と指摘するが、いずれにせよ米株市場でもダッチロールを思わせる怪しい雰囲気が漂う。
11月の米大統領選でのバイデン大統領の“勇気ある撤退表明”については、少なくともサプライズではない。マーケットは早い段階から織り込みが進んでいた。しかし、今回の大統領選はトランプVS反トランプの戦いであり、その意味ではまだ予断を許さない。市場では「ヒラリーでも成し得なかった『ガラスの天井』を突き破る役回りを棚ボタ的にカマラ・ハリス氏が担う可能性もある」(生保系アナリスト)とする声もある。妊娠中絶を巡る問題がトランプ再選のアキレス腱になるという指摘で、バイデン氏撤退でむしろ「ほぼトラ」と言い切れなくなったという穿(うが)った見方も浮上している。
あすのスケジュールでは、基調的なインフレ率を捕捉するための指標が午後取引時間中に日銀から開示される。また、この日は東証スタンダード市場と名証メイン市場にフィットイージー<212A.T>が新規上場する。海外ではトルコ中銀の金融政策委員会の結果が公表されるほか、ハンガリー中銀の政策金利発表も行われる。米国では6月の中古住宅販売件数が発表される。また、米債券市場では2年国債の入札が予定されている。このほか、テスラ<TSLA>、アルファベット<GOOGL>の4~6月期決算発表にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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